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第10章 エゴ
愛して…
しおりを挟む例の「上映3時間近くに及ぶ長尺大作映画」は、結局見にいった。
2週続けて寝落ちなんて言い訳が通るとは思えないし、アリバイ作りみたいなものだ。
もともと自分の好きなタイプの映画ではないので、「壮大なる見世物」くらいの感想しか言えないけれど、「彼」はそもそも私が小面倒くさいことを言うのを好まない。
ネタバレにならない程度に印象に残るシーンを二つ三つ見繕っておけばいいだろう。
宗太のアパートで「一戦」交えた後、別々に入場し、暗闇で落ち合った。
隣の席で私の手を握ったり、太ももに手を這わせたり、じれったいことを仕掛けてくるので、時間差で劇場を出、再び宗太のアパートで絡み合った。
「今度は…キスがしたい」
「そういうの…意外と見えちゃうわよ」
「真奈美がこうやってももを撫でられて…息を荒くしているところだって…バレバレだったかもよ…」
「イジワル…」
宗太と関係を持つまでは、セックスというのは男が主導でするものだと信じて疑わなかったが、ほんの2週目にして、自分から宗太にまたがり、積極的に求めるようにまでなっていた。
「好きよ…宗太」
「俺も愛してるよ、真奈美…」
口に出して言ってみて、私は今、宗太が好きなのではなく、宗太とセックスするのが好きなんだと気づいてしまった。
「愛してる」と言われてしまった罪悪感が、一瞬だけ自分を冷静にしたのだと思う。
そういえば、「彼」は幸奈を近くで遊ばせながら、女を抱いているのだろうか?
それとも、うまいこと寝かしつけた後にコトに及んでいるのだろうか?
そんなことがふと気になった。
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