いつかは さようなら~よかれと思うことをしてくれなくていい。嫌なことをしないで。

あおみなみ

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第12章 伏兵

義妹

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 「彼」の妹ちゃんが、突然電話をよこした。
 時間は某平日の昼間。幸奈を連れて外出していたので、出先で受けた。

 そして非常に意外なことを言う。
「あの、明日おうちにお邪魔してもいいですか?」
「え?」

 妹ちゃんは前のアパートのときも、そして越してからも、一度も来たことがない。
 私のことが嫌いみたいだし、「彼」はしょっちゅう実家に顔を出すので、おニイに会いたいって理由なら、わざわざウチまで来る必要がないからだ。

「もちろんいいけど、私と幸奈しかいないわよ?」
「…分かってます。おニイがいないときに行きたいんです」
「そうなの?分かったわ。何時頃がいいかしら」

◇◇◇

 妹ちゃん(今まで名前を出したことはないけれど、「みゆき」さんという)の食べ物とかの好みは知らない。
 でも、11時頃来るって言っているから、お昼の用意も要るだろう。
 カレーとかチャーハンとかだったら無難かな?

 あ。思い出した。
「オムライスにいつも花の絵を描いてた」って言ってたっけ。
 ということは、オムライスなら確実に食べるということかな?
 それとピーマンと玉ねぎのコンソメスープ、サラダみたいなので体裁整うだろう。
 滅多に使わないランチョンマットも引っ張り出して、スープマグも、親戚からのいただきものでステキなのがあったはず。

 絶対好きとは言えない人を迎える準備なのに、なぜだか楽しくなってきた。
 友達をランチに呼んで、いそいそ支度するってこんな感じ?

 彼に「何をバタバタやっているの?」って聞かれたから、「明日みゆきさんがうちに来るって言うので」と答えたら、「珍しいこともあるね」と言いながら、とても喜んでくれた。
 やはり小姑との仲が険悪そうなのはしんどいのだろう。表面だけでも仲良くしておいた方がよさそうだ。
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