ネオ・アース・テラフォーミング〜MRMMOで釣り好きドワーフの生産奮闘記〜

コアラ太

文字の大きさ
上 下
64 / 111
新しい都市

オークって鬼っぽいよね。鬼と言えば

しおりを挟む
 ヘビ討伐後に周辺を探ってみると、採掘スポットをいくつか見つけた。
 そこから取れる物はドワーフ村と同じで銅と鉄のみ。

「ヘビが強かったから良いのが出ると思ったけど、こんなものか」

「俺っちは良いと思うけど、もっと奥行ってみるか?」

「いや、今日はここまでにしよう。ウーゴの装備を先に揃えたい」

 なんと言っても、ウーゴが戦力の要だからな。俺だけだと逆にやられていたところだよ。
 鉄も取れたし成果は問題ないので、足取り軽く街へ帰る。

「じゃあ、また明日な」

「テッケンさんによろしくね」

 うさぎや狼ばっかりだったから、ヘビ皮見たら喜ぶと思うんだ。
 失敗しても良いってことにしたから、大丈夫なはず。
 ウーゴも行ったし、俺も道具作りに行くか。

「待ってたよ」

 鍛冶工房でグスタフさんが待ってくれていた。

「素材の追加ですか? 今日もそこそこ取ってきましたよ」

「それもだけど、これを見てくれないか」

 そう言ってグスタフさんが取り出したのは、昨日言っていたメイス……のようなもの。
 思ったより短く先端は細くなっている。

「警棒にも見えますね。方針転換ですか?」

「違う違う。この先にこれから取り付けるんだ」

 確かに溝《みぞ》が入っている。
 でも、これだと……。

「首が弱くなってすぐ壊れませんか?」

「うむ。だからこっちも作ってみたんだ」

 こんどの棒は先端が太めに作られている。これなら首が折れることは無いだろう。ただし、接続した後の留め具が無い。それについても言おうとしたんだが、止められる。

「言いたいことはわかるが待ってくれ」

 先端部に殴打部を取り付けると、形だけはフランジ型のメイスになった。刃物が六方に剥き出していて、かなり凶悪な見た目になっている。

「このフランジにも穴があってな。組み合わせて……、ここに針金を通すんだ」

「あ! そういうことか!」

「ただのメイスなら、我々でなくても良いだろう? だから取り替え式のフランジにしたんだ。それに」

 新たに取り出したのは、何かの描き途中の紙。よく見ると、今見せてもらったメイスの持ち手部分のようだ。

「これは?」

「配布用のオリジナルレシピを作っているんだ」

「えぇぇ!? そんなの出来るの?」

「教授のクエストで教えてくれたよ。ハッチ氏は魔法工房で調べてないから、知らないと思ったよ」

 グスタフさんの話では、魔法工房の資料室でレシピ集を探すとクエストが始まるらしい。内容も簡単で、数十分で終わるのでオススメだと言っていた。

「ひと段落したらやってみると良い。その前に」

 針金作りが待っている。
 2時間かけて針金20巻を作成した。

「これでしっかり締めて……、完成!」

【フランジ・メイス-(付け替え可)】

「これはなかなか、見た目も良いですね」

「あとは実践するだけです。これだけだと心配なので、こっちも作りました」

【スパイクメイス】

 木製の棒に金属を被せた形をしている。赤鬼が持っていそうな見た目だな。

「ヤーポンの鬼がスパイクを持ってるの見ました。オークならこっちもありかと」

 お伽話の再現か!
 確かに見たい気もする。
 明日が楽しみだな。ふふふ。



 ログイン後、ゲーム内の空を見ると、曇りとなっていた。
 なぜそんなところを見ているかというと、今朝のニュースで惑星の環境映像が流れたからだ。

 _______________

「久しぶりの惑星映像ですが、どう変わっているのでしょうね」

「長期計画ですからね。期待せずに見てみましょう」

 映像には、上空が雲で覆われていて、薄暗くなっている。そんな中でも、変わらずロボットたちがせっせと土を回収したり運搬したりする内容だった。ただし、それだけではなく、ドーム内の一部に小さな緑が見えている。

「まさか植物が生えているとは! なんという植物ですか?」

「資料によると、あれは持ち込んだ植物が変異したようで、AL–01と命名されたようですね」

「極小のサボテンにも見えますね」

 細かい分類などは発表されてないようだ。
 その植物も面白いが、ロボットの動く経路が面白い。

「ゲームで言うと、場所はどこでしょうか?」

「妖精種のある地域とだけ書かれています」

 俺にとっては慣れたドワーフ村から鉱山までの流れだったので見入ってしまった。
 ポックルやエルフの村も経路は同じなんだろうか?
 もうちょっと他の村に行っておけば良かったな。

 なかなか面白いニュースだった。
 こういう風景映像は好きだから、もっと流して欲しいな。
 もしくは、ゲーム画面とロボット画面の両方が見れる機能の追加を希望したい。
 _______________


「そこをどいてちょ」

 後ろを見ると、ケットシー族の知らない奴がいた。

「あ、ごめん」

「ありがとん」

 あんなケットシーいたっけな?

「あ、ハッチ!」

「パッド?」

「今、僕の仲間通らなかった?」

「ちょうど向こうに行ったところだよ」

 軽くお辞儀して走って行ってしまった。
 パッドが追いついたのか、話している声が聞こえるけど、知らない言葉だな。
 ケットシーって別言語を持ってるのかな?
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

燃えよドワーフ!(エンター・ザ・ドワーフ)

チャンスに賭けろ
ファンタジー
そのドワーフは熱く燃えていた。そして怒っていた。 魔王軍の侵攻で危機的状況にあるヴァルシパル王国は、 魔術で召喚した4人の異世界勇者にこの世界の危機を救ってもらおうとしていた。 ひたすら亜人が冷遇される環境下、ついに1人のドワーフが起った。 ドワーフである自分が斧を振るい、この世界の危機を救う! これはある、怒りに燃えるドワーフの物語である。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜

古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。 かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。 その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。 ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。 BLoveさんに先行書き溜め。 なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

処理中です...