追放された最強剣士〜役立たずと追放された雑用係は最強の美少女達と一緒に再スタートします。奴隷としてならパーティに戻してやる?お断りです〜

妄想屋さん

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第一章 エルミス

02 再会

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「寒い……」

 追い出されたアーリスは一人でベンチに座っていた。
 辺りはもう日は落ちていて、頭や肩は雪で白くなっている。

「なんか……眠くなってきた」

 アーリスはベンチの上で横向きに寝転がる。

『決めた!俺は必ず最強の剣士になってみせる!』

『……うん。なら私はそんな最強の剣士様を隣で支えられるようにならないとね!』

『僕もだ。僕が世界で2番目に強いの剣士になる。アーリスの背中を守れるような剣士に』

 アーリスの目から涙が溢れる。

「どうして、今になって思い出しちゃったんだろう。何が最強の剣士だよ。ふざけんな」

 アーリスの意識がだんだん遠くなっていく。

「気づきたくなかったな……。本当の俺は、なんの取り柄もない普通の……普通以下の人間だったことなんて」

 アーリスは目を閉じて動かなくなる。
 アーリスの体に雪が積もっていき、顔は白くなっていく。
 
 しばらくして、サラサラとした青色の髪を肩あたりまで伸ばした少女がアーリスの側を通りかかる。

「寒~い。早く家に帰って……。あれ?」

 少女はベンチに横たわったアーリスに気づいて慌てて側へ駆け寄る。

「大丈夫ですか!?起きてください!こんな寒い中寝たら死んじゃいま……」

 少女はベンチに横たわるアーリスの顔をみた瞬間、絶句する。

「アーリス……?アーリスなの?!」

 少女の目に涙が浮かぶ。

「アーリス!起きて!こんな所で死なないで!……はやくどこか運ばないと」

 少女は、周りを見渡し宿屋を見つける。

「私、アーリスのこと持ち上げられるかな?」

 冷静さを取り戻してきた少女がアーリスを持ち上げる。

「軽っ……。全く、普段何食べてるの?」

 呆れながらもどこか懐かしそうに少女はアーリスを見つめる。

✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿

 次の日の朝、アーリスが目がゆっくりと開く。

「おはよう。アーリス」

 青髪の美少女が、アーリスのことを覗き込んでいる。少女は嬉しそうだがどこか不安げな顔をしている。

「……エルミス?」

 初めはよく状況を読み込めていない様子のアーリスだったが、辺りをキョロキョロと見回してから青髪の少女、エルミスの名前を呼ぶ。

「よかった!覚えててくれてたんだ!」

(最後にあったのが二年前の剣士育成学校の卒業式だったから、覚えててくれているか少し不安だったけど……覚えててくれた!)

 エルミスの顔からは不安の色が消えて、明るく笑っている。

「え、え!?どうして俺、エルミスと同じ部屋に!?」

 意識がはっきりしてきたアーリスがベッドの上から跳ね起きる。

「無理しないで、まだ安静に」
 
 しかし、すぐにエルミスはベッドにアーリスを押し倒す。エルミスの顔とアーリスの顔がくっつきそうなほど近づく。

「覚えてないの?アーリス、昨日外のベンチで寝てたんだよ。怪我してたけど、何があったの?」

 アーリスは昨日フェンガーリに踏まれた部分を抑えながら、思い出したくないことを思い出しちゃった……。と憂鬱な顔をする。

「その、そろそろ離れてくれる?」

 エルミスは初めは何を言われているのかよくわからない、と言う顔をしていたが、ふと我に帰り、顔を真っ赤にする。

「ご、ごめん……」

 アーリスはゆっくりと起き上がる。

「いててて……」

「大丈夫?まだ無理しない方が……」

 エルミスが心配そうにアーリスの方を見ている。

「大丈夫だよ、そうだ、助けてくれてありがとう。……大きくなったね。エルミス」

 初めはキョトンとしていたが、少ししてエルミスは顔を真っ赤にして胸元を隠す。

「ななな、何を言ってるのアーリス!?」

 アーリスは懐かしそうに、そして少し寂しそうにエルミスを見つめる。

「昔は俺の方が背が高かったのに今はもう同じくらい……いやもしかしたら俺の方が低い、かも?」

「何だ……そういうこと」

 エルミスがホッと胸を撫で下ろす。

「それにとっても綺麗になったし!」

 エルミスの顔が再び赤くなる。

「もー!からかわないでよ!」

「ごめん……。からかってたつもりはなかったんだけど……」

 アーリスは、純粋な瞳でまっすぐにエルミスを見つめる。

「~~!」

 エルミスが真っ赤な顔で悶えている。
 アーリスはそれを不思議そうにみていた。

✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿

『泣くなよエルミス、良かったじゃないか!この学園の代表ってことはことはこの学園で1番強いってことなんだよ!』

『そんなことない!私なんかよりアーリスの方がずっと強いのに!なんで誰も……アーリスのことを認めてくれないの!』

『仕方ないだろう……まだ僕たちのいるこの学園、いや、この世界は、平民が貴族より強いことを認めたくないのさ。だから必死に目を逸らしてるんだ』

『じゃあアーリスは一生この世界に認めて貰えないの?!どんなに頑張ってもバカにされるの?そんなのって……』

『俺は強くなる!みんなが俺の強さを認めざるおえないほどにな。だからもう泣かないでくれよエルミス』

『アーリス……』

『決めた!俺は必ず最強の剣士になってみせる!』

『……なら私はそんな最強の剣士様を隣で支えられるようにならないとね!』

『僕もだ。僕が世界で2番目に強い剣士になる。アーリスの背中を守れるような剣士に』

 金髪のショートヘア、クールな雰囲気を漂わせる少女が懐かしそうにクスリと笑う。

「なあ、は君の背中を守れるくらいの剣士になれただろうか。アーリス」
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