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王道ミステリー!(存在がミステリー)
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なるほど。こうして実際に他人の仕事を眺めて所感を認めておくと言うのも今後の糧となるな。
よしよし。
“子役付き添い極意” を書き始めた黒手帳の隣のページに “作品所感” と銘打って鳩作はペンを走らせた。
タイトル:なんちゃら奇譚(家に帰ってから鷲治良に台本見せてもらって確認)
和モノはやはり妖精ではなく妖怪にして世界観の統一を図った方が良いと思われる。
姉弟設定と言うのは常套だな。
妖精語は……妖精語? 妖精語って??
「なんで台詞、妖精語なんでしょう?」
唐突に手帳に向かい始めたモジャ頭に、唐突に尋ねられた桃の母はスマホへの入力作業を止めた。
「多分なんですけど……探偵の能力を際立たせるためじゃないでしょうか。普通に日本語で喋るより、妖精語が理解出来るということでより印象的で特殊な主人公にしようとしているとか」
「なるほど! 妖怪が普通に日本語話してしまうと、鬼太郎と大差なくなってしまうと!」
「きたろう……そう言えばそうですね。夢子ちゃん、普通に鬼太郎たちと話してますね。妖怪の言語って日本語なんですね」
「妖怪も八百万の神々も古来より日本にいますからね。我々よりも日本語に精通していますよ、きっと!」
「そうかもしれませんね」
妖精語は主人公の特殊性を際立たせるため、か。確かに。主人公を目立たせるのは重要なファクターだ。うん。
だが探偵モノってのは……やはり人気だからか? 最近の世情がよくわからん。
「探偵モノって言うのは、いまだに人気なんですね?」
「探偵モノ、警察モノ、推理モノは人気だと思います。例えば相棒シリーズは現役でいまだ続いてますし、他の作品も2時間枠や再放送多いですよ」
なるほど! ミステリーはいつの時代でも人気、王道と言うことだな。ミステリーか。書くか。一躍人気作品になるかもしれんしな! いや、だが、ネタがなー。ミステリーのネタなー。神田たち……あいつら確かに存在がミステリーだが、小説のネタとなると……試されるな、俺の小説家脳。
SFはどこへいったのか。
世の中からすれば、楽観を通り越して、誇大妄想の羽を広げまくって現世から高く飛び上がった脳が詰まっているモジャ頭がよっぽどミステリーだろう。
次に時代背景か……なんでちゃんぽんな感じになってるんだ?
「時代背景と言うか、世界観が混沌としていると思いませんか?」
「多分、異世界や転生と言った最近の流行を意識しているんじゃないかと。探偵モノはクラシックも現代版もある程度出尽くした感があるので、そことの住み分けを図るのと同時に、人気要素を取り入れるているとか」
なるほど! 人気、流行を取り込んでの集客! すごい技だ! 無理やり感はいなめないが、低迷するTV業界で視聴率を取るには致し方ないといったところか! 方向性を多少棄てでも、世情に合わせねばならんとは! 断腸の思いだっただろうなあ。わかる。わかるよ。脚本家、辛い仕事だな。ビジネスとは自分の意思を棄てでも、数字におもねらなければならない時がある! だが、いつか100%自分の意思だけの作品が世に出る日が来るはずだ! 頑張れ脚本家! 頑張れ同士!
恐らく現段階において、世界で一番頑張らなければならない自称小説家、それはこのモジャ頭である。それに気付いていない男は、自分そっちのけで、どこかの脚本家を勝手に同士に仕立て上げエールを送っていた。さらに “重要” と書いていびつな丸で囲った項目全てが、己の気付きではなく、桃の母からのアドバイスであることにも、もちろん気付いていない。
よしよし。
“子役付き添い極意” を書き始めた黒手帳の隣のページに “作品所感” と銘打って鳩作はペンを走らせた。
タイトル:なんちゃら奇譚(家に帰ってから鷲治良に台本見せてもらって確認)
和モノはやはり妖精ではなく妖怪にして世界観の統一を図った方が良いと思われる。
姉弟設定と言うのは常套だな。
妖精語は……妖精語? 妖精語って??
「なんで台詞、妖精語なんでしょう?」
唐突に手帳に向かい始めたモジャ頭に、唐突に尋ねられた桃の母はスマホへの入力作業を止めた。
「多分なんですけど……探偵の能力を際立たせるためじゃないでしょうか。普通に日本語で喋るより、妖精語が理解出来るということでより印象的で特殊な主人公にしようとしているとか」
「なるほど! 妖怪が普通に日本語話してしまうと、鬼太郎と大差なくなってしまうと!」
「きたろう……そう言えばそうですね。夢子ちゃん、普通に鬼太郎たちと話してますね。妖怪の言語って日本語なんですね」
「妖怪も八百万の神々も古来より日本にいますからね。我々よりも日本語に精通していますよ、きっと!」
「そうかもしれませんね」
妖精語は主人公の特殊性を際立たせるため、か。確かに。主人公を目立たせるのは重要なファクターだ。うん。
だが探偵モノってのは……やはり人気だからか? 最近の世情がよくわからん。
「探偵モノって言うのは、いまだに人気なんですね?」
「探偵モノ、警察モノ、推理モノは人気だと思います。例えば相棒シリーズは現役でいまだ続いてますし、他の作品も2時間枠や再放送多いですよ」
なるほど! ミステリーはいつの時代でも人気、王道と言うことだな。ミステリーか。書くか。一躍人気作品になるかもしれんしな! いや、だが、ネタがなー。ミステリーのネタなー。神田たち……あいつら確かに存在がミステリーだが、小説のネタとなると……試されるな、俺の小説家脳。
SFはどこへいったのか。
世の中からすれば、楽観を通り越して、誇大妄想の羽を広げまくって現世から高く飛び上がった脳が詰まっているモジャ頭がよっぽどミステリーだろう。
次に時代背景か……なんでちゃんぽんな感じになってるんだ?
「時代背景と言うか、世界観が混沌としていると思いませんか?」
「多分、異世界や転生と言った最近の流行を意識しているんじゃないかと。探偵モノはクラシックも現代版もある程度出尽くした感があるので、そことの住み分けを図るのと同時に、人気要素を取り入れるているとか」
なるほど! 人気、流行を取り込んでの集客! すごい技だ! 無理やり感はいなめないが、低迷するTV業界で視聴率を取るには致し方ないといったところか! 方向性を多少棄てでも、世情に合わせねばならんとは! 断腸の思いだっただろうなあ。わかる。わかるよ。脚本家、辛い仕事だな。ビジネスとは自分の意思を棄てでも、数字におもねらなければならない時がある! だが、いつか100%自分の意思だけの作品が世に出る日が来るはずだ! 頑張れ脚本家! 頑張れ同士!
恐らく現段階において、世界で一番頑張らなければならない自称小説家、それはこのモジャ頭である。それに気付いていない男は、自分そっちのけで、どこかの脚本家を勝手に同士に仕立て上げエールを送っていた。さらに “重要” と書いていびつな丸で囲った項目全てが、己の気付きではなく、桃の母からのアドバイスであることにも、もちろん気付いていない。
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