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第6章 帝国編
第123話 魔王
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『まずは屍兵を減らし、魔王の進行を食い止めましょう。
魔王の軍と戦う上での作戦は大きく分けて3つあります。
1つ目は、屍兵が越えられないような土壁を作ります。龍脈の力で地殻変動を起こせば、巨大な防壁ができるはずです。
2つ目はパガンさん達と協力して、浄化のための結界を作ります。一人分の力だけでは里一帯を覆うのは難しいですが、ティオの浄化の力を強化して行き渡らせる仕組みがあれば、龍脈の力と合わせることでできるはずです。
そして、3つ目は武具に浄化の力を付与すること。屍兵と普通の武器で戦うよりも効果はあるはずです。
ほとんどが事前の準備が肝になりますので、皆さん頑張りましょう!』
この3つでまずは相手をする屍兵の数を減らしつつ、さらに弱体化させてトドメを刺していくことで魔王の進撃を食い止めるという方針となった。
アルクスの号令で、準備が始まった。 アルクスは龍脈の力を引き出して土の精霊ナトゥと協力すると、大地を隆起させた。アルクスから光が放たれたかと思うと、あっという間に頑丈な土塁が築かれた。
『さすがアルクス!』
アリシアが感嘆の声を上げる。
『ナトゥがいてくれたからね、龍脈の力さえ使えればこれくらいはね。ティオ、次は君だ。』
『は、はいっ!』
ティオは土塁の前に立ち、杖を高く掲げた。一帯に敷かれた結界に浄化の力が注がれ、青白い光を放ち始める。
『今回は広いから3人で協力して龍脈の力を使わないと厳しいかもしれない。』
バルトロとアリシアも力を籠める。
『浄化の祈りよ、届け!』
ティオの杖が地面を打つ。結界が輝きを増し、一帯に神聖な力が満ちる。
その間に武具に浄化の力を付与する。巨人族の鍛冶屋達が、不眠不休で武器を鍛え上げていく。
結界の内側が浄化の力で満たされた頃、スペルビアから武器の準備も整ったことが知らされた。
そして僅かな時が経ち、遂に決戦の時を迎え、大地が、再び唸りを上げた。
『来るぞ、準備はいいな!』
スペルビアの叫びに、配置についた里の戦士達も身構え咆哮をあげた。
土煙を巻き上げ、黒い影が迫ってくる。屍兵の大群だ。中には、巨人の亡骸で作られたと思しき、巨大な屍兵もいた。
『あれは先日の戦いで倒れた戦友です…』
パガンが悲しげに呟く。
『必ず、彼らを解放します。』
巨人達は怒りに目を燃やし、剣を構える。
屍兵達はまるで理性を失ったかのように直進してくる。土塁にぶつかり、浄化の力で砕け散っていく。だが、後ろから新たな屍兵が押し寄せてくるため、際限がなかった。
そして土塁に1つだけある里への入り口へと流れ込んできた。
『今だ!結界に力を!』
屍兵達が直線上に集まると共にアルクスの号令をかけ、ティオが地面へと杖を突き立てた。結界が爆ぜるように輝く。 蒼い光の波が、屍兵の大群を飲み込んでいく。焼け付くような浄化の力に晒され、一帯の屍兵達は次々と崩れ落ちていった。
だが、中には浄化されずに、這いずってくる屍兵もいた。
『こいつらは俺に任せろ!』
バルトロが雄叫びを上げ、屍兵達の衝撃を受け止めると、聖なる力を込もった盾で倍以上の衝撃を返していき、強力な屍兵達を粉々に砕いていった。
『さすがだな、バルトロ。私たちも負けていられない!』
スペルビアもシンケルスと共に加勢し、屍兵達を薙ぎ払っていった。巨人族の戦士達も、負けじと次々と屍兵を倒していく。
そのとき、戦場の後方で不気味な音が響いた。ガシャン、ガシャンと骨の鳴る音だ。
屍兵の群れを割って、一団の骸骨兵士が姿を現した。まるで地獄の軍勢のようだ。先頭に立つのは、巌の如き鎧を身に纏った巨大な骸骨兵だった。
『我は屍炎将軍グズマ。屍兵の群れを一掃する程の戦術、見事なり。しかし、本当の力は我ら騎兵団にこそあり。御手合わせ願おう』
グズマの声は、呻き声しかあげることのできない屍兵達とは違いどこか人間味を感じさせるものがあった。しかし、その姿は死を運ぶ死神とでもいうような様相であった。
巨人の戦士達が前に出る。双方が突撃し、激しい戦いが始まった。骨でできた騎兵団は、巨人の一撃で粉々に砕けるものの、すり抜けた骨槍の一撃も巨人達にダメージを与えるのに十分だった。
『まずい、このままでは消耗戦になってしまう…!』
スペルビアが叫ぶ。
『仲間の仇…!』
その時、パガンとグズマが激突した。強烈な巨人の一撃と、素早い手数で攻めるグズマ。一進一退の攻防が続く。
しかし、徐々にパガンの体力が減っていくのが見て取れる。そして、ついにパガンの渾身の一撃がグズマの頭部を砕く。しかし、パガンも腹部を槍で抉られ。両者が同時に倒れた。
『パガンさん!』
数名がパガンの下に集まった。
歓声が上がったのも束の間、地面が黒く光り始めた。そして、恐ろしいことに、戦いで倒れた巨人達が屍兵として動き出したのだ。
『こ、これは…!』
事態にいち早く気がついたティオが驚愕の声を上げるとアルクスは即座に判断した。
『撤退だ!結界の中まで後退!』
なんとか全員を結界の中に退避させ、ティオと協力して浄化の力を最大限に引き出す。屍兵となった巨人達を、皆涙を堪えながら浄化していく。
敵の大半は浄化・粉砕できたが、巨人達も疲弊していた。
里の守りを固め直した頃、気付くと屍兵達は消え去っていた。そうして戦いが一段落すると、緊急会議が開かれた。
『敵の将は倒しましたが、パガンも治療でしばらく戦えそうにありません。負傷者も多いですし、このまま連戦は厳しいでしょう。しばらくは守りを固めて耐えるしかなさそうです。』
巨人の戦士の声に皆頷くしか無かった。
『僕達が敵の拠点に潜入するのはどうでしょうか。』
驚きの声が上がる中、アルクスは説明を続けた。
『森を抜けた先に廃墟の都があると伺いました。そこが魔王の拠点の可能性が高いことも。』
ティオが不安そうに尋ねる。
『ですが、危険すぎないでしょうか?』
『確かに危険は伴います。でも、このまま守りに入っても何も解決にはならず、時間と共に事態は悪化するはずです。魔王の真意を探り、必要があれば僕達で魔王を倒すことも考えないといけません。』
慎重な議論の末、アルクス達一行で潜入することが決まった。
森を抜けると、そこには廃墟と化した都が広がっていた。しかし、その中央には違和感のある白亜の城がそびえ立っている。
『あれが魔王の城か…』
都の中には屍兵の姿はなく、ところどころに骸骨兵が動いているだけだった。
『念の為逃げる時に備えて、要所要所に浄化の結界を仕掛けておくことってできないかな?』
アリシアの提案で、結界を張りつつ慎重に進んでいく。
城の前には巨大な甲冑の騎士が立ちはだかっていた。
『別のルートを探した方が良いな、今事を構えるべきではない。』
スペルビアが提案するが、その時だった。
『生者の気配がする。』
甲冑の騎士が動き出し、瞬く間にアルクス達は包囲されてしまった。
『ちっ、やるしかないか…!』
バルトロが唸る。その時、空から一つの影が舞い降りてきた。
『王の客人だ。』
黒い翼を持つ天使のような存在が現れ、そう告げた。甲冑の騎士達は空からの来訪者へ跪くと即座に道を開けた。
『こちらへ。』
アルクス達は黒翼の天使に案内されるまま城内へと入っていった。
城内は、外観からは想像もつかない別世界だった。屍兵や骸骨兵は一切おらず、むしろ神々しい浄化の気配で満たされている様にすら感じる。
『この先が王の間です。』
案内役の天使が告げる。玉座に続く道には、神々しさを放つ翼の騎士達が並び、玉座の横には複数の翼を持つ天使達が控えていた。ただし、その翼は皆黒く輝いていた。
そして玉座には、まばゆいばかりの光と、全ての光を吸い込むような漆黒が同居する存在がいた。
『よくぞ参った。まぁ、くつろぐがいい。』
その声には、身体の芯からびりびりと震えるような威圧感があった。
『我は魔王と呼ばれている。神になれなかった者のナレノハテだ。主らのことはよく知っている。我が屍兵と骸骨兵達を浄化したと聞いて、やってくるのを待っていた。まさかこんなところにいたとはな。』
アルクスは威圧に耐え、勇気を振り絞って口を開いた。
『お願いがあります。巨人達との争いをやめてください。』
魔王は、不敵な笑みを浮かべた。
『ただ兵力を増やしたいだけだったんだがな。巨人である必要もない。屍兵達では将軍クラスでないと戦力としては役に立たないことがわかった。現在上で開発中の魔兵達の方が質は良いし、そちらに集中するか。神の手勢も量より質であるからな。』
魔王は会話をするというよりも、ただ言いたいことを一方的に喋っている様にも見えた。
そして魔王はアルクス達を見つめて言い放った。
『主等も見込みがある。我が手駒とならぬか?』
アルクス以外の面々がその言葉に一瞬戸惑うも、アルクスはきっぱりと断った。
『申し訳ありません。私には、やるべきことがあります。』
アルクスの言葉を聞くと、魔王は興味なさそうに仰け反った。
『ふっ、欠片を持たぬ者では魔兵の材料にもならぬし、我が手駒にならぬのであれば我としては興味のないところだな。神を討つ邪魔をせぬのであれば好きにするがよい。』
『か、神様を討つだなんて…そんなことをしたら世界が崩壊してしまいます…』
ティオが呟くと、そこに魔王が反応を示した。
『ほう、世界が崩壊か。お主らは「欠片」と「楔」について、どれほど知っている?』
『欠片とはラピスのことでしょうか?そして、「楔」は龍王様達のことかと。』
アルクスの答えに魔王が感心した表情を示した。
『そうだ。ただの人間が良くそれを知っている。「欠片」は、神々が生物に与える力の源だ。そして「楔」は、世界の均衡を保つ重要な存在だ。』
魔王の説明に、一同は息を呑んだ。
『我の目的は、神々が管理する世界の再構築だ。現在の秩序は歪んでいる。より公平な世界を作り出すためには、神々を倒す必要がある。あぁ、もちろん龍達に手は出さぬ。だから楔は崩壊せぬ。だが、新たに生まれる者達に欠片を授けるものがいなくなるから世界のありようは変わるだろうな。神が不在になることで他の神が狙ってくるかもしれぬから、我が新たな神として治めてやるのもまた一興か。』
魔王の言葉に、アルクスは深く考え込んだ。
力無き者達への救済を考えるアルクスとそもそも力無き者達が生まれない世界に作り変えようとしている魔王。
アルクスは自分の考えが狭かったことに気付くと共に、魔王のやり方では多くの混乱が生まれることも分かりきったことだった。
『私には、力を持たない者の国を作るという目標があります。与えられた力である、ラピスに頼らない国を…
力のない者が幸せに暮らせるのであれば、私達には異論はありません。』
魔王は満足げに頷いた。
『神に与えられた力で人生が決まる世界の方が幸せな者は多いかもしれないがな。
だがやり方は違えど神々が敷いた秩序から外れ様としているのは同じか。』
しばしの沈黙の後、魔王は提案した。
『どうだ、取引をしようではないか。我はもう巨人達に手出しはしない、そしてお主らの国作りにも干渉せぬ。その代わり、我が叛逆の邪魔をしないこと。龍達に出張られては計画にも滞りが出るからな。』
取引と言いつつも、余裕の表情で魔王は提案してきた。
そして、アルクスが悩んでいる様子を見たバルトロが口を開く。
『少し考える時間をくれないか。』
魔王は寛容に頷いた。一行は別室に案内され、議論を交わした。
『アルクス、これは悪い取引じゃないと思う。戦って勝てる相手でもない、そして俺達は神に恩なんて者はない。巨人達は助かるし、俺達の邪魔もされない。良いことだと思うぜ。』
『私も同じ意見かな。アルクスの夢を叶えるためにはこれ以上ない条件だと思う。でもアルクスのお父さん達の事を考えるときっと巻き込まれるよね…』
バルトロとアリシアは魔王の提案に賛成だった。
『私はこの世界の神のことなど知らん。アルクスが好きに決めるといい。』
『蒼翠龍様と敵対しないのであれば、私もアルクスが決めればいいと思う。』
スペルビアとクリオはアルクスに任せると言う。
『あ、あの…神様と戦うのだけは絶対にダメです!でも困った人達がいたら助けてあげないと…』
ティオは神と戦うのだけはダメだが、そうでなければ救済さえ行えば細かいことは言わない様子であった。
『受け入れましょう。形はどうあれ、生まれ持ったではなく、個々人の努力で変わる世界を目指して。』
玉座の前へと戻り、アルクスは答えた。
『ふむ、合意できて良かった。しかし、お主らに神の手が及ばないとは限らない。念のため我が配下を1人つけておこう。』
そう言うと、一人の黒翼の天使が前に出た。
『この者はクレード、何かあればこの者から我に瞬時に知らせが届く。監視をするつもりなどないが、困ったときには助け合わんとな。』
クレードは、アルクス達に深々と頭を下げた。
『皆様のお役に立てることを光栄に思います。』
魔王の顔がニヤリと歪んだ。
その後、思いがけない宴が開かれた。アルクス達は、戸惑いながらも魔王の饗応を受けた。不思議な空気が流れる中、バルトロが大胆にも魔王に問いかけた。
『魔王よ。貴方はは本当に神を倒そうとしているのか?それは世界を良くしたいと思っているのか?それとも、ただの復讐心か?』
魔王は、深い目でバルトロを見つめ返した。
『我を動かしているのは復讐心でしかないであろう。だが、この世界はもっと公平であるべきだ。神々に選ばれなかった者たちにも、機会は与えられるべきだ。さて我の姿は主らにはどう映る?』
アルクスは、真剣な表情で答えた。
『僕には、孤独に見えます。』
一瞬、魔王の表情が揺らいだように見えた。しかし、すぐに元の不敵な笑みに戻る。
『我が孤独か、面白い答えだ。』
宴の終わり際、魔王は最後の言葉を残した。
『お主らの行く末が楽しみだ。この世界に、どんな影響を与えるか…見守らせてもらおう。楽しみにしておるぞ。』
宴も終わりアルクス達は、複雑な思いを胸に城を後にした。
巨人の国に戻ると、真紅龍を始めとする皆が心配そうに待っていた。アルクスは、魔王との会談の仔細を説明した。
『もう攻めてこないということで合意できました。』
その言葉に、巨人達の表情が複雑に変化した。怒りと安堵が入り混じっている。
真紅龍が、重々しく言った。
『魔王の真意は分からぬ。だが、今はこの平和を大切にせねばならん。』
戦いは終わり、巨人の里に平和が戻った。だが残された者達は複雑な思いを胸に生きていくしかなかった。
魔王の軍と戦う上での作戦は大きく分けて3つあります。
1つ目は、屍兵が越えられないような土壁を作ります。龍脈の力で地殻変動を起こせば、巨大な防壁ができるはずです。
2つ目はパガンさん達と協力して、浄化のための結界を作ります。一人分の力だけでは里一帯を覆うのは難しいですが、ティオの浄化の力を強化して行き渡らせる仕組みがあれば、龍脈の力と合わせることでできるはずです。
そして、3つ目は武具に浄化の力を付与すること。屍兵と普通の武器で戦うよりも効果はあるはずです。
ほとんどが事前の準備が肝になりますので、皆さん頑張りましょう!』
この3つでまずは相手をする屍兵の数を減らしつつ、さらに弱体化させてトドメを刺していくことで魔王の進撃を食い止めるという方針となった。
アルクスの号令で、準備が始まった。 アルクスは龍脈の力を引き出して土の精霊ナトゥと協力すると、大地を隆起させた。アルクスから光が放たれたかと思うと、あっという間に頑丈な土塁が築かれた。
『さすがアルクス!』
アリシアが感嘆の声を上げる。
『ナトゥがいてくれたからね、龍脈の力さえ使えればこれくらいはね。ティオ、次は君だ。』
『は、はいっ!』
ティオは土塁の前に立ち、杖を高く掲げた。一帯に敷かれた結界に浄化の力が注がれ、青白い光を放ち始める。
『今回は広いから3人で協力して龍脈の力を使わないと厳しいかもしれない。』
バルトロとアリシアも力を籠める。
『浄化の祈りよ、届け!』
ティオの杖が地面を打つ。結界が輝きを増し、一帯に神聖な力が満ちる。
その間に武具に浄化の力を付与する。巨人族の鍛冶屋達が、不眠不休で武器を鍛え上げていく。
結界の内側が浄化の力で満たされた頃、スペルビアから武器の準備も整ったことが知らされた。
そして僅かな時が経ち、遂に決戦の時を迎え、大地が、再び唸りを上げた。
『来るぞ、準備はいいな!』
スペルビアの叫びに、配置についた里の戦士達も身構え咆哮をあげた。
土煙を巻き上げ、黒い影が迫ってくる。屍兵の大群だ。中には、巨人の亡骸で作られたと思しき、巨大な屍兵もいた。
『あれは先日の戦いで倒れた戦友です…』
パガンが悲しげに呟く。
『必ず、彼らを解放します。』
巨人達は怒りに目を燃やし、剣を構える。
屍兵達はまるで理性を失ったかのように直進してくる。土塁にぶつかり、浄化の力で砕け散っていく。だが、後ろから新たな屍兵が押し寄せてくるため、際限がなかった。
そして土塁に1つだけある里への入り口へと流れ込んできた。
『今だ!結界に力を!』
屍兵達が直線上に集まると共にアルクスの号令をかけ、ティオが地面へと杖を突き立てた。結界が爆ぜるように輝く。 蒼い光の波が、屍兵の大群を飲み込んでいく。焼け付くような浄化の力に晒され、一帯の屍兵達は次々と崩れ落ちていった。
だが、中には浄化されずに、這いずってくる屍兵もいた。
『こいつらは俺に任せろ!』
バルトロが雄叫びを上げ、屍兵達の衝撃を受け止めると、聖なる力を込もった盾で倍以上の衝撃を返していき、強力な屍兵達を粉々に砕いていった。
『さすがだな、バルトロ。私たちも負けていられない!』
スペルビアもシンケルスと共に加勢し、屍兵達を薙ぎ払っていった。巨人族の戦士達も、負けじと次々と屍兵を倒していく。
そのとき、戦場の後方で不気味な音が響いた。ガシャン、ガシャンと骨の鳴る音だ。
屍兵の群れを割って、一団の骸骨兵士が姿を現した。まるで地獄の軍勢のようだ。先頭に立つのは、巌の如き鎧を身に纏った巨大な骸骨兵だった。
『我は屍炎将軍グズマ。屍兵の群れを一掃する程の戦術、見事なり。しかし、本当の力は我ら騎兵団にこそあり。御手合わせ願おう』
グズマの声は、呻き声しかあげることのできない屍兵達とは違いどこか人間味を感じさせるものがあった。しかし、その姿は死を運ぶ死神とでもいうような様相であった。
巨人の戦士達が前に出る。双方が突撃し、激しい戦いが始まった。骨でできた騎兵団は、巨人の一撃で粉々に砕けるものの、すり抜けた骨槍の一撃も巨人達にダメージを与えるのに十分だった。
『まずい、このままでは消耗戦になってしまう…!』
スペルビアが叫ぶ。
『仲間の仇…!』
その時、パガンとグズマが激突した。強烈な巨人の一撃と、素早い手数で攻めるグズマ。一進一退の攻防が続く。
しかし、徐々にパガンの体力が減っていくのが見て取れる。そして、ついにパガンの渾身の一撃がグズマの頭部を砕く。しかし、パガンも腹部を槍で抉られ。両者が同時に倒れた。
『パガンさん!』
数名がパガンの下に集まった。
歓声が上がったのも束の間、地面が黒く光り始めた。そして、恐ろしいことに、戦いで倒れた巨人達が屍兵として動き出したのだ。
『こ、これは…!』
事態にいち早く気がついたティオが驚愕の声を上げるとアルクスは即座に判断した。
『撤退だ!結界の中まで後退!』
なんとか全員を結界の中に退避させ、ティオと協力して浄化の力を最大限に引き出す。屍兵となった巨人達を、皆涙を堪えながら浄化していく。
敵の大半は浄化・粉砕できたが、巨人達も疲弊していた。
里の守りを固め直した頃、気付くと屍兵達は消え去っていた。そうして戦いが一段落すると、緊急会議が開かれた。
『敵の将は倒しましたが、パガンも治療でしばらく戦えそうにありません。負傷者も多いですし、このまま連戦は厳しいでしょう。しばらくは守りを固めて耐えるしかなさそうです。』
巨人の戦士の声に皆頷くしか無かった。
『僕達が敵の拠点に潜入するのはどうでしょうか。』
驚きの声が上がる中、アルクスは説明を続けた。
『森を抜けた先に廃墟の都があると伺いました。そこが魔王の拠点の可能性が高いことも。』
ティオが不安そうに尋ねる。
『ですが、危険すぎないでしょうか?』
『確かに危険は伴います。でも、このまま守りに入っても何も解決にはならず、時間と共に事態は悪化するはずです。魔王の真意を探り、必要があれば僕達で魔王を倒すことも考えないといけません。』
慎重な議論の末、アルクス達一行で潜入することが決まった。
森を抜けると、そこには廃墟と化した都が広がっていた。しかし、その中央には違和感のある白亜の城がそびえ立っている。
『あれが魔王の城か…』
都の中には屍兵の姿はなく、ところどころに骸骨兵が動いているだけだった。
『念の為逃げる時に備えて、要所要所に浄化の結界を仕掛けておくことってできないかな?』
アリシアの提案で、結界を張りつつ慎重に進んでいく。
城の前には巨大な甲冑の騎士が立ちはだかっていた。
『別のルートを探した方が良いな、今事を構えるべきではない。』
スペルビアが提案するが、その時だった。
『生者の気配がする。』
甲冑の騎士が動き出し、瞬く間にアルクス達は包囲されてしまった。
『ちっ、やるしかないか…!』
バルトロが唸る。その時、空から一つの影が舞い降りてきた。
『王の客人だ。』
黒い翼を持つ天使のような存在が現れ、そう告げた。甲冑の騎士達は空からの来訪者へ跪くと即座に道を開けた。
『こちらへ。』
アルクス達は黒翼の天使に案内されるまま城内へと入っていった。
城内は、外観からは想像もつかない別世界だった。屍兵や骸骨兵は一切おらず、むしろ神々しい浄化の気配で満たされている様にすら感じる。
『この先が王の間です。』
案内役の天使が告げる。玉座に続く道には、神々しさを放つ翼の騎士達が並び、玉座の横には複数の翼を持つ天使達が控えていた。ただし、その翼は皆黒く輝いていた。
そして玉座には、まばゆいばかりの光と、全ての光を吸い込むような漆黒が同居する存在がいた。
『よくぞ参った。まぁ、くつろぐがいい。』
その声には、身体の芯からびりびりと震えるような威圧感があった。
『我は魔王と呼ばれている。神になれなかった者のナレノハテだ。主らのことはよく知っている。我が屍兵と骸骨兵達を浄化したと聞いて、やってくるのを待っていた。まさかこんなところにいたとはな。』
アルクスは威圧に耐え、勇気を振り絞って口を開いた。
『お願いがあります。巨人達との争いをやめてください。』
魔王は、不敵な笑みを浮かべた。
『ただ兵力を増やしたいだけだったんだがな。巨人である必要もない。屍兵達では将軍クラスでないと戦力としては役に立たないことがわかった。現在上で開発中の魔兵達の方が質は良いし、そちらに集中するか。神の手勢も量より質であるからな。』
魔王は会話をするというよりも、ただ言いたいことを一方的に喋っている様にも見えた。
そして魔王はアルクス達を見つめて言い放った。
『主等も見込みがある。我が手駒とならぬか?』
アルクス以外の面々がその言葉に一瞬戸惑うも、アルクスはきっぱりと断った。
『申し訳ありません。私には、やるべきことがあります。』
アルクスの言葉を聞くと、魔王は興味なさそうに仰け反った。
『ふっ、欠片を持たぬ者では魔兵の材料にもならぬし、我が手駒にならぬのであれば我としては興味のないところだな。神を討つ邪魔をせぬのであれば好きにするがよい。』
『か、神様を討つだなんて…そんなことをしたら世界が崩壊してしまいます…』
ティオが呟くと、そこに魔王が反応を示した。
『ほう、世界が崩壊か。お主らは「欠片」と「楔」について、どれほど知っている?』
『欠片とはラピスのことでしょうか?そして、「楔」は龍王様達のことかと。』
アルクスの答えに魔王が感心した表情を示した。
『そうだ。ただの人間が良くそれを知っている。「欠片」は、神々が生物に与える力の源だ。そして「楔」は、世界の均衡を保つ重要な存在だ。』
魔王の説明に、一同は息を呑んだ。
『我の目的は、神々が管理する世界の再構築だ。現在の秩序は歪んでいる。より公平な世界を作り出すためには、神々を倒す必要がある。あぁ、もちろん龍達に手は出さぬ。だから楔は崩壊せぬ。だが、新たに生まれる者達に欠片を授けるものがいなくなるから世界のありようは変わるだろうな。神が不在になることで他の神が狙ってくるかもしれぬから、我が新たな神として治めてやるのもまた一興か。』
魔王の言葉に、アルクスは深く考え込んだ。
力無き者達への救済を考えるアルクスとそもそも力無き者達が生まれない世界に作り変えようとしている魔王。
アルクスは自分の考えが狭かったことに気付くと共に、魔王のやり方では多くの混乱が生まれることも分かりきったことだった。
『私には、力を持たない者の国を作るという目標があります。与えられた力である、ラピスに頼らない国を…
力のない者が幸せに暮らせるのであれば、私達には異論はありません。』
魔王は満足げに頷いた。
『神に与えられた力で人生が決まる世界の方が幸せな者は多いかもしれないがな。
だがやり方は違えど神々が敷いた秩序から外れ様としているのは同じか。』
しばしの沈黙の後、魔王は提案した。
『どうだ、取引をしようではないか。我はもう巨人達に手出しはしない、そしてお主らの国作りにも干渉せぬ。その代わり、我が叛逆の邪魔をしないこと。龍達に出張られては計画にも滞りが出るからな。』
取引と言いつつも、余裕の表情で魔王は提案してきた。
そして、アルクスが悩んでいる様子を見たバルトロが口を開く。
『少し考える時間をくれないか。』
魔王は寛容に頷いた。一行は別室に案内され、議論を交わした。
『アルクス、これは悪い取引じゃないと思う。戦って勝てる相手でもない、そして俺達は神に恩なんて者はない。巨人達は助かるし、俺達の邪魔もされない。良いことだと思うぜ。』
『私も同じ意見かな。アルクスの夢を叶えるためにはこれ以上ない条件だと思う。でもアルクスのお父さん達の事を考えるときっと巻き込まれるよね…』
バルトロとアリシアは魔王の提案に賛成だった。
『私はこの世界の神のことなど知らん。アルクスが好きに決めるといい。』
『蒼翠龍様と敵対しないのであれば、私もアルクスが決めればいいと思う。』
スペルビアとクリオはアルクスに任せると言う。
『あ、あの…神様と戦うのだけは絶対にダメです!でも困った人達がいたら助けてあげないと…』
ティオは神と戦うのだけはダメだが、そうでなければ救済さえ行えば細かいことは言わない様子であった。
『受け入れましょう。形はどうあれ、生まれ持ったではなく、個々人の努力で変わる世界を目指して。』
玉座の前へと戻り、アルクスは答えた。
『ふむ、合意できて良かった。しかし、お主らに神の手が及ばないとは限らない。念のため我が配下を1人つけておこう。』
そう言うと、一人の黒翼の天使が前に出た。
『この者はクレード、何かあればこの者から我に瞬時に知らせが届く。監視をするつもりなどないが、困ったときには助け合わんとな。』
クレードは、アルクス達に深々と頭を下げた。
『皆様のお役に立てることを光栄に思います。』
魔王の顔がニヤリと歪んだ。
その後、思いがけない宴が開かれた。アルクス達は、戸惑いながらも魔王の饗応を受けた。不思議な空気が流れる中、バルトロが大胆にも魔王に問いかけた。
『魔王よ。貴方はは本当に神を倒そうとしているのか?それは世界を良くしたいと思っているのか?それとも、ただの復讐心か?』
魔王は、深い目でバルトロを見つめ返した。
『我を動かしているのは復讐心でしかないであろう。だが、この世界はもっと公平であるべきだ。神々に選ばれなかった者たちにも、機会は与えられるべきだ。さて我の姿は主らにはどう映る?』
アルクスは、真剣な表情で答えた。
『僕には、孤独に見えます。』
一瞬、魔王の表情が揺らいだように見えた。しかし、すぐに元の不敵な笑みに戻る。
『我が孤独か、面白い答えだ。』
宴の終わり際、魔王は最後の言葉を残した。
『お主らの行く末が楽しみだ。この世界に、どんな影響を与えるか…見守らせてもらおう。楽しみにしておるぞ。』
宴も終わりアルクス達は、複雑な思いを胸に城を後にした。
巨人の国に戻ると、真紅龍を始めとする皆が心配そうに待っていた。アルクスは、魔王との会談の仔細を説明した。
『もう攻めてこないということで合意できました。』
その言葉に、巨人達の表情が複雑に変化した。怒りと安堵が入り混じっている。
真紅龍が、重々しく言った。
『魔王の真意は分からぬ。だが、今はこの平和を大切にせねばならん。』
戦いは終わり、巨人の里に平和が戻った。だが残された者達は複雑な思いを胸に生きていくしかなかった。
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錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
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小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
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(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
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今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
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温かい目で見てください(*'▽'*)
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暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
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仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
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そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
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凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
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勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
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祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
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主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
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ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
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