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壬生

14.

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 「どうだか」
 土方は鼻で笑った。

 「私自身まだ信じきれない・・疑うならついてきてくださって構いません、本当にここが私の居た世界じゃないのか自分の目で確かめたいんです、外を歩かせてください」

 この部屋から見える、一面の田畑は、
 東京の大会場にあるはずのない景色。

 確かめたい。ここが幕末の壬生だと。
 
 そして、

 この方が沖田様だって。

 「ますます怪しい。そのまま逃げるようなら斬り捨てるからな」

 土方の言葉に冬乃は、つんと顔を背けた。
 
 「どうぞ。どうせ逃げませんもの」
 冬乃は立ち上がった。

 「俺がついていきますよ、土方さん」
 沖田が同時に、立ち上がる。

 (背・・高い・・)

 ふたり立ち上がったそのままに。
 近距離で冬乃を促すように見やる沖田の視線に、冬乃の心臓は激しく鳴り出して。
 
 冬乃は慌てて沖田の前をすり抜けるようにして部屋の外へと踏み出すと、ひとつ大きく息を吸った。

 草の匂いが、冬乃の肺を満たしていった。 





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