16 / 165
2章 不老者、浮浪者になりました。
第15話 閑話 ケープ村人族対策会議1
しおりを挟む
遭難当日
「さて、各族長は集まったな?」
「「「「はい」」」」
「これより、第1回人族対策会議を行う。進行は村長である私がやろう」
「記録は、タヌキ族のポンゴが行います」
「猫族の捕らえた人族だが、共通語は通じず、精霊語のみ反応があった。まだ知らぬフリをしている可能性もあるが、なんらかの災害に巻き込まれ、外の大陸から転移も考えられる」
会議室内がザワつく……。
「静かに、まだ続きがある。その理由として、この大陸で使用されている精霊語とは発音が異なっていたり、普段使いの言葉を理解出来ていなかったのだ。加えて、小精霊が見えることも確認出来た」
「もしや精霊使い様なのか」
「短耳が出来た試しは無いはずっす」
「見えるだけってことは無いのかにゃ」
「それこそ、使える才能があるってことじゃろ。毛無しの癖に」
村長が柏手を打つ。パンパン!
「今話した内容は、今後調べていく。今回の話は、今の対応を話そう。彼を開放するのか……。保護するのか」
「開放はありえん! やつが仲間を呼んでくるかもしれないだろう」ウサギ族
「では、保護するのか? 村に入れるまでは信用出来ないんじゃが」ヤギ族
「うちらは良いにゃよ? あの人族から敵意は感じなかったにゃ」猫族
そこから結論が出るまで何時間もかかった。
ヤギ族とウサギ族は、街で人族から差別されていたこともあり、特に拒絶が強かった。ただ精霊が見える人を、何の被害も無しに殺すことは出来なかった。
「では、あの人族は村の外で監視付きで過ごしてもらうとしよう。良いな?」
「「「「「はい」」」」」
「熊族のベアを私の共にして、時折色んな言語で話しかけさせるように。言語が混じれば、いくらスパイでも反応はあるはずだ」
「伝えておく、奴ならばうまく対応するだろう」
1年後
「これより第2回人族対策会議を行う。担当は前回と同様にな」
「私の聞いたことは逐次伝えてあるので省く。それぞれの印象やわかったことを教えてくれ」
「まずはかかわりの多い熊族から。ベアの話だと共通語での反応は、わかってないようだ。グルマン語には少し反応し始めている。これは最近教え始めたためだろう。友好的でも差別的でも無いように見える。街で暮らしていれば、必ず反応してしまう。ベアが見逃すなら他に見切れるやついないだろうがな。以上だ」
「次は監視班の猫族とウサギ族から」
「ウサギ族が監視しても大丈夫だったのか? 殺気が出たらバレるだろう」
「選別はしっかりやったにゃ。ウサギ族の担当は街に居なかった若者を選んだにゃ。それで、奴の生態にゃんだが、普通の人族とは考えない方が良いにゃ」
「どういうことだ?」
「まず、体力と脚力が異常にあるにゃ。森の植物にも詳しく、毒耐性があることもわかったにゃ」
「暗殺者の類では無いのか!?」
「それは無さそうだ。ウサギ族が保証しよう。我らが城で見てきたどの暗殺者とも空気感が違う。奴は気配断ちはうまいが、どうしようも無く阿呆なのだ。魔狼に近づいて野菜で餌付けしようとしていたぞ」
そこかしこから「ありえない」と言う声が上がり、一時騒然とした。
「本当にゃ。ワチが直接見ていたにゃ。戦うこともせず、石じゃなく土を投げてたにゃははは」
「監視班は以上だ」
「次はタヌキ族ですね。あの人はちょくちょく村の外でウチの店を利用しています。これは許可を得てやっています」
膨れ掛けていた怒りがおさまる。
「続けます。最近商店の品揃えが増えているのはご存知でしょうか?」
「ああ。山菜と魚が増えたよな」
「あとハチミツもだ!」
「あの人族が持ってきました。ウチの商店と物々交換をしています。先ほど声に上がった物がほとんどですが、一番大事なのは、我々でもほとんど見つけられない薬草を持ってきます。たまにですけどね。代わりに金属を使わない商品、加工した木箱や生活用品を渡しています。ただの取引相手といった様子ですが、悪意は感じていません。時折ニンニークという野菜は無いかと聞かれます。以上です」
「狐族っす。うちらもニンニークは聞いたっす。何でもかなり強い臭いがある野菜だとか。球根部分が食用で、食べると元気になるようっす」
「強い臭いってー言うと、山に生えてるあれじゃないかにゃ?」
「あれは毒草だろ。昔食った奴が口の中腹した上に、腹抱えて数日寝込んだろ」
「じゃあ違うにゃ」
「狐族が続けるっす。あいつは手先が器用っす。小狐たちが川で絡んでたら、人数分の釣竿をパパっと作ってしまったんす。以上っす」
「ヤギ族はかかわっておらん。ゆえに何とも言えん。だが、タヌキ商店に並んだ薬草は見た。あれは、薬を作る奴じゃないとわからんはずだ。機会があれば薬関係も聞いてみるが良かろう。以上」
「良し。あれも森を荒らさず共存している。監視班はこれより観察班に名称を変更する。危険度は下げても良いだろう。ただし、油断はしないように。出来るようなら、村外で各自の積極的な接触を許可する」
あの人間の気配は同族と言うより、昔見たハイエルフに近いような……。
「さて、各族長は集まったな?」
「「「「はい」」」」
「これより、第1回人族対策会議を行う。進行は村長である私がやろう」
「記録は、タヌキ族のポンゴが行います」
「猫族の捕らえた人族だが、共通語は通じず、精霊語のみ反応があった。まだ知らぬフリをしている可能性もあるが、なんらかの災害に巻き込まれ、外の大陸から転移も考えられる」
会議室内がザワつく……。
「静かに、まだ続きがある。その理由として、この大陸で使用されている精霊語とは発音が異なっていたり、普段使いの言葉を理解出来ていなかったのだ。加えて、小精霊が見えることも確認出来た」
「もしや精霊使い様なのか」
「短耳が出来た試しは無いはずっす」
「見えるだけってことは無いのかにゃ」
「それこそ、使える才能があるってことじゃろ。毛無しの癖に」
村長が柏手を打つ。パンパン!
「今話した内容は、今後調べていく。今回の話は、今の対応を話そう。彼を開放するのか……。保護するのか」
「開放はありえん! やつが仲間を呼んでくるかもしれないだろう」ウサギ族
「では、保護するのか? 村に入れるまでは信用出来ないんじゃが」ヤギ族
「うちらは良いにゃよ? あの人族から敵意は感じなかったにゃ」猫族
そこから結論が出るまで何時間もかかった。
ヤギ族とウサギ族は、街で人族から差別されていたこともあり、特に拒絶が強かった。ただ精霊が見える人を、何の被害も無しに殺すことは出来なかった。
「では、あの人族は村の外で監視付きで過ごしてもらうとしよう。良いな?」
「「「「「はい」」」」」
「熊族のベアを私の共にして、時折色んな言語で話しかけさせるように。言語が混じれば、いくらスパイでも反応はあるはずだ」
「伝えておく、奴ならばうまく対応するだろう」
1年後
「これより第2回人族対策会議を行う。担当は前回と同様にな」
「私の聞いたことは逐次伝えてあるので省く。それぞれの印象やわかったことを教えてくれ」
「まずはかかわりの多い熊族から。ベアの話だと共通語での反応は、わかってないようだ。グルマン語には少し反応し始めている。これは最近教え始めたためだろう。友好的でも差別的でも無いように見える。街で暮らしていれば、必ず反応してしまう。ベアが見逃すなら他に見切れるやついないだろうがな。以上だ」
「次は監視班の猫族とウサギ族から」
「ウサギ族が監視しても大丈夫だったのか? 殺気が出たらバレるだろう」
「選別はしっかりやったにゃ。ウサギ族の担当は街に居なかった若者を選んだにゃ。それで、奴の生態にゃんだが、普通の人族とは考えない方が良いにゃ」
「どういうことだ?」
「まず、体力と脚力が異常にあるにゃ。森の植物にも詳しく、毒耐性があることもわかったにゃ」
「暗殺者の類では無いのか!?」
「それは無さそうだ。ウサギ族が保証しよう。我らが城で見てきたどの暗殺者とも空気感が違う。奴は気配断ちはうまいが、どうしようも無く阿呆なのだ。魔狼に近づいて野菜で餌付けしようとしていたぞ」
そこかしこから「ありえない」と言う声が上がり、一時騒然とした。
「本当にゃ。ワチが直接見ていたにゃ。戦うこともせず、石じゃなく土を投げてたにゃははは」
「監視班は以上だ」
「次はタヌキ族ですね。あの人はちょくちょく村の外でウチの店を利用しています。これは許可を得てやっています」
膨れ掛けていた怒りがおさまる。
「続けます。最近商店の品揃えが増えているのはご存知でしょうか?」
「ああ。山菜と魚が増えたよな」
「あとハチミツもだ!」
「あの人族が持ってきました。ウチの商店と物々交換をしています。先ほど声に上がった物がほとんどですが、一番大事なのは、我々でもほとんど見つけられない薬草を持ってきます。たまにですけどね。代わりに金属を使わない商品、加工した木箱や生活用品を渡しています。ただの取引相手といった様子ですが、悪意は感じていません。時折ニンニークという野菜は無いかと聞かれます。以上です」
「狐族っす。うちらもニンニークは聞いたっす。何でもかなり強い臭いがある野菜だとか。球根部分が食用で、食べると元気になるようっす」
「強い臭いってー言うと、山に生えてるあれじゃないかにゃ?」
「あれは毒草だろ。昔食った奴が口の中腹した上に、腹抱えて数日寝込んだろ」
「じゃあ違うにゃ」
「狐族が続けるっす。あいつは手先が器用っす。小狐たちが川で絡んでたら、人数分の釣竿をパパっと作ってしまったんす。以上っす」
「ヤギ族はかかわっておらん。ゆえに何とも言えん。だが、タヌキ商店に並んだ薬草は見た。あれは、薬を作る奴じゃないとわからんはずだ。機会があれば薬関係も聞いてみるが良かろう。以上」
「良し。あれも森を荒らさず共存している。監視班はこれより観察班に名称を変更する。危険度は下げても良いだろう。ただし、油断はしないように。出来るようなら、村外で各自の積極的な接触を許可する」
あの人間の気配は同族と言うより、昔見たハイエルフに近いような……。
0
お気に入りに追加
81
あなたにおすすめの小説
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる