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第1章
事情を知らない主人公
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「会う資格がない?結局そうやって逃げてるだけじゃん!グレイアもシスタもアルフに拒絶されるのが怖いだけでしょ!?」
「……」
僕の言葉に二人とも黙り込んでしまう。
「とにかく謝ろう。僕達がやってきてしまったことを全て。許してもらおうなんそんな甘い考えは抱かないで」
「……そう、ですね」
僕の言葉にゆっくりとシスタは頷く。
「……わかった」
グレイアも諦めたように頷く。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
今日もいつも通り、俺は木の実をかじりながら本を読んでいる。
この本はたまたま森で迷った老婆を助けた際に、頂いたものだ。
頂いたのが二日前くらいなのでそろそろ読み終わってしまう。
そうしたらまた退屈な日々に逆戻りだ。
「これを機に外に出てみるのもありか……」
俺はそうつぶやくが誰も答えてくれる人はいない。
俺とて決して一人ぼっちが好きなわけではないのだ。ただ誰も信用できなくなってしまったので仕方なくここに一人でいる。
信用しないんじゃない。信用できなくなってしまったのだ。
この違いがわかるだろうか?
わかんないだろうなぁ~。
「……ん?」
誰かが歩いて来る音が聞こえる。
三人くらいか?
こんなところに人が来るなんて珍しい。つい最近老婆が迷い込んできたばかりだと言うのに、スパンが短すぎる。
不意扉をノックられてごめんくださいと声をかけられる。
その声には聞き覚えがあった。
俺が世界で一番好きだった、俺が世界で一番嫌いな声だ。
今更なんの風の吹き回しだよ。
「……どうぞ」
冷たい声が響いた。これが自分の声だと気づくのに少し時間がかかった。
扉は恐る恐る開き、三人の幼なじみが顔を出す。
「……なんの要かな?」
また冷たい声がでた。こんなクズどもなのに、久しぶりに彼女らに会えたことに喜んでいる自分がいた。それがさらに俺をイラつかせた。
「正直、二度と顔を見たくなかったんだけど」
俺はそういうと、三人を睨みつける。
「……僕達は謝りに行く来たんだ」
ミリスが口を開く。彼女の声は震えていて、酷く弱々しかった。
「謝る?君たちは何も悪いことなんてしてないよ。むしろこっちがごめんだよ。こんな俺なんかのために気をつかって一緒にいてくれてありがとう。ほんの一時だったけどいい夢が見られたよ」
俺の言葉を聞いてグレイアは涙を流しながら叫ぶ。
「違うの!アタシは――」
「俺が一人ぼっちだったから一緒にいてくれたんだよな。君はそう言っていた」
グレイアの言葉を遮るように俺は言う。
「お前らもいつまでも俺と一緒にいるのなんてやだろ。俺のこと、虫唾が走るくらい嫌いなんだもんな。シスタ」
「違うんです……。私は……」
シスタはその場に崩れ落ちる。
「俺は初めから怒ってないよ。身の程を思い知らされただけだ。皆も俺みたいなゴミに構っている暇なんてないだろ。魔王はいなくなっても、まだ人類の脅威はわんさかいる。さっさとそいつらもぶっ潰しに行けよ」
きっと俺の目からは涙が溢れ出していることだろう。
「ねぇアルフ――」
「うるさいな!もういい加減消えてくれよ!もう関わりたくないんだよ……」
俺は大声でそう言う。
言葉を遮られたミリスは一瞬こちらに伸ばしかけた手をゆっくりと引っ込める。
「……わかったよ。本当に……ごめんなさい」
ミリスはそう言うと、玄関に向かって歩き出す。
二人もそれに続いて行く。
ドアの閉まる音が聞こえて、再び俺は一人に戻る。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
あれから半年が経った。
俺は今日こそは、今日こそは!と毎日外に出ようと思うのだが、なかなか上手くいかない。
この世の全員があの幼なじみたちと同じでは無いのだ。それはわかっているのだが。
「どうにも足が動かん。足ねぇけど」
何も笑えない酷い自虐だった。
そんな俺の前に久しぶりにお客さんが訪れい。
ノックの音が聞こえてくる。
「……どうぞ」
俺が世界でそう言うと、一人の男がなかに入ってくる。
「とつぜんの来訪をお許しください。アルフ殿」
その男は深々と頭を下げる。
「構いませんよ。あなたは?」
俺は男に椅子に座るよう促す。
どうやら、彼の名前はノアと言うらしい。
騎士のような格好をしているということは王宮の人間だろうか。
「本日は、あなたの幼なじみ達のことでお伝えしたいとことがあってまいりました」
その男はそう言うと、ゆっくりと話を始める。
その内容は俺にとっては衝撃的すぎる内容だった。
「……」
僕の言葉に二人とも黙り込んでしまう。
「とにかく謝ろう。僕達がやってきてしまったことを全て。許してもらおうなんそんな甘い考えは抱かないで」
「……そう、ですね」
僕の言葉にゆっくりとシスタは頷く。
「……わかった」
グレイアも諦めたように頷く。
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今日もいつも通り、俺は木の実をかじりながら本を読んでいる。
この本はたまたま森で迷った老婆を助けた際に、頂いたものだ。
頂いたのが二日前くらいなのでそろそろ読み終わってしまう。
そうしたらまた退屈な日々に逆戻りだ。
「これを機に外に出てみるのもありか……」
俺はそうつぶやくが誰も答えてくれる人はいない。
俺とて決して一人ぼっちが好きなわけではないのだ。ただ誰も信用できなくなってしまったので仕方なくここに一人でいる。
信用しないんじゃない。信用できなくなってしまったのだ。
この違いがわかるだろうか?
わかんないだろうなぁ~。
「……ん?」
誰かが歩いて来る音が聞こえる。
三人くらいか?
こんなところに人が来るなんて珍しい。つい最近老婆が迷い込んできたばかりだと言うのに、スパンが短すぎる。
不意扉をノックられてごめんくださいと声をかけられる。
その声には聞き覚えがあった。
俺が世界で一番好きだった、俺が世界で一番嫌いな声だ。
今更なんの風の吹き回しだよ。
「……どうぞ」
冷たい声が響いた。これが自分の声だと気づくのに少し時間がかかった。
扉は恐る恐る開き、三人の幼なじみが顔を出す。
「……なんの要かな?」
また冷たい声がでた。こんなクズどもなのに、久しぶりに彼女らに会えたことに喜んでいる自分がいた。それがさらに俺をイラつかせた。
「正直、二度と顔を見たくなかったんだけど」
俺はそういうと、三人を睨みつける。
「……僕達は謝りに行く来たんだ」
ミリスが口を開く。彼女の声は震えていて、酷く弱々しかった。
「謝る?君たちは何も悪いことなんてしてないよ。むしろこっちがごめんだよ。こんな俺なんかのために気をつかって一緒にいてくれてありがとう。ほんの一時だったけどいい夢が見られたよ」
俺の言葉を聞いてグレイアは涙を流しながら叫ぶ。
「違うの!アタシは――」
「俺が一人ぼっちだったから一緒にいてくれたんだよな。君はそう言っていた」
グレイアの言葉を遮るように俺は言う。
「お前らもいつまでも俺と一緒にいるのなんてやだろ。俺のこと、虫唾が走るくらい嫌いなんだもんな。シスタ」
「違うんです……。私は……」
シスタはその場に崩れ落ちる。
「俺は初めから怒ってないよ。身の程を思い知らされただけだ。皆も俺みたいなゴミに構っている暇なんてないだろ。魔王はいなくなっても、まだ人類の脅威はわんさかいる。さっさとそいつらもぶっ潰しに行けよ」
きっと俺の目からは涙が溢れ出していることだろう。
「ねぇアルフ――」
「うるさいな!もういい加減消えてくれよ!もう関わりたくないんだよ……」
俺は大声でそう言う。
言葉を遮られたミリスは一瞬こちらに伸ばしかけた手をゆっくりと引っ込める。
「……わかったよ。本当に……ごめんなさい」
ミリスはそう言うと、玄関に向かって歩き出す。
二人もそれに続いて行く。
ドアの閉まる音が聞こえて、再び俺は一人に戻る。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
あれから半年が経った。
俺は今日こそは、今日こそは!と毎日外に出ようと思うのだが、なかなか上手くいかない。
この世の全員があの幼なじみたちと同じでは無いのだ。それはわかっているのだが。
「どうにも足が動かん。足ねぇけど」
何も笑えない酷い自虐だった。
そんな俺の前に久しぶりにお客さんが訪れい。
ノックの音が聞こえてくる。
「……どうぞ」
俺が世界でそう言うと、一人の男がなかに入ってくる。
「とつぜんの来訪をお許しください。アルフ殿」
その男は深々と頭を下げる。
「構いませんよ。あなたは?」
俺は男に椅子に座るよう促す。
どうやら、彼の名前はノアと言うらしい。
騎士のような格好をしているということは王宮の人間だろうか。
「本日は、あなたの幼なじみ達のことでお伝えしたいとことがあってまいりました」
その男はそう言うと、ゆっくりと話を始める。
その内容は俺にとっては衝撃的すぎる内容だった。
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