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何をするにも道具から

ドワーフ村

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「ここが初期村か。長閑な村だなぁ。」

 あたりを見渡すと、石垣に長屋。
 少し離れた場所に山と洞窟がある。
 鉱山かな?

 そして下を見ると死屍累々。

「助けてぇ。」
「動けない。」
「なんでこんなちっちゃいんだよ!」
「年齢制限の罠だ…。」

 ドワーフの少年少女が多数。中には幼児まで転がっている。
 お前ら注意無視したな。

 村の奥から1人のドワーフがやってくる。

「こんなところで、小童集めたのは誰だ?遊ぶのは良いが、成人するまで村の外出れないからな。破ったら生産の神の呪いが掛かるから気をつけろよ。」

 そう言って去って行った。

「マジかよ!」
「俺あと40年なんだけど?」
「私でも30年あるわ。」
「キャラデリしかねーよ…。」

「「「ログアウト。」」」

 この調子だとエルフも悲惨だろうな。

 すると近くの幼児に声かけられた。

「あなたも未成年ドワ?」

「まだ、そうですドワ。」

「はぁ。その見た目でも未成年か。エルフもダメそうだし。どうしよう。」

「妖精種が良いならポックルってのがあるみたいですよ?詳しく知らないので何とも言えませんが…。」

「ダメもとで調べてみます。ありがとうございました。」

 そう言うと消えてった。
 哀愁漂う幼児って違和感半端ねぇな。

 また、ドワーフがやってきて同じことを言っていく。
 これはそういうプログラムなんだな。
 早く離れよう。



 あと2ヶ月は、村から出られないなら、村でやること探さないとな。

 広場から、家々が並ぶ方へ向かっていくと、いくつかの店があった。

 とにかく釣竿を見つけないといけない。
 無ければ、作る必要がある。
 その為にドワーフにしたかったんだ!

 道具屋に入ると、恰幅の良いおばさんがカウンターにいる。

「すみません!釣竿ありますか?」

「ここじゃ扱ってないねえ。」

 品揃えを見てみると、生産用の道具やポーション系しか無い。
 他のゲームでもこういうことはあったが、娯楽系の道具は自作するか、エンドコンテンツになっていたんだよな。

「やっぱりそうかぁ。それなら作るしか無いよな。」

 そう言うとポーンという音が鳴る。

「ドワーフならそれが一番だね!よし。主人に教えてあげるように、言ってやろうじゃ無いか。」

 フラグがたったか!

「あんた!この子に物作り教えてやってくれよ!」

「ああん?どいつだ。」

 顔に傷が入った厳ついドワーフだ。
 睨んだだけで相手を殺せそう。
 それがジィっと見てくるんだからな。
 大人でもチビりそう。

「なんだ。一応鍛冶は持ってんのか。小間使いするなら教えてやっても良いぞ。」

「おなしゃす!」

《スキルクエスト:鍛冶修練 開始》

「俺は鍛冶のドーイン。親方って呼べ。お前は?」

「ハーフドワーフのハッチです。」

「ハッチだな。さっそくだが、配達行ってくれ。」

 そう言って渡されたのが、小さめの木箱。
 だけど、ずっしりと重みを感じる。

「そいつを木工のアルデアに持って行ってくれ。あと言っておくが、ドワーフにハーフもクソもねぇ。わかったら行け。」

「は、はい!」

 こえぇ。
 良いこと言ってるんだけど、とにかく顔が怖すぎる。
 ところで、木工のアルデアの家ってどこだろ?

 あそこの人に聞いてみよう。

「すみません。木工のアルデアさんの家ってどこかわかりますか?」

「ちょっとわからないかな。もしかしてプレイヤー?」

「あ。プレイヤーに聞いちゃったのか!」

「PC表記の出し方がわからないからね。区別つかないよね。俺はテッケン。」

「俺はハッチ。ハーフドワーフ。」

「やっぱりね。俺もハーフドワーフだよ。じゃないと制限厳しいからね。制限解除されてる?」

「あと2ヶ月は残ってるよ。それまで生産上げようと思ってる。」

「そっか。成人済みだから、先に村出てると思うけど、よろしくね。」

「こっちもよろしく。」

 そう言うとフレンド欄に登録するか確認がきた。

「あれ?フレンドきた。」

「こっちも。『よろしく』かな?システムの説明が少ないんだよね。何かわかったら教えるよ。そっちもわかったら教えて?」

「うん。」

 1人フレンドできたな。
 それより、アルデアさんを探さないと。





 探すのに30分かかってしまった。

「すみませーん!ドーイン親方から配達です!」

「はいはーい。いつもの包丁ね。」

 そうして出てきたのは頭1個以上大きな男。
 人族か!
 ハーフドワーフでも、150cm位だからな。
 でっかく見える。

「あれ?新しい子かな?」

「今度ドーイン親方に教えてもらうハッチです。よろしくお願いします。」

「お弟子さんか。木工のアルデンだよ。よろしくね。」

 木工か。
 釣竿作れるか聞いてみようかな。

「あの。釣竿って作れますか?」

「作れるけど…。」

 と言いながらチラチラ見てくる。

「うーん。今度、木工のやり方教えようか?」

「良いんですか?」

「ドーインさんのお弟子なら、作った方が良いよね。作ってもらったら怒られそうだし。」

 確かに怒るかもしれんな。
 そうなると、チビりで済めば良い方だ。

「是非教えてください。」

 鍛冶がひと段落ついたら教えてもらうことになった。

《スキルクエスト:木工修練 (待機中)》

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