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嫌疑
46.
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密偵じゃない証拠、
をあげろって・・
(そんなこと聞かれても)
冬乃は戸惑い、首をふった。
「・・・なにも、無えのか」
土方が、なにやら沖田の意図を読んだような面持ちで、
先ほどまでの調子を変え、冬乃を注意深く観察し始めた。
なにも・・・って、
(なにも、思いつかないんですけど)
冬乃は心底困って、首をふるしかなく。
(沖田様、・・どうしてそんなコト聞くんです)
冬乃のほうは沖田の意図が分からず、ひたすら戸惑いに溢れて彼を見上げた。
そんな冬乃から、沖田はふと目を逸らすと土方を再び見やった。
「彼女の態度に、密偵特有の反応が見られます?」
(え?)
・・・密偵特有?
「確かに、一風違えかもな」
土方が眉間に皺を寄せた。
『過去の今まで忍んできた者と、全く共通した態度が無い』
土方に確認させるかのように、沖田が言い直し。
「・・・女、」
土方のほうは冬乃を今一度、促すように見た。
「本当に何も、思いあたらねえかよ」
「っ・・そんな、思いあたらないものは思いあたりません。でも密偵なんかじゃ絶対ありません!」
「・・・・」
土方は、なにやら考え込むように腕を組んだ。
(・・・・??)
なんだというのか。
「あの・・いったい?」
「総司、この女は確かに何も持ってなかったと言ったな」
「ええ、何も。」
・・・・え?
(“持ってなかった” ?)
「見たこともない肌着ならつけてましたが、ね」
沖田が吐いた言葉に。
(い・・・)
冬乃は、ぐらりと目の前が真っ白になった。
(い、今の台詞、何?!)
「沖田様、それどういう意味・・」
「前回と、先程・・貴女が起きる前に、貴女が何も密書の類いを見につけてはいない事を確認させてもらいました」
・・って、だからそれは、
「全て脱がせたってことだよ」
土方が補足した説明に。
「だ。誰が」
「だから、沖田が。」
(う・・)
ウソぉおおお???
「これまでのように本物の密偵ならば、隠すべき事項から勘問者の注意を逸らすために、手辺り次第なにかしらは挙げてくるものです。だが、彼女の反応はこの通り、呆然として分からぬと繰り返すだけ」
・・なにやら。
「ついで、彼女は密書の一切も、何も持っていなかった、つまり当然に部屋から盗られた物も無し。それも二度とも。これらの事から、彼女が密偵とはさすがに言い難いように思いませんか」
沖田が最終説得を試みてくれているようだったが、もはや。
冬乃の頭は。
真っ白になっていて。
「彼女の密偵の疑いが濃くはない以上、責め問う必要もありませんね?」
「・・・わかったよ。だがな、疑問はそれでも“健在” さ。それならこの女はどこから来て何の用で俺の部屋に居たんだ」
「ですから未来、が関わっているかもしれませんよ」
「総司おまえ、本気で信じてんじゃねえだろな??」
「正直、まだ信じてはいませんが、信じようとして信じてみるのも悪くない。まずは・・」
「ああ、悪くねえ!!大賛成よ!!」
突然、
今までどこにいたのやら原田が、大声で蔵の中に飛び込んできた。
「全てまずは信じてみようとすることから始まるってな!よかったなぁ嬢ちゃん、責問されずに済みそうで!!・・・て、ありゃ?」
原田が首を傾げて冬乃を見つめるのへ、つられるように振り返った沖田の、
「・・・冬乃さん?」
目に映ったのは。
当惑しきった表情で顔を背ける冬乃の姿だった。
をあげろって・・
(そんなこと聞かれても)
冬乃は戸惑い、首をふった。
「・・・なにも、無えのか」
土方が、なにやら沖田の意図を読んだような面持ちで、
先ほどまでの調子を変え、冬乃を注意深く観察し始めた。
なにも・・・って、
(なにも、思いつかないんですけど)
冬乃は心底困って、首をふるしかなく。
(沖田様、・・どうしてそんなコト聞くんです)
冬乃のほうは沖田の意図が分からず、ひたすら戸惑いに溢れて彼を見上げた。
そんな冬乃から、沖田はふと目を逸らすと土方を再び見やった。
「彼女の態度に、密偵特有の反応が見られます?」
(え?)
・・・密偵特有?
「確かに、一風違えかもな」
土方が眉間に皺を寄せた。
『過去の今まで忍んできた者と、全く共通した態度が無い』
土方に確認させるかのように、沖田が言い直し。
「・・・女、」
土方のほうは冬乃を今一度、促すように見た。
「本当に何も、思いあたらねえかよ」
「っ・・そんな、思いあたらないものは思いあたりません。でも密偵なんかじゃ絶対ありません!」
「・・・・」
土方は、なにやら考え込むように腕を組んだ。
(・・・・??)
なんだというのか。
「あの・・いったい?」
「総司、この女は確かに何も持ってなかったと言ったな」
「ええ、何も。」
・・・・え?
(“持ってなかった” ?)
「見たこともない肌着ならつけてましたが、ね」
沖田が吐いた言葉に。
(い・・・)
冬乃は、ぐらりと目の前が真っ白になった。
(い、今の台詞、何?!)
「沖田様、それどういう意味・・」
「前回と、先程・・貴女が起きる前に、貴女が何も密書の類いを見につけてはいない事を確認させてもらいました」
・・って、だからそれは、
「全て脱がせたってことだよ」
土方が補足した説明に。
「だ。誰が」
「だから、沖田が。」
(う・・)
ウソぉおおお???
「これまでのように本物の密偵ならば、隠すべき事項から勘問者の注意を逸らすために、手辺り次第なにかしらは挙げてくるものです。だが、彼女の反応はこの通り、呆然として分からぬと繰り返すだけ」
・・なにやら。
「ついで、彼女は密書の一切も、何も持っていなかった、つまり当然に部屋から盗られた物も無し。それも二度とも。これらの事から、彼女が密偵とはさすがに言い難いように思いませんか」
沖田が最終説得を試みてくれているようだったが、もはや。
冬乃の頭は。
真っ白になっていて。
「彼女の密偵の疑いが濃くはない以上、責め問う必要もありませんね?」
「・・・わかったよ。だがな、疑問はそれでも“健在” さ。それならこの女はどこから来て何の用で俺の部屋に居たんだ」
「ですから未来、が関わっているかもしれませんよ」
「総司おまえ、本気で信じてんじゃねえだろな??」
「正直、まだ信じてはいませんが、信じようとして信じてみるのも悪くない。まずは・・」
「ああ、悪くねえ!!大賛成よ!!」
突然、
今までどこにいたのやら原田が、大声で蔵の中に飛び込んできた。
「全てまずは信じてみようとすることから始まるってな!よかったなぁ嬢ちゃん、責問されずに済みそうで!!・・・て、ありゃ?」
原田が首を傾げて冬乃を見つめるのへ、つられるように振り返った沖田の、
「・・・冬乃さん?」
目に映ったのは。
当惑しきった表情で顔を背ける冬乃の姿だった。
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