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第一部ルート3「アリル」
天人7
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アサトの上に天人が覆いかぶさっていた。
私は少し考えた後、想像してしまい赤面した。
「ちょ、ちょっと!朝っぱらから二人で何やってるのよ。」
「あら、残念。邪魔が入ったか…」
残念そうにアサトの上から退いた。
天人は昨日に比べれば、とても血色もよく元気そうだ。
とても昨日死にかけていた様には見えない。
「獣人さん。一応礼を言っておくわ。助けてくれてありがとう。」
昨日の意味不明な言動に対してのギャップがあったが、きっとこの対応が素の物であろう。
礼を言われるとは思っても見なかった事は本音のところである。
「あ、はい。どういたしまして…」
「自分でもう無理だと思ってたから、逆に生きている事が不思議で怖いくらいよ。」
天人は少し悲しそうな顔をして、自分の手をぐっと握ってパッと開いた。
「私がしたのは、ここに連れて来て包帯を巻いただけだけどね。」
天人は疑問形で首を傾ける。
「早急に応急処置をして必死に止血したけど、しばらく経って脈も呼吸も止まっちゃったんだけどね…」
申し訳なさそうに頬をかいた。
「その状態でタイミングよくアサトが外から帰ってきて、状況をいち早く理解したのか、目にも止まらぬ速さであなたを蘇生させちゃったのよ。」
本当にどんなマジックを使ったのか…
思い出すだけで理解不能だった。
「アサトが私を…」
「シエルがすごく悲しそうな顔をしてたから、とっさに行動しただけだよ。」
天人はアサトに抱きついた。
「あなたに惹かれてたけど、それを聞いてもっと好きになちゃった。」
アサトはキョトンとしている。
「ねぇ、シエルちゃん?って言うの?」
「えっ、そうですけど。」
「私の名前はアリルよ。そんでもって単刀直入に聞くけど、アサトはシエルちゃんにとって何なの?」
何なの?と問いかけられると少し困る。
つい一昨日まで同じ境遇の中を逃げ出して、成り行きで今の状況に至ってるだけなのだから。
「もし、シエルちゃんが許してくれるならアサトを私に譲ってくれないかしら?元々はさらっていく予定だったけどね。」
アリルは意地悪そうな顔を浮かべている。
別に断る理由も何もないが、少し不快に思った。
「私は…」
回答しようと思った時。
「僕は僕!もう誰の物にもなりたくない!」
アサトは大声で自己主張をして、アリルの腕を振りほどいた。
それもそうだ。
私の物でも捕まっていた機人の物でも、ましてや今欲しいと言った天人の物でも誰の物でも無い。
アサトはアサト自身の物である。彼が決める事であって、私達には一切関係ない事だ。
「あら…完全に振られちゃったわ」
「そう…みたいですね」
何故だろうか、私はとても安堵していた。
それを天人に見透かされたようで…
「私は諦めてないからね!」
完全にライバルとして捉えられたらしい。
軽くすかし笑いを浮かべておいた。
私は少し考えた後、想像してしまい赤面した。
「ちょ、ちょっと!朝っぱらから二人で何やってるのよ。」
「あら、残念。邪魔が入ったか…」
残念そうにアサトの上から退いた。
天人は昨日に比べれば、とても血色もよく元気そうだ。
とても昨日死にかけていた様には見えない。
「獣人さん。一応礼を言っておくわ。助けてくれてありがとう。」
昨日の意味不明な言動に対してのギャップがあったが、きっとこの対応が素の物であろう。
礼を言われるとは思っても見なかった事は本音のところである。
「あ、はい。どういたしまして…」
「自分でもう無理だと思ってたから、逆に生きている事が不思議で怖いくらいよ。」
天人は少し悲しそうな顔をして、自分の手をぐっと握ってパッと開いた。
「私がしたのは、ここに連れて来て包帯を巻いただけだけどね。」
天人は疑問形で首を傾ける。
「早急に応急処置をして必死に止血したけど、しばらく経って脈も呼吸も止まっちゃったんだけどね…」
申し訳なさそうに頬をかいた。
「その状態でタイミングよくアサトが外から帰ってきて、状況をいち早く理解したのか、目にも止まらぬ速さであなたを蘇生させちゃったのよ。」
本当にどんなマジックを使ったのか…
思い出すだけで理解不能だった。
「アサトが私を…」
「シエルがすごく悲しそうな顔をしてたから、とっさに行動しただけだよ。」
天人はアサトに抱きついた。
「あなたに惹かれてたけど、それを聞いてもっと好きになちゃった。」
アサトはキョトンとしている。
「ねぇ、シエルちゃん?って言うの?」
「えっ、そうですけど。」
「私の名前はアリルよ。そんでもって単刀直入に聞くけど、アサトはシエルちゃんにとって何なの?」
何なの?と問いかけられると少し困る。
つい一昨日まで同じ境遇の中を逃げ出して、成り行きで今の状況に至ってるだけなのだから。
「もし、シエルちゃんが許してくれるならアサトを私に譲ってくれないかしら?元々はさらっていく予定だったけどね。」
アリルは意地悪そうな顔を浮かべている。
別に断る理由も何もないが、少し不快に思った。
「私は…」
回答しようと思った時。
「僕は僕!もう誰の物にもなりたくない!」
アサトは大声で自己主張をして、アリルの腕を振りほどいた。
それもそうだ。
私の物でも捕まっていた機人の物でも、ましてや今欲しいと言った天人の物でも誰の物でも無い。
アサトはアサト自身の物である。彼が決める事であって、私達には一切関係ない事だ。
「あら…完全に振られちゃったわ」
「そう…みたいですね」
何故だろうか、私はとても安堵していた。
それを天人に見透かされたようで…
「私は諦めてないからね!」
完全にライバルとして捉えられたらしい。
軽くすかし笑いを浮かべておいた。
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