奪われたから、奪い返します

第11話 パーティ会場で

　豪華なシャンデリアが輝くパーティ会場では、イザベラ、フレデリック、そしてエマの運命が静かに交錯していた。社交界の華やかな人々が集まり、音楽と笑い声が空間を満たしている。しかし、この眩いばかりの光の下には、暗く複雑な思惑が交差していた。

　エレガントなドレスを纏ったイザベラが、会場を優雅に歩いていた。彼女の瞳は、常にフレデリックとエマの動きを追っている。フレデリックとの一夜から数日が経ち、彼女は彼の反応を探ると同時に、エマの態度にも警戒心を抱いていた。

　フレデリックは、パーティのホストとして客をもてなしていたが、心の中ではイザベラとの関係について複雑な思いを抱えていた。

　パーティの最盛期、華やかなドレスを纏ったクララが会場に姿を現した。彼女の登場は、まるで舞台上の女優のように華麗で、会場の注目を一身に集めた。彼女の髪は光に輝き、ドレスは彼女の動きに合わせて優雅に揺れていた。彼女の目には、自信と勝利の光が宿っていた。

　クララがフレデリックの隣に立つと、彼女は彼に優しく微笑みかける。

「フレデリックのことが本当に好きなの」

　彼女の声は、愛情と確固たる自信に満ちていた。
　フレデリックも彼女を見つめ、静かにうなずく。

「僕も同じだ、クララ」

　この一幕を遠くから見ていたイザベラは、胸の中に複雑な感情の渦を感じていた。
　クララは彼女にとって、最も会いたくて、同時に最も会いたくない女性だった。
　彼女は過去に愛する人をクララに奪われた痛みを、未だに心に抱えていた。
　イザベラは自らの感情を抑えながら、クララに近づく。

「クララ、あなたが私の婚約者を奪ったこと、忘れていないわ」

　イザベラはさらに付け加えて。クララに向かって挑戦的な笑みを浮かべる。

「それに……あなたの婚約者なんて、私にとってはただの遊びだったの。それを真剣に受け取ったのはあなたの方よ」

　この言葉に、フレデリックは衝撃を受け、彼の表情は困惑で曇った。イザベラは静かながらも力強かった。

「フレデリック、あなたとクララの大切なものを奪い続ける。それが私の復讐よ」

　この言葉にフレデリックは驚愕し、彼の表情は困惑で曇った。

「イザベラ、本当にそう思っているのか？」
「えぇ、もう貴方なんてどうでもいいわ！　私の気持ちは貴方の弟にあるのだから」

　一方、エマはこのやり取りを遠くから見ていた。彼女の顔には怒りが浮かんでおり、心は悔しさでいっぱいだった。

「どうしてこんなことになってしまったの？」

　彼女は独り言をつぶやきながら、悔しさと怒りで震えていた。

　イザベラはフレデリックの弟に向き直り、彼の腕に優しく抱き着いた。

「私は、あなたのことが好きよ」

　彼女の言葉には、計算された戦略が隠されていた。

　フレデリックの弟は、イザベラの行動に照れながらも、彼女の側に立つことを決意した。
　彼はイザベラに対する深い感情を自覚し、彼女の復讐計画に巻き込まれていくことになった。