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何をするにも道具から

チュートリアル

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《これよりチュートリアルを開始します。》


 じわじわと辺りを光が覆い始めると、草原マップに切り替わっていく。
 そこに1人現れた。中性的で性別はわからないが、いわゆる美形さんだな。

「ここからは専用AIがナビゲーションします。JP-101です。よろしくお願いします。」

「あぁ。こちらこそよろしくお願いします。」


 ステータスだが、ほとんどマスクデータになっていた。
 HP、MP、SPは他のゲームと同じだが、細かい数値は見れず、確認したい場合は専用スキルが必要になる。しかも、そのスキルでも大凡《おおよそ》までしかわからないらしい。もちろん力、素早さ等の数値も同じ。
 各ステータスの上昇判定はプレイヤーの行動に依存し、特定のクエストを完了させることでも、上昇させることができる。

 次にスキルのつけ方や外し方、スキル経験値について教わった。
 つけ外しは基本的にセーフティゾーンで行うことができ、それ以外で変えたい時は、課金アイテムか、特殊なスキルを使用することで交換できるようだ。
 スキル経験値は、上昇値の最低が0,1単位となっていて、100まで上がるとスキルレベルが上昇する。スキルごとにレベルの最大値は異なるが、進化するスキルとしないスキルもある。更にストーリーを進めると、スキルの融合も開放されていくみたいだ。

 正直、今説明されても、覚えてられそうにない。
 そう思ってると、進化可能時や融合可能時に、説明してくれるとわかった。

 ちなみにスキル最大レベルもマスクデータだ。
 プレイして覚えろってことだな。


「次は、実際にスキルを使用してみましょう。」

『採掘+』『釣り』『糸術』『鍛冶+』の生産スキルから試すことになる。

「え?糸術って攻撃スキルじゃないの?」

「『糸術』は、糸を使用した全ての行動に上方修正をかける効果があります。具体例をあげると、裁縫の成功率上昇等です。正確には補助スキルにあたりますが、生産も可能なのでこちらに入れました。」

「しくったな。後で攻撃スキル取らないといけないか。」

 採掘はツルハシで掘る動きをしたが、結構疲れる。しかも取れたのは【石のカケラ】。
 釣りでは1匹釣り上げるまで、餌を10個取られ【ザリガニ】が釣れた。
 糸術があるので、裁縫スキルが無くても、一応作れるらしい。見事に【歪な雑巾】が出来上がった。
 最後の鍛冶は、ひたすら金属が溶けるのを待ち、型へ流し込む。失敗。
 失敗失敗失敗。
 《鍛冶が0,1上昇》
 【廃棄物】
 《鍛冶が0,1上昇》

「ちょっとハード過ぎませんかねぇ!!?」

 さすがに黙ってられずに、声をかけるとニヤニヤしている。

「いつまでやってるのかと思いまして。ふふ。」

 ダメな奴に当たってしもうた。

「チェンジで。」

「受け付けていません。さぁ、続きをしましょう!」

「うへぇ。」

 綺麗なオレンジ色になったところで流し込む。
 …どうだ?
 よし!ギリギリ成功か。

【くず鉄の劣化インゴット-】

 ハードモードかよ。

「お分かり頂けたかと思いますが、スキル値が0の場合。100%失敗します。上昇するにつれて、成功確率も上昇します。また、適正な方法で行うことでも、成功確率が上昇します。」

 そう言うことは、やる前に説明するんじゃないのか?

 次に、戦闘だ。

「戦闘スキル無しでも、武器の使用は可能です。こちらも一定値経験を積むことで、スキルを獲得できます。」

 俺が手にしているのは木のトンカチ。
 鍛冶で使わずに装備していた物を持っている。
 軽く素振りしてみるが、良くわからないな。

「初期スポーン地点のモンスターを出します。」

 クソAIが指した所を見ると、片腕サイズのトカゲが出てきた。

「ドワーフ村の近くに出る、レッサーリザードです。戦闘を始めてください。」

 これまで溜まった鬱憤を晴らすところだ。

「死にさらぁせぇぇぇぇぇ!!!」

 スカ

「うおらぁぁぁ!」

 スカ

 当たらねえ。

「あれ?あんな難しい奴だっけな。」

「そりゃどういうことだよ!ぶへぇ。」

 《耐久が0,1上昇》

 AIに文句言ってる間に衝撃が来る。

「ちょ。よそ見すら出来ない。」

 しばらく俺が必死に戦っていると電子音声のアナウンス。

 《耐久が0,1上昇》
 《回避が0,1上昇》

「ま、まだか!?」

「問い合わせしてるから待ってねー。」


 《耐久が0,1上昇》
 《耐久が0,1上昇》
 《回避が0,1上昇》
 《自然回復が0,1上昇》

「ま、まだでふか。」

「わかった!君、年齢制限以下で始めたでしょ。ステータスに-補正がかかってるよ。それだとレッサーリザードじゃ無理か。」

 そう言って、俺の前のモンスターが消えた。

 良かった。
 痛みってほどじゃないんだが、ちょっと視界が悪いな。

「おへのかほ。どうなっへる?」

「はい。」

 鏡が前に現れると、ボッコボコ。

「ちょうど良いから回復行程に移ろう。このポーションを飲んで。」

 渡されたポーションを口に含むと、香りの強い青汁に海藻のフレーバー。後味に甜茶《てんちゃ》を感じる。

「うお!…こいつは結構くるな。」

「おめでとう!日本だと君が始めて噴き出さずに飲めたよ。」

 《称号:『ポーションドリンカー』を獲得》
 《称号:『初称号獲得者』を獲得》

「なんか知らないけど、称号もらった。」

「称号は後で説明するから、先に戦闘しようか。こんどは魔物じゃなくて動物ね。」

 ドブネズミが現れた。

「今度こそ!やぁ!」

 …

「えい!」

 ……

「ぜぇぜぇ。やったか…。」

「おめでとう!戦闘はこれでクリアだね。」

「やった。」

「最後に補助スキルと言語スキルの説明に移ります。」

 補助スキルは、さっきの『糸術』みたいなものから、視力を強化するものまで様々だ。ステータス向上系から戦闘や生産スキルの効果を上昇させたりする。

 言語スキルは、その地域の言語を話したり、読み書き出来るようになるスキルだ。
 俺がとった精霊語は、エルフ、ドワーフ、ポックル等の妖精種が使う。ポックル族は人族の半分サイズ、酒好きで陽気な種族だ。他にも妖精種はいるみたいなので、どこかのストーリーで出てくるかもしれない。
 機械言語は、シークレットになっていた。これも進行度合いで出てくるのかもしれない。しかし、そんなの最初に貰ってもなぁ…。


 クリア報酬【初心者セット】を得ました。

「初心者セットは、初心者用の装備が封入されています。開封後に装備してください。」


 言われた通り装備してみる。

 _______________

 名前:ハッチ
 種族:ハーフドワーフ(未成年)
 職業:なし

 頭:なし
 胴:布の服
 腕:なし
 腰:布の短パン
 足:草鞋

 武器:木のトンカチ


 <戦闘スキル>
 なし
 <魔法スキル>
 なし
 <生産スキル>
『採掘+:LV0』『釣り:LV0』『鍛冶+:LV0』
 <補助スキル>
『糸術:LV0』
 <言語スキル>
『精霊言語:LV1』『機械言語:LV1』
 _______________

 せめて長ズボンにして欲しかった。


「先程の称号は、特定の効果を増加・減少させる効果があります。詳細は称号欄を確認ください。」


「これでチュートリアルは終了です。これから初期地点へ送ります。GOOD LUCK。」

 やっと終わった。
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