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日本初イベント大会

遠方への輸送は、竜空便にお任せあれ

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「熱して、吹き付け膨らまし。整え、冷やして切り落とす」

 手順に関してはほとんど呪文みたいになってしまった。
 でも、他にも行程覚えようとすると、だいたい呪文になっちゃうんだよなぁ。
 何気にみんな口ずさんでいるから、恥ずかしさは半減している。

「ハッチ氏できましたか?」
「何とか形にはなったかな。若干歪んでるけど……」
「十分十分。歪んだ分は金属部分を調整したら良いです」

 ドリルマスター氏に教えてもらいながらランプのガラス部分を作成中。

「だけど、ドリル氏がガラス得意とはね」
「吹き付けの時の回転が上手くハマりましてな。石英買いまくって遊んでたら……」

 気持ちはわかるけど、それでスカンピンになってしまったら何もできないでしょ。

「お金は計画的に使わないとねー」
「ですなぁ」

 ん? 俺はもう安定してるから良いんだよ。
 それよりも外が騒がしくなってきたな。

「ドリラー!」
「スコッパー? どうした?」
「どいつか知らねぇが、大量に土鉱石を売っぱらった奴がいるぞ!」
「なんだと!? だったら」
「買い時だぜー!」
「ひゃっはー! 金貸し行ってくる!」

 しょうがねぇ奴らだな。

「ハッチ氏は買わないんですか?」
「もちろん」

 買うに決まってるだろー!




 一足遅かったか。
 一個も買えなかったけど、懐には優しかったと諦めよう。

「ドリラーはよく買えたな」
「スコッパーよ。俺には最強のパトロンがついてるのさ」

 金ねぇって言ってるのにどこから引っ張ってくるのか。
 ドリル氏の人脈も計り知れない。

「ハッチさん」

 お、モウカさん。ちょうど渡したいものもあったんだ。

「ちょっと狩りしてきたので、こちらをどうぞ」
「土鉱石! ありがたい! お返しじゃないけど、こっちも渡したいのあったんですよ」

 インベントリから取り出したのは釣竿。

「報酬の竿ですね。ありがとうございますわ」
「もう一本はモジョコさんにも渡しておいてください。それで、こちらは新しく作れるようになったルアーロッドです。素材は『剛魔20%竹』と『軟魔8%竹』を使用してます」

 2つに分かれているのを連結し、完成形を見せる。

「目的魚種は特に決められてないですが、『サハ銀』程度なら引きずれる強度があります。ジグやエギが適当で、毛鉤《けばり》は難しいですね。強度を持たせたので若干強度が……」
「ちょ、ちょっと待ってください」
「どうかしましたか?」
「細かい用語がわからないんですが、『サハ銀』が釣れるくらいなのですね?」
「糸の強度によりますが、釣るだけなら出来ますね」
「それだけ聞けたら十分ですわ」
「そうですか。もっと細かい情報があるんですけど」
「ちょっと用事がありますので~~~~~」

 まだまだ伝えたいことあったんだけど、仕方ないか。
 ちょっと背中が重いな。
 まぁ、気のせいだろう。

「新作いいにゃー」
「わたしも欲しいにゃー?」
「いくら? いくら?」

 残念ながら、お前らの相手をする暇は無い!
 PR情報も資料もらったから告知がある。
 それに、早く風足さんの依頼をクリアしないとね。

 _______________
 
 輸送パック(3)

 設計図:竹の延竿(100)
 設計図:劣化魔竹のロッド(100)

 _______________

 これで、あとは指定の人に郵送するだけか。

「異方運送竜空便をご利用ありがとうございます」
「異領運送竜空便をご利用ありがとうございます」
「異層運送竜空便をご利用ありがとうございます」

 こえぇぇぇ。
 3回分頼んだけど、3人とも重ならなくても良いでしょ。

(ハッチさんがまたなんかやってるぞ)
(何々? こっわ)
(うわぁ。これ報告案件でしょ)
(本人もドン引きしてるし)

 画面保存して……
 とりあえず一人分送ってみるか。

「それでは」ぶわっさぁ
「ぐぅ!」

 しまった。衝撃が……

「ごっほ。うぇ。ぺっぺ」

 <ミズガルズ:ゴンジー(人族)に輸送しました。>
 一応送れるみたいだな。
 それなら残りもやっちゃいますか。

「「それでは」」

(ぎゃああああ)
(目がぁぁぁ)
(ペロちゃーん!)
(たすけてー)
(ぐふっ)

「ひどい目にあったな。これは運営に報告しておかないといけないな。めっちゃHPも減ってるじゃないか」

 <ポックル領:コロ(ポックル族)に輸送しました。>
 <スヴァルトアルヴへイム:ウーゴ(オーク族)に輸送しました。>

 輸送はできてるのか。
 重なる不具合と……ダメージ問題かな。
 打ち上げられるから、落下ダメージがでかいのか?
 そこら辺は確認してくれるでしょ。

「シャイン! シャイン大丈夫か!」
「デスドロップ拾っといてくれ……」
「しゃいーん!」

 あの人も運営か企業かな?
 金属鎧ってのも珍しいな。どこの社員だろ?

 いかんいかん。
 まだまだやることはあるんだった。
 工房で魔導ランプの続きを作らないとな。次は、カバーと足部分が必要か。


 ◇ ◇ ◇


「なかなかの出来じゃないか?」
「ほうほう。やっぱり雑貨鍛冶は敵いませんな」
「そこは負けてられないよな。でも、最近は2陣にスキルレベルも抜かれ始めてるんだよね」
「ハッチ氏は色々手を出してますからなぁ」

 そうなんだよねー。
 でも、一番は釣竿だから仕方ないか。

 <全体通知:竜空便使用時の不具合について>

「あ、俺が報告したやつだ」
「ほうほう。修正中のためしばらく一通ずつ輸送するようにですか。あとは……使用事のキャラ打ち上げと砂埃は仕様? なるほど」
「マジかー。毎回ダメージ受けるのも辛いんだよね」
「ダメージはどのくらい受けるんですか?」
「えっと、一回20%くらい減るかな?」
「なかなか痛いですな」



 _______________

(配送不可)竜空便!(配送可)

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 1:風吹けば重装甲被害者
 竜空便使用時は装備を外すべし
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