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壊劫の波間
30.
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「・・ただでさえ」
どこか掠れた、その響きに。
「二月ぶりだというに、・・拷問もいいところ」
冬乃は顔を上げて。
見上げた瞳に映ったのは、
あの、熱をちらつかせた眼。
(総司・・さん・・?)
「正直に言うと。思った以上に、冬乃に隣に居られると俺は落ち着いて仕事もしてられぬ事を先ほど自覚した」
だから手伝ってくれなくていいと。
(うそ・・)
そんな素振りなど全く無かったではないか。
さすがに冬乃を諦めさせるための口実ではないかと、冬乃は咄嗟に思って首を振っていた。
「信じませんっ、総司さんに限って!・・お願いです、もう一度機会をください、一緒に働かせてください・・!」
冬乃のそんな抵抗への応えは。
噛みつくような、口づけだった。
「……ッ」
手首と腰を捕らえられ、一瞬で身動きを完全に封じられた冬乃はなすすべなく。
まして侵入してきた舌に力強く歯列を割られ、冬乃の逃げ惑う舌は絡め吸われ、
冬乃はまたたく間に息も絶えだえになり、やがては頭の中が真っ白になる感に襲われ出した頃、
気づけば背後へ押し倒されて、背にひんやりと畳を感じ。
(総司さ・・っ)
続く、首すじへの強い口づけと。襟内を潜り込む大きな手が冬乃の乳房を攫い。
「ひゃっ…んっ!」
武骨な指に頂を弄られながら、落とされてゆく変わらず強い口づけが冬乃の首すじを下って痕を散らしゆくさまに冬乃は、
急速に立ち昇る快感と同じほど戸惑いにまみれて、
「総司…さん…っ!」
このまま、進んでしまっていいわけがないと。
「…お……しご…とが……っ…まだ」
慌てて沖田を止めようと冬乃は、呑まれてゆく自分自身さえ止めようとして、
「だめ…です……!」
懸命に制止の声をあげていた。
「こんどぅ…さまが待っ……てます…から…っ」
こんなに性急な沖田は、第一初めてで。
ぴたりと、
突然、沖田の動きが止まった。
刹那に、ふーっと盛大な溜息が降ってきて。
(・・え・・・?)
「よかった、・・いま止めてくれてなかったら」
冬乃の上から身を起こし沖田が、
「最早、続けてたよ」
未だ激しく熱の残るその眼を向けてくるのへ、冬乃は心臓を跳ねさせる。
「自制など効かなくなりそうな程、俺がいま冬乃を求めてる事を」
そして沖田は自嘲に嗤うように。
「これで信じたろ」
「わかったら、今は休んで。俺のために」
冬乃は半身を起こした。
「・・・俺のためなんて・・ずるいです」
そんなふうに言われたら、もう冬乃には従うしか選択肢は残らないことを。まるで知り尽くしている沖田に。
それでも。
「総司さんが・・仕事中にそんなはずないのに」
冬乃は、抗った。
これから暫く離れていなくてはならないのだと思えば、
「今度こそきちんと仕事しますっ、だから・・お願いします・・!」
やっぱり諦めきれずに。
「今のでもまだ信じないの?」
(え)
押し殺した低い声が冬乃の耳を掠めた。
刹那、
冬乃の視界は反転し、
再び畳を背に受けたと同時に。
大きな手が、冬乃の口を覆った。
どこか掠れた、その響きに。
「二月ぶりだというに、・・拷問もいいところ」
冬乃は顔を上げて。
見上げた瞳に映ったのは、
あの、熱をちらつかせた眼。
(総司・・さん・・?)
「正直に言うと。思った以上に、冬乃に隣に居られると俺は落ち着いて仕事もしてられぬ事を先ほど自覚した」
だから手伝ってくれなくていいと。
(うそ・・)
そんな素振りなど全く無かったではないか。
さすがに冬乃を諦めさせるための口実ではないかと、冬乃は咄嗟に思って首を振っていた。
「信じませんっ、総司さんに限って!・・お願いです、もう一度機会をください、一緒に働かせてください・・!」
冬乃のそんな抵抗への応えは。
噛みつくような、口づけだった。
「……ッ」
手首と腰を捕らえられ、一瞬で身動きを完全に封じられた冬乃はなすすべなく。
まして侵入してきた舌に力強く歯列を割られ、冬乃の逃げ惑う舌は絡め吸われ、
冬乃はまたたく間に息も絶えだえになり、やがては頭の中が真っ白になる感に襲われ出した頃、
気づけば背後へ押し倒されて、背にひんやりと畳を感じ。
(総司さ・・っ)
続く、首すじへの強い口づけと。襟内を潜り込む大きな手が冬乃の乳房を攫い。
「ひゃっ…んっ!」
武骨な指に頂を弄られながら、落とされてゆく変わらず強い口づけが冬乃の首すじを下って痕を散らしゆくさまに冬乃は、
急速に立ち昇る快感と同じほど戸惑いにまみれて、
「総司…さん…っ!」
このまま、進んでしまっていいわけがないと。
「…お……しご…とが……っ…まだ」
慌てて沖田を止めようと冬乃は、呑まれてゆく自分自身さえ止めようとして、
「だめ…です……!」
懸命に制止の声をあげていた。
「こんどぅ…さまが待っ……てます…から…っ」
こんなに性急な沖田は、第一初めてで。
ぴたりと、
突然、沖田の動きが止まった。
刹那に、ふーっと盛大な溜息が降ってきて。
(・・え・・・?)
「よかった、・・いま止めてくれてなかったら」
冬乃の上から身を起こし沖田が、
「最早、続けてたよ」
未だ激しく熱の残るその眼を向けてくるのへ、冬乃は心臓を跳ねさせる。
「自制など効かなくなりそうな程、俺がいま冬乃を求めてる事を」
そして沖田は自嘲に嗤うように。
「これで信じたろ」
「わかったら、今は休んで。俺のために」
冬乃は半身を起こした。
「・・・俺のためなんて・・ずるいです」
そんなふうに言われたら、もう冬乃には従うしか選択肢は残らないことを。まるで知り尽くしている沖田に。
それでも。
「総司さんが・・仕事中にそんなはずないのに」
冬乃は、抗った。
これから暫く離れていなくてはならないのだと思えば、
「今度こそきちんと仕事しますっ、だから・・お願いします・・!」
やっぱり諦めきれずに。
「今のでもまだ信じないの?」
(え)
押し殺した低い声が冬乃の耳を掠めた。
刹那、
冬乃の視界は反転し、
再び畳を背に受けたと同時に。
大きな手が、冬乃の口を覆った。
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