碧恋の詠―貴方さえ護れるのなら、許されなくても浅はかに。【現在他サイトにて連載中です(詳細は近況ボードまたは最新話部分をご確認ください)】

宵月葵

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うき世の楽園

237.

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 「…ふ…、ぅん」
 
 冬乃の唇が、もう嬌の声しか漏らさなくなった頃。沖田が冬乃の唇を解放した。
 
 つられるように瞼を擡げた冬乃の涙に滲む視界で、かわらず優しくも強い熱の籠る眼が冬乃を見下ろす。
 
 その片腕に冬乃を抱き締めたまま、冬乃の奥を貪るように、それでいて丁寧に愛撫を続ける沖田の、
 下で。冬乃はもう、幾度も身の芯を迸る熱に浮かされ。
 
 聞こえてくる濡れ音は、徐々に増して、羞恥に煽られた冬乃の息はさらに上がってゆく。
 
 
 つと沖田が身を屈ませ。冬乃の乳房へと顔を寄せた。
 
 冬乃がはっと彼を見やった時には、沖田の舌先が胸の頂をひと舐めするなり、口に含み。再びその器用な舌遣いが施され始めて。
 
 「ん…っ、もぅ、だ…め…っ」
 
 これ以上、刺激を与えられたら。
 冬乃は咄嗟に、沖田の頭へ手をやっていた。
 
 「だめじゃないでしょ・・」
 微笑うような声が落ちてくる。
 「ぁ、んっ…」
 そのまま奥を押しやられ。
 
 冬乃は、逃れようと背を反らした。沖田の硬い腕の拘束にすぐに留められても、冬乃はなお身を捩る。
 もう快楽の渦にこれ以上、攫われるのは怖かった。
 
 「・・冬乃」
 
 乳房にかかる熱い息。
 
 「逃がさない」
 
 月明かりの薄闇に光る眼が。冬乃を捕らえた。まるで肉食獣さながらに。
 
 「…あっ、ンン」
 一段と濃厚さを増した愛撫が、冬乃を襲い始め。
 
 「ん、ゃあっ…ぁ……!」

 冬乃の躰の芯を幾すじも奔りぬける鋭い熱に、冬乃にはもう抗うすべなど無く。

 その間も沖田の舌先が、冬乃の胸元から鎖骨の線を辿り、
 
 首すじ、頬へと戻ってきて、冬乃の喘ぐ唇をつうと舐め。
 同時に、冬乃の奥からはゆっくりと指が抜かれて。
 
 (・・あ、ぁ)
 
 硬く、大きな感触を。代わりに冬乃の縁に添えられたのを、感じた。
 
 「冬乃・・・」
 
 続いたかつてないほど低く掠れた声に、冬乃は息を呑んで、目の前の沖田を見上げる。
 
 慈しむような口づけが、まなじりに、そして激しい鼓動に胸から喘ぐ冬乃の、震える唇に次いで一瞬、
 落とされるとともに。
 
 
 冬乃はきつく目を瞑った。
 
 
 
 
 
 
 
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