クロスロード

つよけん

文字の大きさ
上 下
77 / 93
第一部ルート6「終焉」~それぞれの道~

戦闘10

しおりを挟む
「シエル!いっちゃダメだ!」

僕の声はシエルに届かず戦闘が続く穴の中へと落ちていった。
コンピューターの前に座っていたので、内部の様子は当然見えない状態である。
飛び込んだ数秒後に轟音が鳴り響いた。

突然前方から突風が吹き荒れる。
轟音を聞いた直後にアリルが翼を羽ばたかせながら空中に浮き上がっていた。

「上に行って武器を探してくるわ!」

その一言を残して天井の穴へと疾風の如く舞い上がっていった。
僕はコンピューターの操作を一旦中止して下の様子を覗き見に行こうとした時、どこからともなく女性の声が聞こえてくる。

「シエルは見た限り無事だから、あなたはパソコンの解析を急いで…。」
「だ、誰だ!」

声のする方を見ても姿や気配さえも感じない。
僕は奇妙な現象に背筋がゾクゾクっと震え上がった。

「大丈夫。私はあなた達の味方です。」

また別の場所から声がした。

「そんな事言ったって信じれないよ!」

不信感が増すばかりである。
僕は辺りを警戒しながら、穴の方へ向おうとしたが…。
片腕を何者かに掴まれる。
とっさに振り向き反対の腕を振りかぶった時だった。

「むぐっ」

なんだこの感触は!
見えない何かに抱きしめられている?
いや…今なら実際に見えている!
顔を何か柔らかな感触の物に押し付けられていて目の前は真っ暗闇だ。
僕は少しもがき抵抗をしたが…。
なぜだろうか…なんだか懐かしいよいな不思議な感覚に陥り抵抗する気力を失った。

「いい子ね。今は正体を明かせないけど、この件が終わったらわかる事だからもう少し待ってね。」

とても心地のいい優しい言葉だった。
本当に信用してもいいのだろうか…。
そんな事を考えていると、急に刺激的な柑橘系の匂いが脳を襲う。
暗闇の中で甘酸っぱい香りが頭に直接届き呆然とする事を強要されていた。

…。

いつの間にか抱きしめられた感触がなくなり、コンピューターの前に座らされている。
突然、脳が勝手に指令を出していた。

「早く解析をしないと…。」

僕は血の力を解放させてコンピューターの解析を始め出した。

…。

かなりの時間を要したが血の力のより、周りからは一瞬の事象だったであろう。
ハッと正気に戻った時には、全ての解析が終了していた。

「クイナの暴走の根元がわかった!」

フィーレ自体の事は全く解らなかったが、クイナが暴走してしまった経緯を暴けた事はとても強みである。
その事をハクシに一刻も早く伝える為に、穴の側まで駆け出していた。

ふっと柔らかい甘い香りが横を通過した気がして、横目でチラッと目視すると一瞬だけ髪を前で結ったシエル似の女性が見えた気がした。

「お疲れ様。」

一瞬見えた女性の口元がそんな言葉をかけようとしていた気がしたが、振り向く事をぐっと抑えて僕は目的を遂行する事を優先させた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

義体

奈落
SF
TSFの短い話…にしようと思ったけどできなくて分割しました。

処理中です...