ネオ・アース・テラフォーミング〜MRMMOで釣り好きドワーフの生産奮闘記〜

コアラ太

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新しい都市

迷路な街と二足歩行なやつ

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 えっと、コメント表示はフレンド限定で良いんだっけ。
 これでチーム共有して。
 あ、ヤマトも起動しておこう。
 癒しは必要だよね。
 部屋名を決めて、これで開始っと。

「配信始めたんだけど、誰か確認してもらえますか?」

「オッケー。番号と名前教えて」

「部屋名が『アルフヘイム来た』で、番号は……5430です」

「んー。ここかな?」

 テッケンさんが操作していると、端っこにコメントが出て来た。

(できてるよ ——テッケン)
(おっすおっす ——テロップ)
(ドワーフ村とは大違いですね ——ぶち猫)
(その場でゆっくり周りを見てもらえますか? ——テロップ)

「了解」

(石造の建物で統一されているのかな ——テロップ)
(村とは違って区画整理されて綺麗だな ——オトシン)
(お? やっと日本も来たか ——サーモナー)
(山側は見づらいですね。あの森も外壁の内側? ——ぶち猫)

 んー? サーモナーって誰だっけ。
 ……釣竿送ったやつ。
 アランか!
 本当にわかりづらい名前だな。

「サーモナー。イギリスはもう開放されてるの?」

(そうだな。アメリカ、ロシア、インド、中国は開放されてるみたいだ。他にもいくつかあるらしいけど、俺は把握してないな。 ——サーモナー)

「なるほどね。というか、みんなにも見えてるかな? 伏字になってない?」

(見えてるよ。 ——テロップ)
(見えてる。 ——ぶち猫)
(おい。そんなことより早く街見せてくれよ。 ——オトシン)

「ごめんごめん。じゃあ出発しましょうか」



 街に近づくにつれて、砂利道から石畳に変わっていく。
 看板から街までは徒歩数分だけど、何度も牛バスとすれ違っている。それなのに、楽々通れてしまう程の道幅があった。

 街の周囲も壁で囲まれており、そこでも門番の検閲が入る。

「身分証を出してもらおうか」

 またエルフの衛兵が確認してくる。
 先ほどと同じように紹介状を見せると、通してくれた。

「あぁ。これはすごいなぁ」

「ギリシャのミコノスと似てますね。違いは島と平地という点でしょうか?」

「俺は行ったことないんですよね。グスタフさんは行きましたか?」

「一度だけあります。ふむ……」

 興味深そうに建物を見ているグスタフさん。
 話しかけづらくなっちゃったな。

「2人とも、早く目的地行こうよ。最悪地図だけでも見つけないと、迷っちまいそうだ」

 テッケンさんに押されて進むと、確かに迷いそうな道になっている。
 建物かと思えば壁だったりするし、通路が建物の上にも通っていたりと入り組んでいる。

「こっちですわ」

 モウカさんがいなければ、確実に迷子になってたんじゃないか?

 10分ほど歩き、その間に何度も左右に曲がり、階段を登ってアーチを渡る。
 その白さが余計に迷わせてくる。

「よく道がわかるね」

「見分け方はあるんですけど、工房か訓練所で教えてくれますので、ご自身で確認なさってください」

 特殊な見方があるってことか。
 ようやく大きな噴水が設置されている円形の広場に出てきた。

「マップにも表示されないし、どうなることかと思ったよ」

「だけど、目的地は見つかったね」

 噴水を中心に、ちょうど対角線上に訓練所と魔法工房の看板がある。

「他にも広場はありますが、しばらくはここだけで十分かと思いますわ」

 そう言うと、モウカさんは1人で目の前の宿屋へ入って行ってしまった。

「私たちも行きましょうか」

「そうだな。じゃ、2人とも何かあったら連絡くれ」

「「はい」」

 テッケンさんと別れて魔法工房へ入っていくと、背筋のピンとした猫が出迎えてくれた。

「いらっしゃい! お客さんかな?」

「あ。え? いえ」

 猫?
 しゃべってるし、立ってる。

「紹介状です」

 そうだ。紹介状出さないと!

「俺も!」

 受け取ってくれたけど、手というか前足だよね。
 どうやって掴んでるの?

「にゃるほど、おっと失礼。たまに訛りが出てしまうんだ」

 それって訛りなのか!?
 コメント欄がヤバいことになっているが、無視するしかない。

 着いてこいと言われて、工房の奥に連れられると、ポーションや薬草の並べられた部屋に案内される。
 薬屋と似ていて居心地が悪い。あまり良い印象が無いんだよな。

「先生! せんせーい! 新しい生徒が来ましたよー」

 誰も来ないな。

「また、こもってるかな。ちょっと待ってて」

 そういって奥の扉へ向かっていく。

「1、2、3と。入りますよ!」

 今の動きなんだ?

「ハッチさんも見ました? なんかのトラップでも入れてるんですかね?」

「見ましたけど、どうなんでしょう。そのうちわかるのかなぁ?」

 猫がいなくなって暇なので、コメント欄を見てみる。
 どうやら工房の奥に入ったら、ブラックアウトになってしまったみたい。長くなりそうなので、今日はここまでにして、街ブラは後日改めて行うことにした。

「じゃあ、そういうことで、ご視聴ありがとうございました」

「今日は街ブラできませんからね。妥当な判断です」

「もっと早いかと思ってたんですけど、この様子だと」

 言いかけたところで良い香りの風が吹いてきた。そちらを見ると、誕生日に通った不思議トンネルがある。

「転移ですかね」

 あれが転移か。確かにそうかも。
 猫が転移で戻ってきた。

「お待たせしました」
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