上 下
5 / 111
何をするにも道具から

鍛冶修練1

しおりを挟む
 今、俺は村の端にある鉱山で採掘をしている。

「くっそー!採掘だけでもハードモードかよ!」

「新入り!うっせーぞ!」

「うーっす。」

 ツルハシを振るうたびに飛び散る石片。
 顔にぽこぽこ当たって時折HPゲージが減少している。
 時間経過で戻るが、気になってしょうがない。
 対策はゴーグルを購入すること。
 そして俺は無一文!


 時を遡ること2時間前。
 アルデンさんの店から戻ったところ。



 ◆ ◆ ◆



「ちゃんと渡せたか!?」

「はい!」

「よし!今のうちに顔を売っておけ!次は鍛冶に入るぞ!」

「待ってましたー!」

「うむ。じゃあ鉱山行け。」

「え?」

「え?じゃねぇ!練習する鉱石くらいとってきやがれー!」

「はいーー!」

 店から蹴り飛ばされて、外に出るが、鉱山てどこにあるのさ。
 そしてHPゲージが2/3まで減っている。
 そのうち親方にPKされるかもしれないな。

 止まっていても始まらないので、また人に聞いて回るか。
 ちょうど前を歩いていたドワーフがいたので聞いてみる。

「すみません。鉱山ってどこにありますか?」

「鉱山?お前成人前じゃねーか。外は行けねえぞ?」

 なんと、鉱山は外にあるらしい。
 早くも難関が待っていたが、事情を説明すると、すんなりと解決。

「鍛冶修行か。それなら監督付きでいけるぞ。ドーインさんなら良いだろう。ついてこい。」

 ツルハシを構えて、足早に歩くドワーフ。
 その後ろをついてくと、門の外まで行けた。

《未成年の外出は、監督者から一定の距離を離れるとステータスペナルティがあります。》

 どこまでも厳しいアナウンス。

「ここが、鉱山だ。結構近いだろ?」

 歩くこと5分で到着。
 こんな近場に行くのに監督付きなのか…。

「未成年は1階層しか入れないからな。もっと良いのが欲しけりゃ成人してからだ。」

「よし!早速掘るぞ!このゲーム初のドワ活だな。」

 念願のツルハシ1打目:クリティカルヒット!
 洞窟に反響する良い響き!
《採掘+が0,2上昇》
 続きの2打目:石片が当たりました。
 3打目:石片が当たりました。
《耐久が0,1上昇》
 4:石片が
 5:石片
《耐久が0,1上昇》
《採掘+が0,1上昇》

「すんませーん。石片が痛いんですけど…。」

「ん?そりゃ。ゴーグルしねえと痛いわな。次来る時は買ってこいよ。」

「金あったっけ。ストレージはこれか。」

 _______________
 所持金:0ゴールド
【木のトンカチ】【歪な雑巾】【ザリガニ】【石のカケラ(9)】【廃棄物】【くず鉄の劣化インゴット-】

 _______________


「見事に何も無い。廃棄物に至っては使い道が思いつかないし、下手に捨てても良いのか…。」

 監督に聞いてみると一応廃棄物にも使い道はある。
 敵に投げつけると一定確率で混乱状態にできるらしい。

「投げるってもなぁ。」

 石のカケラを1つ投げてみると、明後日の方向へ。
 もう1つ投げる。
 跳ね返って自分へ当たったぞ!
《投擲が0,1上昇》
《耐久が0,1上昇》

 お金貯まるまでは、休憩しつつ集めるしか無いか。


 結局掘れたのは【石のカケラ(45)】【劣化銅鉱石-(5)】【劣化鉄鉱石-】【砂利(15)】【砂(23)】

「これでインゴット作れます?」

「無理だな。ってか下手くそだな。掘ってる場所も良くねえぞ。」

 そう言って監督が説明してくれる。
 俺が掘ったところは、色合いが悪いらしい。
 監督が指したところは、光っていて鉱石が詰まっている。
 らしい。
 見てもわからんぞ?
《鉱物探知が0,1上昇》

「え?鉱物探知?」

「お。そのスキルがわかったか。じゃあそれも鍛えないとな。」

 再び掘り始めると、監督が言った場所だと鉱石が多めに出た。
 ただし全て劣化-。
 これは俺のスキルの問題だな。
 今思うと、このまま放り出されていたら、かなりの鬼畜モードだったんじゃないか?

「とりあえず、今日はここまでかな…。」

「終わりか?じゃあ戻るか。」

 なんだかんだで、色々教えてくれたりと監督は優しかった。

 店に戻ると今日は仕事終わりで、ドーイン親方は酒を飲みに出かけている。
 店番してる奥さんから晩飯をご馳走になり、屋根裏で就寝。
 ちなみに奥さんの名前はリリーさん。
 裁縫が得意で、空いた時間に編み物してるらしい。
 糸術あるし、教えてもらっても良いな。

 思いもよらず、生産寄りになってしまった。
 村から出れないし、仕方ないか。

「ログアウト!」



「ふぃー。結構疲れたな。リンクステージも電源落としてっと。」

 浮遊感が無くなり、地面に着地。
 アランから着信が来てるな。

「アランか?すまん。今までやってた。」

「望太も始めてたか。どんな種族にした?」

 ハーフドワーフにしたことを伝えたら、知らなかったみたいだ。細かく探さないと見つけられなかったしな。アランはリーパットっていう種族にしたらしい。人間の半分サイズでって、ポックルと似てるな。そのうち情報も出てくるだろう。
 アランの名前も昔から使ってた『うなぎ』にしていた。


「そうそう。だからあと2ヶ月は村の中だよ。」

「こっちもスキル上げ無いと厳しいから、似たようなもんだよ。」

「じゃあ、合流はしばらく先だな。」

「とりあえず、次ログインしたらフレンド送ってみるね。」

 ピッピッピッピとタイマーが鳴った。
【水槽の水換え準備】

 忘れるところだった。
 ビーシュリンプの水換えしなきゃ。
 水質はOKと、あとはセットして…。
 あとは自動でやってくれる。


 今日やったことをブログに書いておく。

「ドワーフ村は死屍累々。ハーフドワーフはハードモードなりと。」

「明日もドワ活がんばるかー。」
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

Freedom Fantasia Online 不遇種族、魔機人《マギナ》で始めるVRMMO生活〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:429

処理中です...