7 / 93
第一部ルート1「シエル」
獣人2
しおりを挟む
少し歩いた先には、開けたら場所があった。
そこには大きな建物が立っている。
「遥か昔に建てられた『学校』って建物らしいんだけど、なんで建てられた物かはわからないんだけどね」
シエルは、そう説明すると手を引いて学校と言う建造物の中へと入る。
中は物が散乱し荒れ果てた汚い場所だった。
手取り足取り危険そうな箇所や通れる道をなんとなく聞きながら奥へ進んでいく。
しばらくすると、古い引き戸の前で立ち止まった。
「ここが一番荒れてない私のお気に入りの場所だよ」
軋む音とともに扉をゆっくり開けた。
まだ少し日が残っていて、向こう側から赤々とした夕日に照らされてとても神秘的な光景。
周りは整理整頓がなされていて、さっきの荒れ果てた空間とは雲泥の差。
そして際立って見えたのは、あたりを埋め尽くす本棚。
書籍もぎっしりと入っていた。
「これ全部古代文献みたいなんだけど、文字がわからなくて読めないの。でもきっと読めるようになる。それが私の夢の一つなんだ。ってあんたに言ってもわかんないか。」
なんだか寂しそうな顔をしている。
「あっ、そういえば」
おもむろに何かを思い出して部屋の奥に片付けてあった布を持って僕にはおわせてくれた。
「明日にまた服を持ってくるからそれまでそれで我慢してね。」
なんだかよくわかっていなかったが、暖かい言葉には違いがなくこれが正しい事だと理解できた。
シエルは一冊の本を手に取り本を見る仕草をしてぽんっと本を閉じた。
「やっぱり全然わからないや。この文献は絵が可愛いから好きなんだけど内容がチンプンカンプンでさ」
なぜだろうか、この時シエルの困ったような姿を見ると胸がモヤモヤする。
なんだかわからないけど、助けてあげたい。力になりたいと強くおもった。
シエルは突如思い立ったようにびっくりした目でこちらを見て
「やっばい!門限すぎちゃう。また明日くるから大人しく待っててね。」
僕を残し部屋から立ち去った。
とても寂しい気持ちが渦巻いてきて、頬に一雫の暖かい液体が流れ落ちた。
今まで自分は白い部屋で何もしらず与えられた環境で生きてきて感情そのものが欠けていたが、この時初めて感情という物を体で感じ取れた。
初めての色、初めての空、初めての森、初めての感情、初めての僕以外の人種。
意味は理解出来ていないが、シエルとは直感でまたすぐ会える気がしているから悲しい寂しいけど今は我慢しよう。
そしてシエルの役に立ちたい。
僕はシエルが最後に本を読んでいた記憶の形を自分でも真似をしてみる。
一冊の本を手に取りページをめくる。
意味はわからないがそれを永遠とやり続けた。
何度も何度も同じことを。
何度も何度も同じ仕草を。
僕はこの行動が役立つと直感で理解していた。
そこには大きな建物が立っている。
「遥か昔に建てられた『学校』って建物らしいんだけど、なんで建てられた物かはわからないんだけどね」
シエルは、そう説明すると手を引いて学校と言う建造物の中へと入る。
中は物が散乱し荒れ果てた汚い場所だった。
手取り足取り危険そうな箇所や通れる道をなんとなく聞きながら奥へ進んでいく。
しばらくすると、古い引き戸の前で立ち止まった。
「ここが一番荒れてない私のお気に入りの場所だよ」
軋む音とともに扉をゆっくり開けた。
まだ少し日が残っていて、向こう側から赤々とした夕日に照らされてとても神秘的な光景。
周りは整理整頓がなされていて、さっきの荒れ果てた空間とは雲泥の差。
そして際立って見えたのは、あたりを埋め尽くす本棚。
書籍もぎっしりと入っていた。
「これ全部古代文献みたいなんだけど、文字がわからなくて読めないの。でもきっと読めるようになる。それが私の夢の一つなんだ。ってあんたに言ってもわかんないか。」
なんだか寂しそうな顔をしている。
「あっ、そういえば」
おもむろに何かを思い出して部屋の奥に片付けてあった布を持って僕にはおわせてくれた。
「明日にまた服を持ってくるからそれまでそれで我慢してね。」
なんだかよくわかっていなかったが、暖かい言葉には違いがなくこれが正しい事だと理解できた。
シエルは一冊の本を手に取り本を見る仕草をしてぽんっと本を閉じた。
「やっぱり全然わからないや。この文献は絵が可愛いから好きなんだけど内容がチンプンカンプンでさ」
なぜだろうか、この時シエルの困ったような姿を見ると胸がモヤモヤする。
なんだかわからないけど、助けてあげたい。力になりたいと強くおもった。
シエルは突如思い立ったようにびっくりした目でこちらを見て
「やっばい!門限すぎちゃう。また明日くるから大人しく待っててね。」
僕を残し部屋から立ち去った。
とても寂しい気持ちが渦巻いてきて、頬に一雫の暖かい液体が流れ落ちた。
今まで自分は白い部屋で何もしらず与えられた環境で生きてきて感情そのものが欠けていたが、この時初めて感情という物を体で感じ取れた。
初めての色、初めての空、初めての森、初めての感情、初めての僕以外の人種。
意味は理解出来ていないが、シエルとは直感でまたすぐ会える気がしているから悲しい寂しいけど今は我慢しよう。
そしてシエルの役に立ちたい。
僕はシエルが最後に本を読んでいた記憶の形を自分でも真似をしてみる。
一冊の本を手に取りページをめくる。
意味はわからないがそれを永遠とやり続けた。
何度も何度も同じことを。
何度も何度も同じ仕草を。
僕はこの行動が役立つと直感で理解していた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
Future Sight
白黒ちゃん
SF
初投稿です。温かくみまもってください(--;)
夢で見たものの繋ぎ合わせた話です。
とにかく文字にしたかったので、誤字脱字などもあると思います。
初めて小説かきます汗
文章を書くのも下手ですが、よろしくお願いします。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる