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第5章 星月夜の公園
針のむしろ
しおりを挟む私はその翌日、強制的に彼の実家に連れていかれた。
ああいうのを「針のむしろ」というんだろう。
一応身重だからということで、家事はやらされず(やらせてもらえず)上げ膳据え膳で、ただしひどい当てこすりをたっぷりと言わ続けた。
身の安全は保証されているけれど、心の安全は手放した。
ひたすら心を殺すようにおとなしくして、臨月を待つ日々が続いた。
妊婦というのは眠くなるものらしい。
起きていても寝ていても、愉快なことは一つも言われないんだからと、開き直って眠り続けた。
幾ら寝ても寝たりなくて、しょっちゅう嫌な夢を見た。
そうして予定日の3日後、女の子を産んだ。
ああ、そういえば、「予定日なのにどうして陣痛が起きないの?ひょっとして、予定日の話もうそだったのかな?」って当日言われたっけ。
どれだけ説明しても、妊娠や出産の本質を理解しようとしなかった。
「僕は勉強していろいろ知っている」と言っていたけれど、本当に「人間の」出産について学んだかどうか怪しい。
「人間だって動物なんだから、できるだけ自然にお産すべきだ」とか言い出す人もいるらしいので、ソッチ方面に行かなかったことが幸いだった。
何かだんだんポーターの『少女パレアナ』の主人公みたいになってきたな。
少々やけくそになって“よかった探し”でもしてないと、身が持たない。
産後は5日だけ入院して、どちらの実家にも頼らないと宣言した。
母が手を貸すとは言ってくれたけれど、絶対「心に来る」ことを言われそうなので断った。
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