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第一章 エルミス
05 雑用
しおりを挟む次の日の朝。
フェンガーリ達はダンジョンに潜る準備を整えていた。
「よし!そろそろ行くか!」
「「「「「はーい!」」」」」
フェンガーリの呼びかけに元気よくパーティメンバーの美少女達は元気に答える。
「じゃあ雑用さん、そこのカバン持って来てね♪」
ギーはニコニコしながら普段アーリスに持たせていたカバンを指さす。
「ん?どれですか?」
「え?ほら、そこに置いてあるリュックよ」
新雑用係は困惑した顔になる。
「は?まさかとは思いますが、あのバカでかいリュックのことですか?」
「それしかないだろ、てか、そんなに大きいか?」
「普通、こんなものですわよね?」
フェンガーリとパーティメンバーの女が首を傾げる。
それをみた新雑用係がリュックを背負って立とうとする。
「んっ!……はは、こんなのとても持てません。一体中には何が入っているのです?」
「あ?ダンジョンで休む時用の小さい椅子がいくつか……あと机だろ?」
フェンガーリがイライラしたように答える。
「あと私のが身だしなみを整えるなめの姿見と……」
「お菓子もいくつか――」
パーティメンバーも入っているものを言っていくが、途中で我慢できないと言うように新雑用係が話に割り込んでくる。
「いらないでしょうそんなの!?私をからかっているんですか?」
「自分が貧弱だからって、荷物が持てないのを俺らのせいにするんじゃねえ!」
フェンガーリ顔を真っ赤にしてが雑用係に向かって怒鳴る。
「ほんっと最低!その荷物、最低ランクEのゴミですら持ち上げることができたのよ?」
「じゃあ、あなたの力はEランク以下ってことですわね」
ギーやパーティメンバーの少女達からも罵声が浴びせられる。
「Eランクが……?化け物か、そいつ……」
「グダグダうっせえな!クソッ!じゃあ荷物はもういいよ」
フェンガーリは諦めた、と言うようやにため息をつく。
「え?!」
「そんな……」
パーティメンバーのがっかりしたような声が聞こえて来る。
「わりーな。思った以上にそこの雑用が使えなかったぜ」
フェンガーリが仲間達に軽く頭を下げる。
「全く……。では、今日潜るダンジョンの情報を教えて」
ギーは呆れたように新雑用係の方を見る。
「……はい。今日潜るダンジョンはここから東に1.5キロ程にあるの小さなダンジョンです。推奨ランクはBなので皆様なら問題なくクリアできるはずです」
「……で?」
フェンガーリは、早く次を話せよ。と催促するような目を新雑用係に向ける。
「で?とは?以上になりますが……」
「は?出てくるモンスターは?隠し部屋の場所は?裏ボスはいるのか?一晩あって何も調べなかったのか?」
「はい?そんなの、一同潜ったパーティーじゃないと、分かるわけないでしょう!」
「だから!一度潜ったパーティーに聞けよ!」
あたりませだろ。と思いながら、フェンガーリが怒鳴る。
「教えてくれるわけないでしょう!相手からすればこちとら商売敵ですよ!」
「そんなはずないでしょ。あの雑魚は毎回情報を持って来てたのに……」
ギーは少し動揺したような表情を作る。
「知りませんよそんなの……。後、これ、頼まれてた回復ポーションです」
そう言って新雑用係は小さなポーションをフェンガーリ達に渡す。
「はぁ!?こんなちいせえのたった1個ってバカにしてんのか?!」
「ポーション代、あなたにはちゃんと払ったわよ?どれだけちょろまかしたの?」
フェンガーリとギーはゴミを見るような目で新雑用係を見る。
「ポーションの値段を知らねぇのかお前ら!お前から貰った金じゃあ、これが限界だよ!もう我慢出来ん、フェンガーリのパーティだから我慢していたがここまで腐りきったパーティーだとは思わなかった!」
新雑用係がブチ切れてフェンガーリ達のシェアハウスから出ていく。
「ポーションっていうかそんなに高いものか?」
新雑用係が出て行った後、フェンガーリがギーに向かって尋ねる。
「そんなわけないでしょ。アイツに1千ゴールドも渡したのよ。でも、ゴミーリスにはダンジョンの報酬として、500ゴールドくらいしか渡してなかったのに、今アイツが買ってきたポーションの3倍位の大きさのものを沢山用意できていたわよ」
「はぁ。バレバレの嘘つきやがってあのやろー……」
「騙されかけてましたけどね……。フェンガーリ」
パーティメンバーの一人が少し呆れた顔でフェンガーリを見る。すると、周りからはアーリスを見下していた時の笑いとは全く違う、楽しそうな笑い声が聴こえてくる。
「う、うるせっ。はぁ……また探し直すか……」
「そうね……。今度は私達で探さずに、ギルドに頼りましょ」
「そうだな……」
ギーの言葉にめんどくせえなあ、と言う顔をしながらフェンガーリが頷く。
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