398 / 472
再逢の契り
60.
しおりを挟む
冬乃はそんなお孝へ苦笑いしてみせる。
とはいえど。
(どうしよ?)
烏に木刀を当てるわけにはいかないし、かといって近くで振り回すだけで逃げていってくれるものだろうか。
ニワトリから蹴りをくらっても退かないくらいなのに。
(でもやってみるしかないよね)
冬乃は意を決すると木刀を手に石段の草履へ足を通した。
「冬乃」
「え」
「あ」
不意の沖田の声に、冬乃もお孝も振り返って。
いま角を曲がってきた様子で沖田がそこに居た。
「おはようございます、お孝さん」
沖田がその爽やかな笑みで、己を振り返ったお孝に挨拶する。
「おはようさんどす沖田様」
お孝がほっこりする会釈を返した。
朝餉の迎えに来てくれたのだろう。いつのまにかもうそんな時間だったのだ。未だ冬乃は顔も洗えていないのだが。
「物騒だな」
冬乃が木刀を持ち出しているのを目に、沖田が笑った。
「ニワトリへ加勢?」
「ハイ」
冬乃はどうしようもなさげに頷く。
「いいよ、俺がやるから」
(え)
告げるなり鳥達の近くへ向かってゆく沖田の背を、冬乃もお孝も彼がどうするのかと見やって。
刹那。
ビリッと鋭い気を感じた冬乃は、激しく総毛立った。
(あっ)
それは、まさに一瞬。
バサバサと一斉に烏たちが舞い上がり、今まで聞いたこともないような鳴き声を発しながらあっというまに黒い集団となって飛び去っていった。
(わ・・・・わ・・)
ぽかんとしているお孝と違ってさすがに冬乃は、今なにが起こったのか理解して。
平和そうにコッココッコと地面をつつき出すニワトリ達を背に、沖田が戻ってくるのを。
(・・・総司さん、)
冬乃は目を瞬かせて、迎えた。
その場で剣気を叩きつけて烏たちを追い払うとは・・・・
(一番物騒なの、総司さんですから!!)
「近づいたら勝手に逃げていってしまいましたね」
沖田の台詞に、
まさに狐につままれた表情になったお孝に、沖田は続けてにっこり微笑む。
剣をたしなむ冬乃ほどでなくても、お孝も何かしら体に感じたはずだが。そこはごまかすらしい。
たしかに剣気をつかったと説明してもお孝には通じないだろうけど。
「もう飯、行ける?」
沖田が石段に立ち尽くしたままの冬乃を向いた。
冬乃ははっとして、ふるふると首を振る。
「すみません、まだ顔を洗ってなくて」
「あ、うちも支度せな」
お孝が弾かれたように、わたわたと石段を上がってきた。
冬乃も急いで木刀をしまいに部屋へ戻る。
「井戸場まで一緒に行くよ」
ニワトリやヒナの声が漸くしっかり聞こえるようになった中で、沖田の穏やかな声が冬乃を追った。
**************
このところシリアス続きでしたので、ここらへんで気分一新で、久しぶりにリクエスト受付を再開したいとおもいます^^v
久しぶりに、と申しましても、初めからアルファポリス内でご覧くださっているお客様にはなんのことやらかと存じますので、拙いながらご説明させてください。
付帯特典機能(詳細割愛)のあるエブリスタという投稿サイトでも拙作を掲載しておりました際に、行っておりましたものなのですが、
『こんなシーンが見てみたいなどのご希望に沿って、本編内で、もしくはスピンオフ的に、書かせていただきます~v』というものでして、
今回も、本編内またはスピンオフ小話として書かせていただくリクエストを募集したいと考えております。
ただ、今回の掲載場所はここアルファポリス内といたしますので、R15までの範囲となりますることご了承ください m( )m
どうしてもR18を!との場合は・・ご相談ください(^^ エブリスタの付帯特典機能を使います。
(頂戴したリクエストをスピンオフ的に書かせていただく場合は、その話のタイトルにそのように明示して掲載いたします。)(本編内で書かせていただくかスピンオフ的に書かせていただくかの判断は、私めのほうにてさせてくださいまし。)
なんだか説明がへたですみません。伝わりましたでしょうか><;
受付の期限はとくに設けませぬので、お気が向かれたときに、感想欄のほうでお声をかけてくださいませ^^v
以上ごれんらくでございました。
本編の進行もあいかわらずのんびりで完結まで半年はかかってしまいそうですが、なるべく日を置かず、できれば毎日すこしずつでも更新できるよう、今後とも励んでまいります。
どうぞ最後までおつきあいいただければ大変にさいわいでございます m( )m ・・v
**************
とはいえど。
(どうしよ?)
烏に木刀を当てるわけにはいかないし、かといって近くで振り回すだけで逃げていってくれるものだろうか。
ニワトリから蹴りをくらっても退かないくらいなのに。
(でもやってみるしかないよね)
冬乃は意を決すると木刀を手に石段の草履へ足を通した。
「冬乃」
「え」
「あ」
不意の沖田の声に、冬乃もお孝も振り返って。
いま角を曲がってきた様子で沖田がそこに居た。
「おはようございます、お孝さん」
沖田がその爽やかな笑みで、己を振り返ったお孝に挨拶する。
「おはようさんどす沖田様」
お孝がほっこりする会釈を返した。
朝餉の迎えに来てくれたのだろう。いつのまにかもうそんな時間だったのだ。未だ冬乃は顔も洗えていないのだが。
「物騒だな」
冬乃が木刀を持ち出しているのを目に、沖田が笑った。
「ニワトリへ加勢?」
「ハイ」
冬乃はどうしようもなさげに頷く。
「いいよ、俺がやるから」
(え)
告げるなり鳥達の近くへ向かってゆく沖田の背を、冬乃もお孝も彼がどうするのかと見やって。
刹那。
ビリッと鋭い気を感じた冬乃は、激しく総毛立った。
(あっ)
それは、まさに一瞬。
バサバサと一斉に烏たちが舞い上がり、今まで聞いたこともないような鳴き声を発しながらあっというまに黒い集団となって飛び去っていった。
(わ・・・・わ・・)
ぽかんとしているお孝と違ってさすがに冬乃は、今なにが起こったのか理解して。
平和そうにコッココッコと地面をつつき出すニワトリ達を背に、沖田が戻ってくるのを。
(・・・総司さん、)
冬乃は目を瞬かせて、迎えた。
その場で剣気を叩きつけて烏たちを追い払うとは・・・・
(一番物騒なの、総司さんですから!!)
「近づいたら勝手に逃げていってしまいましたね」
沖田の台詞に、
まさに狐につままれた表情になったお孝に、沖田は続けてにっこり微笑む。
剣をたしなむ冬乃ほどでなくても、お孝も何かしら体に感じたはずだが。そこはごまかすらしい。
たしかに剣気をつかったと説明してもお孝には通じないだろうけど。
「もう飯、行ける?」
沖田が石段に立ち尽くしたままの冬乃を向いた。
冬乃ははっとして、ふるふると首を振る。
「すみません、まだ顔を洗ってなくて」
「あ、うちも支度せな」
お孝が弾かれたように、わたわたと石段を上がってきた。
冬乃も急いで木刀をしまいに部屋へ戻る。
「井戸場まで一緒に行くよ」
ニワトリやヒナの声が漸くしっかり聞こえるようになった中で、沖田の穏やかな声が冬乃を追った。
**************
このところシリアス続きでしたので、ここらへんで気分一新で、久しぶりにリクエスト受付を再開したいとおもいます^^v
久しぶりに、と申しましても、初めからアルファポリス内でご覧くださっているお客様にはなんのことやらかと存じますので、拙いながらご説明させてください。
付帯特典機能(詳細割愛)のあるエブリスタという投稿サイトでも拙作を掲載しておりました際に、行っておりましたものなのですが、
『こんなシーンが見てみたいなどのご希望に沿って、本編内で、もしくはスピンオフ的に、書かせていただきます~v』というものでして、
今回も、本編内またはスピンオフ小話として書かせていただくリクエストを募集したいと考えております。
ただ、今回の掲載場所はここアルファポリス内といたしますので、R15までの範囲となりますることご了承ください m( )m
どうしてもR18を!との場合は・・ご相談ください(^^ エブリスタの付帯特典機能を使います。
(頂戴したリクエストをスピンオフ的に書かせていただく場合は、その話のタイトルにそのように明示して掲載いたします。)(本編内で書かせていただくかスピンオフ的に書かせていただくかの判断は、私めのほうにてさせてくださいまし。)
なんだか説明がへたですみません。伝わりましたでしょうか><;
受付の期限はとくに設けませぬので、お気が向かれたときに、感想欄のほうでお声をかけてくださいませ^^v
以上ごれんらくでございました。
本編の進行もあいかわらずのんびりで完結まで半年はかかってしまいそうですが、なるべく日を置かず、できれば毎日すこしずつでも更新できるよう、今後とも励んでまいります。
どうぞ最後までおつきあいいただければ大変にさいわいでございます m( )m ・・v
**************
0
お気に入りに追加
927
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる