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何をするにも道具から

必要な物

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 グスタフさんの成人後、俺は焦っていた。

「どうしよう…。いや。新しいのは…。ダメだ。」

「もう諦めたらどうですか?」

「いやいや、まだ何かあるはず!」

「でも雑貨ですよ?」

 俺が焦っているのは成人式用の武器だ。
 俺の手持ちにある武器は作り直した銅の玉と金属棒。
 玉と棒を掲げるのか?
 下手すると垢バンされかねん。
 それもこれも、テロップ君のせいだ。

 テロップ君はぶち猫さんと一緒にやってきた2陣の動画撮影者。
 彼が、俺の成人式も配信するとか言い出したのを快諾した。
 そして後で気づいたのが、まともな武器を持っていないこと。


「助けてー!親方ん!」

「気持ち悪い言い方すんな!なんなんだ。」

「成人式用の武器が欲しいです。」

「その棒で良いだろ。」

「いや、これは使えますけど、コンプライアンス的に問題が…。」

「何言ってるかわからねぇが、棒じゃなきゃ良いのか?」

「できれば刃物で!」

 そう言うと親方は考え込んでしまった。
 さすがに不味かったか?
 ナイフ以外作ってないもんな。

「ほら。ハッチさん。やっぱり棒で行くしかないですよ。」

「そんなぁ…。」

「1個だけ思いついたのはある。」

 唐突に動き出した親方のセリフにびっくりする。

「あるんですか!?」

「雑貨に掛かってるから作れるが、ちょいとだけ難易度が高いぞ。」

「やる!やります!」

「それなら、また手紙書いてやるから掘ってこい。」

「うぇーっす。」

「なんでその時だけ、気の抜けた返事なのよ。」

 これは様式美と言うのだよ。




「お前も飽きないなー。わざわざ自分から苦労するなんてな。」

「仕方ないんです!垢バン回避の為には必要なドワ活なんです!」

「ほれ、次の動物きたぞ。」

 チュー!
 その声にはもう慣れた。
 金属の棒を降れば1当てで倒せる。

「ふ。俺も成長したものだ。」

「なーに言ってんだ。動物の中でも最弱倒して喜んでんじゃねえ。」

 すると階段から1人降りてくる者がいる。

「およ。ハッチさん。」

「グスタフさん。ドワ活ですか?」

「ええ。さすがに上ではスキル上がらなくなりましてね。」

 俺も最近わかったんだが、0層ではスキルレベルが10に上がらなかった。
 ちなみに今も上がっていない。
 おそらく9,9で止まっているんだと思う。
 未成年だから止まってるのか、他の要因があるのか。

「なので成人もしたし、下に降りてきました。しかし、監督も居て運が良い。」

 はて?何が良いのだろうか。

「監督に質問です。スキルレベル10になったら、何か特典はありますか?」

「その質問には50ゴールドだ。」

 そういえば金取るって言ってたっけ。
 グスタフさんからお金を取ると、何かを書いて渡している。

「俺も見たいなー…。」

「ふむふむ。良いですけど、私の予想だと見れないと思います。」

 そう言って渡してくれたが、文字化けしてわからなかった。

「本当だ。」

「特別な内容でもありませんが、もう少し知る人が増えないと開示されないでしょうね。」

「良くわかったな。」

 監督も驚いている。
 本当に、グスタフさんは頭良いんだよ。
 ただし、たまに変になるけどな。

「それも第2陣が来てわかったんですけどね。販売品に一番簡単な鍛冶のレシピが出て納得しました。」

「そうなんですか。俺の釣竿作成も近いかな?」

「それはハッチさんの頑張り次第です。というか釣竿なら木工では無いのですか?」

「それも習ってますけど、釣り針とかリールとかありますし。それに魔物釣るなら金属の竿も必要かと思いましてね。」

 そう言って棒を叩く。

「なるほど、確かにそうかもしれませんね。私から話を振ってますが、良いんですか?また敵来ますよ?」

「やば!掘らなきゃ!」

 今日も戦利品は良好。
 しかし変わらずマイナス付き。
 監督にも多めに掘って、ツルハシ変えろと言われてしまった。
 マイナスは付いても、掘るスピードが早くなるらしい。




 雑貨屋に戻ると、さっそく親方の授業開始。

「じゃあ、始めるか。」

「ところで、何を作るか聞いてなかったんですけど。」

「今回教えるのは鉈だ。」

 ナタか。
 狩人とか、森で使ってるイメージだけど、確かに剣っぽいよな。

「一応武器種にもなるが、雑貨でも作れる。俺の使ってるのはこれだな。」

 親方が取り出したのは、薄く赤に輝く刀身のナタ。

「かっこいい!」

「ここまでのは作れねえが、最下級ならギリギリ間に合うかもしれんな。」

「よろしくお願いします!」


《日本地域。全体アナウンス。日本地域。全体アナウンス。》

「急にどうしたのよ。」

「アップデートとかあったっけ?」

《初のスキルレベル10獲得者が現れました。以降10以降のスキルレベルが解禁されます。》

「え!?それって全体で止まってたってことでしょ?掲示板に誰も書いてないわけだわ。」

「前に言ってた10に上がらないって板だっけ?」

「そう。結構議論されてたけど、どうやったのかしら?」

「ひよっこども!そんなことより作業しろ!」

 おっと、ゲンコツ来る前に意識を戻さねば。

「じゃあ教えるか。とりあえず今まで通りインゴット作んな。」

「ラジャー!」
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