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2章 不老者、浮浪者になりました。

第13話 森暮らし1

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 あれから3ヶ月程経ちました。エルフさんに頼んで、言葉を教えてもらっています。まだカタコトですが、少しずつ村人と話せるようになり、「ケープ村」と言う集落だとわかりました。村長エルフのケープさんだそうで。

 ここで悲しいお知らせです。村に住むことは出来ませんでした。この村の半数が俺に似た種族から逃げてきたそうです。そのせいか、居住に関して一部から猛烈に拒否
 されてしまいました。俺は何もしてないんだけど、トラウマつつくと面倒だし、しょうがないよね。
 そんな訳で、言葉の勉強も、村の外に簡易東家を作って、2日に1度エルフさんに来てもらってます。その付き添いに門番してた熊人が必ず来ています。
 今日は、その勉強の日です。

「ターさん。少しは森の生活に慣れてきましたか?」
「ソンちょ。おれ。森、得意」
 そう言って、蔦で作ったカゴをブレゼントした。

「かなり頑丈な作りですね。タプル芋の蔦作ったのかな?」
「はい。枯れ、途中。1良い」

 全然拙いかと思うが、これは2言語目なんだ。
 最初に村長と話していた言語は、『精霊語』と言って、精霊と話しかけるための言葉らしい。精霊語は最初の1ヶ月程で覚えたが、村人が話していた『グルマン語』(獣人語と呼ぶほうが有名)を勉強中なわけだ。

「ベア。おまえも。サケな」
 と言って、熊さんにもう一つのカゴを渡す。

「待ってました。良いサイズの魚じゃねーか! 晩飯は魚だな!」
 この熊人の名前はベア。友好的と言うほどでは無いが、最初からフラットな対応だったので、印象が良い。

 お土産にうまく言えない物を持ってくると、その言葉をよく話してくれるんだ。
 お互いウィンウィンで、ズブズブの関係だな!
 んー。デジャブを感じるけれど……気のせいかな?

 今の生活について話そう。
 瞑想後に気づいた森の出発点あたりに、ツリーハウスを作って住んでいる。亜熱帯気候なせいか、地面に直だと蒸れるんだよな。食べれる山菜もかなりあるので不便は無い。タブル芋もその一つで、自然薯をイメージしてくれると近い。残念なのは、作務衣にくくり付けていた巾着に、食用植物の種を入れていたんだ。保存の術を使っていたから、年数程度では腐らないはず何だが……。
 村長さんに貰った布で、新しい作務衣も作った。デフォルメされた大きなカイコが居て、そいつに特定の葉っぱをあげると糸を出してくれるらしい。そのカイコを見たことはまだ無い。
 最近知ったんだが、村から10km程離れると猛獣が出てくる。牙を剥き出した狼にはびっくりした。倒したかって? なんだかんだで、直接獣殺したことないんだよね。土を投げつけて隠れながら逃げたよ。
 後日村長に、その話をしたら「ハングリーウルフ」という魔物だと教えてもらった。魔物もファンタジーだけだと思っていたから、ちょっと感動したよ。ここはどこなんだろうか?
 あとはベアに渡した魚だが、村の先に川があるので、そこで釣っている。残った布地から糸、ちょっと硬めの竹竿、それに白骨した獣の牙から針を作った。針は返しが無くて大きいので、初めて釣るまでが大変だった。餌は川虫がそこらにいるから楽なもんだ。

 そんな生活を続けて簡単なマップが出来たので記《しる》しておく。

———————————————
   /川/      (
  / /        (  山
 / / 【ケープ村】   (___
/ /
 /        【拠点】   狼

                 狼
    森地域        _______
             (
            (   山
           (
 
———————————————

 地図下の見切れている先は、徐々に木が薄くなって、平原があるらしい。そのずっと先に、逃げてきた獣人たちが住んでた街があると聞いた。
 川の向こうは、他の村があって、ケープ村より人嫌いだとか。攻撃はされないが、今でも『毛無し』『短耳』『冴えない顔』と呼ばれているので近づくのはやめておこう。最後のは何か違うんじゃないか?

 拠点は作ったが、調査しながら転々としているので、浮浪者おじさんが出来上がってしまった。
 もう少し森を調査したら、山も調べてみようかな。
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