86 / 111
日本初イベント大会
クリケット恐るべし
しおりを挟む
伊勢さんからのお叱りは無し。代わりに出された条件は、一定量の素材無償譲渡。マネーで無く現物を提示してきた。
「くそっ。時間か金かどちらか選べと! 流石は伊勢さん。相手の心理を読んでいる。ゴリゴリに詰めるより、少しだけ選択肢を残すことで仕事させようとする。悔しいことに、それなら返そうと思ってしまっている」
「ってか、今ゴールド残ってるなら送っちゃえば?」
「テッケンさん!? 確かにそうか」
なぜここにテッケンさんがという疑問はさておき、無くなっても半額だから支払い分は残っている。こういう面倒ごとは先に終わらせるに限る。
ゴールドの送り先を伊勢さんにして、OKを押すっと。
よし、これで問題無し。
しかし、残念なことに残金が悲しいゾロ目になってしまった。
1111ゴールドじゃ出店で何を買えるか……。
<これより休憩時間に入ります。この間の釣果はポイントに含まれませんのでご注意ください。>
「ちょうど休憩だな。クリケット観に行こうよ」
「テッケンさんは詳しいの?」
「全く知らん。ははははは、だけどスレの評判は良いよ。これこれ」
_______________
343:観客
初めて見るけど、意外と面白いね。
344:観客
名前がムスタファってなってるけど、わざわざ海外から呼んできたの?
345:観客
劣化だけどバット200ゴールドで買えた。
_______________
その後も割合評価は高い。
ちょっと観に行ってみようかな。
でも、KOKKAも観たいし。
「よし、チラ見だけでもしてこよう」
「じゃあテレポーターに」
クリケット会場に転送されると、円形の芝の中央で試合をしているところだった。野球の会場とも似ているが、配置だったり役割だったりがわからない。
「あそこでルールブック配ってるな」
ルルブを受け取って読むと、なんとなくわかった。バッター2人がいてウィケットという棒の間を交代すると点数になるのね。
試合の点数が気になり、それを見つけて驚く。
「210対40!? こんな点数入るのか」
「クリケットは大量得点が入りやすい競技なのだ。見よ。今まさに6ラン、ノーバウンドで外の線であるバウンダリーを超えたところだ。これで6点追加。ゴロでバウンダリーを超えても4点追加だ」
「なるほど。ところであなたは?」
「私は今大会の非公式マスコット。バッツメェーンと言う。以後よろしく」
どう見ても熊手にしか見えない。飾りを増やしすぎたせいか原型を留めておらず、胴体の『バット』という文字を見て、なんとか元の形を想像しているところ。
見た目は微妙だが、キャラクターが面白かったので、スクショ取ってブログに載せとこ。
熊手のマスコット、ばっつめぇ~んと。
肝心の競技の方は、かなり面白い。ポンポコ点数が入るから全然飽きず、ピッチャー……じゃなくてボーラーの玉も変な跳ね方しているのもあって面白い。
「ランジット! 走れ走れ!」
「ハッチさん。今のハヌマンの方だよ」
「え? じゃああっちの守備は?」
「えーっと……あ、あれは日本の佐々木選手みたい」
名前と顔が一致しねぇ。なぜアバターとリアルをごちゃ混ぜにしたんだ。
元々の期待値はかなり低かったが、予想以上に楽しいとわかった。そして、無意識に売店に寄ってしまった結果。
「残金540ゴールド。テッケンさんお金貸して」
「え?」
ダメだ。俺より買い込んでる人がいた。劣化品の装備ばかりだと言うのに買い揃えちゃって。
「自分で作った方が性能良いんじゃない?」
「そのつもりだよ。これ分解用だから」
「ハッ!? その方法があったか。俺も買って……」
ゴールド足りねぇ!
やっぱり……。
「貸さないよ」
「くぅぅぅ」
「……まぁ、レシピできたら見せてあげるよ」
「流石テッケンさん! あざっす!」
意気揚々と会場へ戻ろうとしたが、時間を見て焦る。2時間休憩のうち半分を過ぎていて、これ以上残ると他の会場を見る余裕が無くなってしまう。
泣く泣く試合観戦を諦めて、次の会場へ向かうことにした。
「頼みますよ!」
「わかってるって、ちゃんと撮っておくから」
「絶対ですからね」
「……うっさいわ! そんなに見たいなら残るか? おーん?」
「すんません! お願いしますー」
念押しし過ぎて怒られた。マジすんません。
かくして次に向かうのはKOKKAの会場へ。
「くそっ。時間か金かどちらか選べと! 流石は伊勢さん。相手の心理を読んでいる。ゴリゴリに詰めるより、少しだけ選択肢を残すことで仕事させようとする。悔しいことに、それなら返そうと思ってしまっている」
「ってか、今ゴールド残ってるなら送っちゃえば?」
「テッケンさん!? 確かにそうか」
なぜここにテッケンさんがという疑問はさておき、無くなっても半額だから支払い分は残っている。こういう面倒ごとは先に終わらせるに限る。
ゴールドの送り先を伊勢さんにして、OKを押すっと。
よし、これで問題無し。
しかし、残念なことに残金が悲しいゾロ目になってしまった。
1111ゴールドじゃ出店で何を買えるか……。
<これより休憩時間に入ります。この間の釣果はポイントに含まれませんのでご注意ください。>
「ちょうど休憩だな。クリケット観に行こうよ」
「テッケンさんは詳しいの?」
「全く知らん。ははははは、だけどスレの評判は良いよ。これこれ」
_______________
343:観客
初めて見るけど、意外と面白いね。
344:観客
名前がムスタファってなってるけど、わざわざ海外から呼んできたの?
345:観客
劣化だけどバット200ゴールドで買えた。
_______________
その後も割合評価は高い。
ちょっと観に行ってみようかな。
でも、KOKKAも観たいし。
「よし、チラ見だけでもしてこよう」
「じゃあテレポーターに」
クリケット会場に転送されると、円形の芝の中央で試合をしているところだった。野球の会場とも似ているが、配置だったり役割だったりがわからない。
「あそこでルールブック配ってるな」
ルルブを受け取って読むと、なんとなくわかった。バッター2人がいてウィケットという棒の間を交代すると点数になるのね。
試合の点数が気になり、それを見つけて驚く。
「210対40!? こんな点数入るのか」
「クリケットは大量得点が入りやすい競技なのだ。見よ。今まさに6ラン、ノーバウンドで外の線であるバウンダリーを超えたところだ。これで6点追加。ゴロでバウンダリーを超えても4点追加だ」
「なるほど。ところであなたは?」
「私は今大会の非公式マスコット。バッツメェーンと言う。以後よろしく」
どう見ても熊手にしか見えない。飾りを増やしすぎたせいか原型を留めておらず、胴体の『バット』という文字を見て、なんとか元の形を想像しているところ。
見た目は微妙だが、キャラクターが面白かったので、スクショ取ってブログに載せとこ。
熊手のマスコット、ばっつめぇ~んと。
肝心の競技の方は、かなり面白い。ポンポコ点数が入るから全然飽きず、ピッチャー……じゃなくてボーラーの玉も変な跳ね方しているのもあって面白い。
「ランジット! 走れ走れ!」
「ハッチさん。今のハヌマンの方だよ」
「え? じゃああっちの守備は?」
「えーっと……あ、あれは日本の佐々木選手みたい」
名前と顔が一致しねぇ。なぜアバターとリアルをごちゃ混ぜにしたんだ。
元々の期待値はかなり低かったが、予想以上に楽しいとわかった。そして、無意識に売店に寄ってしまった結果。
「残金540ゴールド。テッケンさんお金貸して」
「え?」
ダメだ。俺より買い込んでる人がいた。劣化品の装備ばかりだと言うのに買い揃えちゃって。
「自分で作った方が性能良いんじゃない?」
「そのつもりだよ。これ分解用だから」
「ハッ!? その方法があったか。俺も買って……」
ゴールド足りねぇ!
やっぱり……。
「貸さないよ」
「くぅぅぅ」
「……まぁ、レシピできたら見せてあげるよ」
「流石テッケンさん! あざっす!」
意気揚々と会場へ戻ろうとしたが、時間を見て焦る。2時間休憩のうち半分を過ぎていて、これ以上残ると他の会場を見る余裕が無くなってしまう。
泣く泣く試合観戦を諦めて、次の会場へ向かうことにした。
「頼みますよ!」
「わかってるって、ちゃんと撮っておくから」
「絶対ですからね」
「……うっさいわ! そんなに見たいなら残るか? おーん?」
「すんません! お願いしますー」
念押しし過ぎて怒られた。マジすんません。
かくして次に向かうのはKOKKAの会場へ。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
燃えよドワーフ!(エンター・ザ・ドワーフ)
チャンスに賭けろ
ファンタジー
そのドワーフは熱く燃えていた。そして怒っていた。
魔王軍の侵攻で危機的状況にあるヴァルシパル王国は、
魔術で召喚した4人の異世界勇者にこの世界の危機を救ってもらおうとしていた。
ひたすら亜人が冷遇される環境下、ついに1人のドワーフが起った。
ドワーフである自分が斧を振るい、この世界の危機を救う!
これはある、怒りに燃えるドワーフの物語である。


日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜
古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。
かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。
その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。
ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。
BLoveさんに先行書き溜め。
なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる