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【 第一部 】 平成十二年夏、東京

2&3.

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 恋、お金、あなたに奇跡を起す石

 カラフルに彩られた大文字が紙面を飾り付けている。

 「うそくさ・・」
 「でもぉ、これ口コミだから。身につけてればいいだけだしぃ、夢でくらい逢えるかもしれなくない?」
 「あのね口コミ言ったって、情報操作でどうにでもなるの」
 「うわ・・さむ・・」
 「それで千秋いきなり奇跡とか言い出したわけ」
 「もイイよ何も言わないからぁ」

 むくれる千秋についに苦笑して冬乃は、下駄箱から靴を落として上履きをしまった。
 「それよかこれからどぉする?」

 「あー。さっきね電話でぇ真弓きょーバイト休みになったって、うちら待つってゆってた」
 「どこ、ムック?」
 「知んない。渋谷ついたら電話してって」
 「アタシいま香水切れてんだよね、ドンク寄れない?」

 「寄るー」
 返しながら先に外へ踏み出した千秋が、ふと、
 「雨ぇ?」
 と顔をもたげた。

 「マジ?」
 続いた冬乃が空へ手をかざす。確かに僅かな雨粒を手の平に受けて。

 「夜には止むといいけど」

 冬乃の声は急に起こった風にかき消された。
 
 


※ 落丁状態だったため、2と3を統一しました m( )m

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