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第1章
その後
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は?
俺は何を考えてるんだ?
そんなわけないだろ。
「アルフ、ミリスと話してあげて」
グレイアは微笑みながら俺に向かって言う。
「あ、あぁぁ……」
俺は体から力が抜け、車椅子から転げ落ちる。
こうなったのは……彼女達がドラゴンと戦ったのは俺のせいだ。
グレイアの片腕が無くなったのも、シスタの片目がなくなったのも……
ミリスが、死んだのも、全部、全部……
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺は頭を抱えながら発狂する。
「ごめん……!ごめんごめん……」
俺はずっと謝りたい続けた。その間グレイアとシスタは何も言わなかった。
しばらくして、俺の声が枯れ、何も言えなくなると、二人は黙って俺を車椅子に戻してくれた。
「あなたのせいじゃないわ。絶対に」
グレイアが俺の手を握る。
「ええ、あなたは何も悪くありません」
シスタは後ろから俺を優しくて抱きしめる。
俺は意識はだんだん消えていってしまった。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
ある日の朝、俺は人里離れたあの森の家で、朝ごはんを作っていた。
今日のメニューはサンドイッチとカボチャのスープだ。
最近は街に行って買い出しに行く機会も増えてきた。
「……もう!私がやるって言ったじゃないですか。アルフ」
そう言って現れたのは俺の幼なじみのシスタ。
緑の髪でロングヘアのハーフエルフの少女だ。
俺を必ず惚れさせて見せると宣言してくれて今は俺と一緒にこの森の家で暮らしている。
「大丈夫だって、いつもシスタ達には俺の介護をして貰ってるからこれくらいはな」
俺はニコニコしながらご飯を作り続ける。
「……ふぁ~。おはよう。いい匂い!」
あくびをしながら出てきた少女は俺のもう一人の幼なじみ、グレイアだ。
赤くて長い髪の凛とした少女だ。
俺とずっと一緒にいると約束してくれて、今は俺と一緒にこの森の家で暮らしている。
「おはようグレイア。そろそろできるから座ってて」
「ん、ありがと、アルフ!」
俺達は朝ごはんを食べ始める。
みんなで食べる朝ごはんはとても楽しくて、あれからもう2年近く経つのに未だになれない。
「さて、そろそろ行って来るわね」
ご飯を食べ終わってしばらく俺達と談笑していたがグレイアが不意に腰を上げる。
グレイアは俺達の生活費を稼ぐためにギルドで登録して冒険者になった。
「今日も行くの?生活費はもう充分足りてるけど……」
俺がそう言うと、グレイアは笑って首を振る。
「お金はいくらあってもいいのよ。じゃあね!」
彼女はそう言って元気に出て行く。
ただでさえ片腕がしかないので出来れば必要以上に危険な目にはあって欲しくないんだが……
「私達は……どうしましょう?」
シスタはこちらを見て首を傾げる。
シスタは基本的にはずっと俺の傍にいて、俺を介護してくれている。
一人でも別に生活はできたのだが、やっぱり人の助けがあると、だいぶ楽だ。
弓使いにとって、片目がないというのは死活問題で、彼女は冒険者登録の審査に落ちてしまったのだ。
「そうだな、調味料が切れてきたから町に行こうかな」
「わかりました。じゃあ、お着替えを持ってきますね」
そう言ってシスタは俺の部屋へ行こうとする。
「あ、待て!いつも言っているが一人で着替えられるぞ」
「そう言ってこの前、車椅子から転げ落ちたばかりじゃないですか。観念してください」
シスタは子供を叱るようにして、俺の頬をつねってくる。
「いててて……。こればかりはいつまで経っても慣れない……」
「はいはい。バンザイしてください」
シスタはどこか楽しそうに、俺の着替えを始めるのだった。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
買い物が終わった俺達はクエストが終わったグレイアと合流した。
「あれ?グレイアも今日は終わり?」
「ええ、それより、アルフ達も町に行くなら言いなさいよ!どうせなら一緒に行きたかったのに!」
「グレイアが勝手に出て行ったのでしょう」
せっかく三人揃ったので俺は行きたいところがあった。
「なあ、みんな、少し寄りたいところがあるんだが……」
俺がそう言うと、二人はこくんと頷く。
「そうね。行きましょうか」
「ええ。久しぶりですね」
「久しぶりって一昨日行ったじゃない」
グレイアとシスタが楽しそうに話している。
こんな日々が来るなんて、あの時は思いもしなかったな。
俺は何を考えてるんだ?
そんなわけないだろ。
「アルフ、ミリスと話してあげて」
グレイアは微笑みながら俺に向かって言う。
「あ、あぁぁ……」
俺は体から力が抜け、車椅子から転げ落ちる。
こうなったのは……彼女達がドラゴンと戦ったのは俺のせいだ。
グレイアの片腕が無くなったのも、シスタの片目がなくなったのも……
ミリスが、死んだのも、全部、全部……
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺は頭を抱えながら発狂する。
「ごめん……!ごめんごめん……」
俺はずっと謝りたい続けた。その間グレイアとシスタは何も言わなかった。
しばらくして、俺の声が枯れ、何も言えなくなると、二人は黙って俺を車椅子に戻してくれた。
「あなたのせいじゃないわ。絶対に」
グレイアが俺の手を握る。
「ええ、あなたは何も悪くありません」
シスタは後ろから俺を優しくて抱きしめる。
俺は意識はだんだん消えていってしまった。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
ある日の朝、俺は人里離れたあの森の家で、朝ごはんを作っていた。
今日のメニューはサンドイッチとカボチャのスープだ。
最近は街に行って買い出しに行く機会も増えてきた。
「……もう!私がやるって言ったじゃないですか。アルフ」
そう言って現れたのは俺の幼なじみのシスタ。
緑の髪でロングヘアのハーフエルフの少女だ。
俺を必ず惚れさせて見せると宣言してくれて今は俺と一緒にこの森の家で暮らしている。
「大丈夫だって、いつもシスタ達には俺の介護をして貰ってるからこれくらいはな」
俺はニコニコしながらご飯を作り続ける。
「……ふぁ~。おはよう。いい匂い!」
あくびをしながら出てきた少女は俺のもう一人の幼なじみ、グレイアだ。
赤くて長い髪の凛とした少女だ。
俺とずっと一緒にいると約束してくれて、今は俺と一緒にこの森の家で暮らしている。
「おはようグレイア。そろそろできるから座ってて」
「ん、ありがと、アルフ!」
俺達は朝ごはんを食べ始める。
みんなで食べる朝ごはんはとても楽しくて、あれからもう2年近く経つのに未だになれない。
「さて、そろそろ行って来るわね」
ご飯を食べ終わってしばらく俺達と談笑していたがグレイアが不意に腰を上げる。
グレイアは俺達の生活費を稼ぐためにギルドで登録して冒険者になった。
「今日も行くの?生活費はもう充分足りてるけど……」
俺がそう言うと、グレイアは笑って首を振る。
「お金はいくらあってもいいのよ。じゃあね!」
彼女はそう言って元気に出て行く。
ただでさえ片腕がしかないので出来れば必要以上に危険な目にはあって欲しくないんだが……
「私達は……どうしましょう?」
シスタはこちらを見て首を傾げる。
シスタは基本的にはずっと俺の傍にいて、俺を介護してくれている。
一人でも別に生活はできたのだが、やっぱり人の助けがあると、だいぶ楽だ。
弓使いにとって、片目がないというのは死活問題で、彼女は冒険者登録の審査に落ちてしまったのだ。
「そうだな、調味料が切れてきたから町に行こうかな」
「わかりました。じゃあ、お着替えを持ってきますね」
そう言ってシスタは俺の部屋へ行こうとする。
「あ、待て!いつも言っているが一人で着替えられるぞ」
「そう言ってこの前、車椅子から転げ落ちたばかりじゃないですか。観念してください」
シスタは子供を叱るようにして、俺の頬をつねってくる。
「いててて……。こればかりはいつまで経っても慣れない……」
「はいはい。バンザイしてください」
シスタはどこか楽しそうに、俺の着替えを始めるのだった。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
買い物が終わった俺達はクエストが終わったグレイアと合流した。
「あれ?グレイアも今日は終わり?」
「ええ、それより、アルフ達も町に行くなら言いなさいよ!どうせなら一緒に行きたかったのに!」
「グレイアが勝手に出て行ったのでしょう」
せっかく三人揃ったので俺は行きたいところがあった。
「なあ、みんな、少し寄りたいところがあるんだが……」
俺がそう言うと、二人はこくんと頷く。
「そうね。行きましょうか」
「ええ。久しぶりですね」
「久しぶりって一昨日行ったじゃない」
グレイアとシスタが楽しそうに話している。
こんな日々が来るなんて、あの時は思いもしなかったな。
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