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2章 不老者、浮浪者になりました。

第16話 森暮らし3 旅立ち準備

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 山は散策したらすぐに行者ニンニクを発見した。もっと早く行けば良かったよ。とほほ。
 どうもこんにちは、浮浪者の高橋です。あれから、さらに5年程経ちました。

 近況報告だけど、まずは、山から帰って1年後くらいの話。
 今までほとんど話してなかったヤギさんと、仲良くなった。コーン増やしたくて、村で農家やってる人を聞いたら、ヤギさんだったわけ。最初は、つっけんどんな対応されてたんですけど、作ったフリントコーンを何とか食べさせたら協力的になったよ。
 芋ばっかり育てていたらしく、保存が出来る新しい穀物に喜んだ。森の中でコーン育てると、虫の処理が大変なんだよね。出来たの貰えば楽で良いので、簡単に育て方伝えて、あとは任せちゃった。
 ニンニクも増やして、巾着に種と球根を補充。

 村との関係も良好で、また装備の更新をした。
 今の装備はこれだ。
 防具
 頭:コッコのタオル
 体:鬼蜘蛛の作務衣(長袖)
 足:皮の靴(ゴム底)
 手:ゴム付き軍手

 武器
 世界樹の枝、コクタンの棒、ウルフナイフ

 スコップとかは備品として色々持っている。コッコは上山の山頂付近で餌付け、鬼蜘蛛は下山の洞窟で糸吹きかけてきたので素材を貰った。
 ゴムの木が数本だけ生えていたので、村のみんなとちょっとずつ配分して作ったんだ。替えのゴムは無いから、知らない場所に行く時だけ使っている。
 ウルフナイフは、ハンターウルフというのをベアが狩ってきて、お土産で貰った。
 コクタンの棒は、前の棒が壊れちゃったので、タルポさんに買ってきてもらった。新しく作った漢方の予備が半分消えて、涙が出る。重めだが、頑丈で気に入っている。
 世界樹の棒は、村の巨木のことね。去年村長が巨木に案内してくれた時に教えてくれた。ついでに近寄った時に、自家製肥料を撒いてあげたら、頭に枝が落ちてきた。かなり痛かったと覚えている。気《き》の通りが良いからそのまま使っている。


 ここに来てから、昔のことをなかなか思い出せないんだよね。日記に色々書いてたのは覚えているんだけど、内容が……。あの日記も師匠の作務衣に付いてたはず。巾着があったから、どこかに落ちて無いかな? 近場の街くらいは探しに行ってみようかな。村長に相談するか。

「というわけで、平原の街に行ってみようかと思うんだ」
「そういうことがあったのか。初めて聞いたよ」
「あれ? 話して無かったっけ?」
「あなたが思ってるより、自分のことを話して無いよ」

 そう言って苦笑いされてしまう。

「ただ、同じ長命種として話を聞くと、その日記は大事だね」
「長命種って何?」
「私たちみたいに長生きの者じゃないか。前居た場所ではそういう言葉は無かったのか?」

 ちょっと考えてみると、そういう話を聞いたような気もする。

「ところで、今って何年かわかるか?」
「確か……。大地歴だと1500年は超えていた気がするな。詳しい年数は故郷に帰らなければわからない」

 うん。まったくわからん。

「この国だと……。あとで他の奴に聞いてくれ」

 目を逸らしたな。
 そんな話を続けて、街に行く許可は貰った。
 街の注意点と年数は、タルポが一番詳しいと言うので、聞きに行こう。

 タルポに聞いたら、街にはスリや詐欺、ひどいと人殺しもあるらしい。物騒な話だ。到着後の稼ぎとして、探索者ギルドと薬師ギルドを教えてもらった。ファンタジー定番の冒険者じゃないのか聞いたら、逆に冒険してどんな利益があるのか返されてしまった。あとは傭兵ギルドというのもあるらしい。

 探索者ギルド
 遺跡は人が行きづらい地域の調査が主な仕事。場合により魔物の討伐も行う。素材採取も行う何でも屋。

 薬師ギルド
 薬の作成依頼が集まる建物。薬師から薬の材料採取の依頼もある。薬師の登録はギルドで薬の効能確認が必要。効果を確認出来た物だけ依頼が来る。

 傭兵ギルド
 護衛や討伐など、武力での依頼が多い。ごく稀に戦争の依頼もくるようだ。

 前者2つが合ってるかな。
 あと王国歴290年ということがわかった。
 みんなに挨拶して行きますかね。ヤギさんには、上山の麓《ふもと》にコーンを時々置いて欲しいと伝えておいた。代わりにコッコが卵と羽毛をくれると言ったら、絶対やっておくと意気込んていた。
 タルポが途中の村まで送ってくれるようなので、ありがたい。
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