ネオ・アース・テラフォーミング〜MRMMOで釣り好きドワーフの生産奮闘記〜

コアラ太

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新しい都市

2層から3層へ

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 魔法工房へ顔出しに行くと、パッドたちはすでに出かけたようで、教授だけいつもの研究机にいる。
 教えてもらった鉱山のお礼を言うと、どこまで潜ったのか尋《たず》ねられた。

「2層までですね」

「そうか。3層から敵が魔素材を持っているから、行ったら取り忘れるなよ?」

 おぉ!?
 ついにファンタジー素材か!
 ウーゴの装備が良さそうなら行ってみるか。

 意気揚々と外に出ると、完全武装のグスタフさんとウーゴが話していた。

「待ってたぞー!」

 ウーゴの武器もメイスになっている。
 先に渡してくれたのか。

「今日は私も行きます」

「メイスの使用感を見たいってさ」

 そういうことか。
 ふむ。
 グスタフさんが来てくれるなら3層まで足を伸ばしてみようかな?




「うさぎもネズミも一発だけですね」

 坑道まで来たけど、途中の雑魚程度だとメイスの強さがわからないな。
 そのまま2層へ向かう。

 グスタフさんには先に坑道の説明をしていたんだけど、ヘビ以外は興味が無さそう。
 それよりも3層の魔素材を面白そうに聞いていた。

「ヘビ出ないな」「出ませんねー」

 これで5戦目だけど、出てこないな。
 ヘビもレアだったのかさらに5戦しても出てこない。

「場所変えてみようか」

 3層へ行く通路を探すついでに徘徊《はいかい》していると、カサカサと動く音が聞こえてきた。

「来たか!」「ヘビですか?」

 やっとお目当てのやつが来たみたいだ。

「よし! ウーゴ頼む……ぞ?」

「うっへぇ。こいつはキツイな!」

 ドワーフ鉱山でも見かけた奴に似ているが、こいつはサイズが2倍もありそうだ。

「ヤスデですね」

「とりあえず一撃当てるぞ!」

 ウーゴが飛びかかってメイスを振り下ろすと、簡単に胴体が千切れてしまった。
 まだ蠢《うごめ》いている頭部に土弾を当てると、すぐに動きが止まる。

「見た目のわりに結構やわらかいね」

 振り返ると、顔を隠しているウーゴが見えた。

「どうした? ダメージ受けてたっけ?」

「う……うぅ」

「ポーション使いますか?」

「く、くせぇ!」

 それだけ言うと回収もせずに離脱してしまった。
 多少臭いはするけど、そこまで臭いかな?
 グスタフさんもわからないようだし、種族的なものだろうか?

 それで、素材はまるで使えそうにない。
 外殻も柔らかく、中身もグズグズしている。
 一応少量取っておくけど、使い道が思いつかないな。

「ウーゴ! 回収終わったぞ」

「うわ! お前ら臭いから来んな!」

 そこまで言うか!?

「どうやら、かなりの臭いみたいですね。水は持ってるので流しておきましょうか」

 グスタフさんにもらった水を浴びると、多少ましになったのかウーゴが近づいてきた。

「お前らよくあんな臭いの解体できるな?」

「そこまで臭いしたかなぁ? オークは鼻が良いとか?」

「そんなことねーよ」

 わからないなぁ。ドワーフの鼻が悪いのかな?
 どちらにしてもヤスデは素材もマズイ。あまり戦いたくない相手だな。
 2人も同じ考えで、早く3層へ向かうことになった。



 3層へ切り替わると、辺りが少し明るくなる。
 ところどころから飛び出す岩が薄く光っていて、幻想的な景色に見える。

「おぉ! 一気に雰囲気が変わったな!」

 道幅も奥に向かうほど広くなっていて、道の脇には水がちょろちょろと流れている。

「グスタフさん!」

「わかってますよ!」

 降りたばかりなのに採掘スポットを発見!
 飛びつくようにそこへツルハシを振り下ろし、一心不乱に掘っていく。

「俺っちも混ぜろー!」

 1時間くらい掘ってたかな?
 終わってから気づいたのは、敵が一切出なかったこと。
 たまたま運が良かっただけかもしれないけど、セーフティーゾーンじゃないかという話になった。他の場所なら採掘2回に1回は敵が出てくる。

 集中して掘ったせいか、ドロップ量も良かったので、鉄は十分だろう。

「鉄は良いとして、私は魔素材を取りたいんですよ」

 教授の言ってたやつだね。
 採取か採掘か、それとも剥ぎ取りなのか?
 そこら辺を聞かずに出てきちゃったのは失敗だな。

「じゃあ、もちょっと奥行ってみようや」

 ところどころに見える岩が道標になっていて、通りやすくなっている。

「そういえばこの光ってる岩は取らないのか?」

 ウーゴは試してなかったのか。

「ちょっと見ててね」

 光る岩にツルハシを叩きつけると、カン高い音を鳴らしながら跳ね返ってきた。

「こんな感じで掘れないんだよ。加えて耐久度も一気に削れるから、取れないオブジェクトか上位素材のツルハシが必要だと思う」

 ウーゴが納得したようなので、引き続き進んでいくと、ペタペタという音が俺たちを出迎えてくれた。
 新しい敵はピョコピョコと跳ねるカエルが2体。

 どっちが言ったのか「デカイ」という声が聞こえた。
 俺らより若干小さい程度なので、ウーゴの大きさと良い勝負じゃないか?

 様子見していると、カエルからコポコポと音がしてきた。

「ハッチ氏! 避けて!」

「え?」

 戦闘では今まで受けたことのない衝撃だったので、かなりのダメージを受けた感覚はある。
 体に受けた衝撃に驚いて、気づいた時には、数メートル後方から2人の戦闘を眺めていた。
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