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side シスタ
昨日のことがあってから、ミリスさんはずっとアルフさんにくっついて離れないし、グリモアさんはいつもの毒舌を封印しています。
私はいつもアルフがやっていた家事や雑用を代わりにやってアルフさんには日中ゆっくりしてもらおうとしていたんです。していたんてますが……
「……はぁ」
全然終わりません。
それはそうです。私なんかにアルフの代わりが務まるわけがありません。
私はミリスやグレイアより早く起きるのですが、そんな私におはようと声をかけて、アルフは飲み物を出してくれます。その季節や気温にあったスープやジュースを、飽きないように毎日違う種類のものを作ってくれます。
驚くべきことに、ミリスやグリモアにも飲み物を出しているのですが、その飲み物は私のものとは別のものです。
本人曰く、みんなの口に合わせて味を少し変えてるんだとか。少しとは。もう別物ですが。
これは朝ごはんやお弁当にも言えることです。
グレイアは基本わがままですので、毎日ご飯をアルフにリクエストしています。
アルフは嫌な顔一つせず毎日リクエスト通りにご飯を作り、グレイアに出しています。
私やミリスはアルフが作ってくれるものならなんでもいいんですが、アルフは私やミリスの言葉や目線に敏感なのでしょうか?
毎日その日、私達が食べたいものを出してくれます。
一日三食で、毎回三人とも違うメニューを作り続ける。
これはものすごく大変なことです。
一度ミリスと私で、
『私達もグレイアと同じメニューでいいですよ?アルフも大変でしょう?』
と、言いに行ったのですが、
『みんなは命がけでお金を稼いでいるんだ。この位はやらせてくれ』
と言って聞いてくれませんでした。
ある日を境に、ご飯に使われている食材が高級なものに変わっていました。
アルフは嬉しそうに言います。
『主夫の知恵でお金が浮いたんだ。今日からは最高級の食材が使えるぞ!』
そんなある日の朝、アルフに変化がありました。
毎日四人で一緒に食事をしていたのですが、今日はアルフの前にはご飯はありません。
本人曰く、作っている間にたくさん味見をしたらお腹いっぱいになっちゃったんだとか。
その日の朝はそれで納得しました。
そういうこともあるのだろうと。
でもそれはその日の夜もアルフの前にご飯はありません。次の日の朝も夜もその次の日も、さらにその次の日も――
それがきっかけでさすがにおかしいと、私達三人はダンジョンに行くとアルフに嘘をつき、ミリスに透明化の魔法をかけてもらい、その日、アルフを一日中見ていました。
彼は休むことなく家事をしていました。
自分で言うのもなんですが私たちは結構稼ぎがいいほうなので当時住んでいた家は小さなお城くらい大きく、掃除などは手伝ってくれる人を雇っていると聞かされていました。
が、その人が来る気配は一向にありません。
『まさかアイツ……一人でやってたの?』
『僕達のご飯の食材が豪華になったのってもしかして……』
二人の顔がサーと青ざめて行きます。
多分私の顔も似たようなことになっているのでしょう。
膨大な敷地内を掃除した後、他の家事もテキパキとこなしていきます。
辺りはだんだんと暗くなってきました。
彼は一秒も休むことはありませんでした。
『ねぇ、アルフお昼食べてないわよね』
小声でそう言いながらグレイアさんはこちらを見つめてきます。
『何あれ。こんなこと毎日やってるの?アルフ壊れちゃうわよ』
グレイアさんは今にも泣き出しそうな顔をしていました。
『多分……もう壊れてますよ。普通の人はこんなことを……あんな笑顔ではできません』
ミリスさんは虚ろな瞳でアルフを見つめています。
『どうして気づけなかったの?僕が一番そばで見ていたはずなのに。なんで相談してくれなかったの?ううん違う。アルフのせいじゃない。僕がただ気づかなかっただけだ。僕のせいで――』
ずっと何かを呟き続けていました。
何あなたも壊れようとしてるんですか。ちゃんと逃げずに見てください。私たちのせいでアルフはこうなってるんですよ。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
完全に日が落ちた頃、私達三人分の料理を作り終えた後、アルフさんは自分の部屋へ戻って行きます。
よかった!やっと休んでくれる。
って、働かせてる私が何を思っているんだか。
少し扉が空いていたので悪いと思いつつもアルフさんの部屋を覗き込みます。
アルフさんは何かをモグモグ頬張りながら自分の部屋を掃除し始めました。
その掃除はかなり雑で、私たちの部屋やリビングの掃除をしている時とは大違いでした。
アルフが自分の部屋から出た後、私は嫌な予感がしてアルフの部屋へ入ることにしました。
『ちょっとシスタ、アルフを追わなくていいの?』
慌てたようにグレイアも私に続きます。
ミリスは虚ろな目をしたまま、ゆっくりと後ろをついて行きます。
アルフの部屋は普段鍵がかかっていて入ることはできません。
なので今まで、私たちはアルフの部屋に入ったことはありませんでした。
その部屋はベットと小さな机と椅子しかない、質素な部屋でした。
昨日のことがあってから、ミリスさんはずっとアルフさんにくっついて離れないし、グリモアさんはいつもの毒舌を封印しています。
私はいつもアルフがやっていた家事や雑用を代わりにやってアルフさんには日中ゆっくりしてもらおうとしていたんです。していたんてますが……
「……はぁ」
全然終わりません。
それはそうです。私なんかにアルフの代わりが務まるわけがありません。
私はミリスやグレイアより早く起きるのですが、そんな私におはようと声をかけて、アルフは飲み物を出してくれます。その季節や気温にあったスープやジュースを、飽きないように毎日違う種類のものを作ってくれます。
驚くべきことに、ミリスやグリモアにも飲み物を出しているのですが、その飲み物は私のものとは別のものです。
本人曰く、みんなの口に合わせて味を少し変えてるんだとか。少しとは。もう別物ですが。
これは朝ごはんやお弁当にも言えることです。
グレイアは基本わがままですので、毎日ご飯をアルフにリクエストしています。
アルフは嫌な顔一つせず毎日リクエスト通りにご飯を作り、グレイアに出しています。
私やミリスはアルフが作ってくれるものならなんでもいいんですが、アルフは私やミリスの言葉や目線に敏感なのでしょうか?
毎日その日、私達が食べたいものを出してくれます。
一日三食で、毎回三人とも違うメニューを作り続ける。
これはものすごく大変なことです。
一度ミリスと私で、
『私達もグレイアと同じメニューでいいですよ?アルフも大変でしょう?』
と、言いに行ったのですが、
『みんなは命がけでお金を稼いでいるんだ。この位はやらせてくれ』
と言って聞いてくれませんでした。
ある日を境に、ご飯に使われている食材が高級なものに変わっていました。
アルフは嬉しそうに言います。
『主夫の知恵でお金が浮いたんだ。今日からは最高級の食材が使えるぞ!』
そんなある日の朝、アルフに変化がありました。
毎日四人で一緒に食事をしていたのですが、今日はアルフの前にはご飯はありません。
本人曰く、作っている間にたくさん味見をしたらお腹いっぱいになっちゃったんだとか。
その日の朝はそれで納得しました。
そういうこともあるのだろうと。
でもそれはその日の夜もアルフの前にご飯はありません。次の日の朝も夜もその次の日も、さらにその次の日も――
それがきっかけでさすがにおかしいと、私達三人はダンジョンに行くとアルフに嘘をつき、ミリスに透明化の魔法をかけてもらい、その日、アルフを一日中見ていました。
彼は休むことなく家事をしていました。
自分で言うのもなんですが私たちは結構稼ぎがいいほうなので当時住んでいた家は小さなお城くらい大きく、掃除などは手伝ってくれる人を雇っていると聞かされていました。
が、その人が来る気配は一向にありません。
『まさかアイツ……一人でやってたの?』
『僕達のご飯の食材が豪華になったのってもしかして……』
二人の顔がサーと青ざめて行きます。
多分私の顔も似たようなことになっているのでしょう。
膨大な敷地内を掃除した後、他の家事もテキパキとこなしていきます。
辺りはだんだんと暗くなってきました。
彼は一秒も休むことはありませんでした。
『ねぇ、アルフお昼食べてないわよね』
小声でそう言いながらグレイアさんはこちらを見つめてきます。
『何あれ。こんなこと毎日やってるの?アルフ壊れちゃうわよ』
グレイアさんは今にも泣き出しそうな顔をしていました。
『多分……もう壊れてますよ。普通の人はこんなことを……あんな笑顔ではできません』
ミリスさんは虚ろな瞳でアルフを見つめています。
『どうして気づけなかったの?僕が一番そばで見ていたはずなのに。なんで相談してくれなかったの?ううん違う。アルフのせいじゃない。僕がただ気づかなかっただけだ。僕のせいで――』
ずっと何かを呟き続けていました。
何あなたも壊れようとしてるんですか。ちゃんと逃げずに見てください。私たちのせいでアルフはこうなってるんですよ。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
完全に日が落ちた頃、私達三人分の料理を作り終えた後、アルフさんは自分の部屋へ戻って行きます。
よかった!やっと休んでくれる。
って、働かせてる私が何を思っているんだか。
少し扉が空いていたので悪いと思いつつもアルフさんの部屋を覗き込みます。
アルフさんは何かをモグモグ頬張りながら自分の部屋を掃除し始めました。
その掃除はかなり雑で、私たちの部屋やリビングの掃除をしている時とは大違いでした。
アルフが自分の部屋から出た後、私は嫌な予感がしてアルフの部屋へ入ることにしました。
『ちょっとシスタ、アルフを追わなくていいの?』
慌てたようにグレイアも私に続きます。
ミリスは虚ろな目をしたまま、ゆっくりと後ろをついて行きます。
アルフの部屋は普段鍵がかかっていて入ることはできません。
なので今まで、私たちはアルフの部屋に入ったことはありませんでした。
その部屋はベットと小さな机と椅子しかない、質素な部屋でした。
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