初恋ガチ勢

第27章 P.S. 私には今、好きな人がいます。【メグと大輔】

メグからの返信（封書）

【芽久美】

　大輔さんから、玉成学園大のパンフレットが届いた。
　同封されていたのは、玉成のオリジナルレポート用紙に殴り書きされた手紙。
　内容は――ある意味ラブレターだった。
　読んでいて気持ちがぽかぽか熱くなった。

　私も観念して率直に、しかし少しだけずるく応えなければいけない。
　やっぱりこの恋を実らせたいから。

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【大輔】

　あの手紙を書いてから1週間も置かず、メグから返信が来た。
　清潔感のある水色のレターセットに、達筆ではないが整った読みやすい文字。
　何よりも、封書には封書でというスタイルの返信だったのがうれしい。

「大倉大輔様

　先日はすみませんでした。
　実はカレに振られてしまって、恥ずかしくて本当のことが言えなかったんです。
　それで混乱して、結果的に大輔さんまで傷つけることをしてしまってごめんなさい。

　玉成、近代的できれいなキャンパスですね。
　人気校なので一般入試は厳しいと思いますが、考えてみたいと思います。
　パンフレットありがとうございました。

　とりあえず、用件まで。

　桜井芽久美」

　短いが、多分本当のことが書いてある。
　自分も傷ついたろうに、俺を傷つけたことをわびている。
　本当にお人よしなやつだ。

　しかし、「本編」は追伸の方だった。

「P.S.
　私には今、好きな人がいます。
　1つ年上で、他校でテニスをやっていて、ぶっきらぼうだけど、実は優しくて礼儀正しい人です。
　知り合ったのは最近ですが、10年以上前から好きだったかもしれない人です。
　私の母は中学生のとき、大学生だった父に一目ぼれし、自分から告白したそうです。
　一度は「若すぎる」って理由で振られましたが、勇気を出した結果、初恋を実らせました。
　だから私も母を見習って、好きな人には好きって自分から言えたらなと最近思うようになりました。」

　メグの1つ上で他校でテニスって、一体どこの誰だ？俺も知っているやつか？――などとボケをかますほど、俺も鈍感ではない。
　店長さんも、かわいい顔してなかなかやるな。母娘そろって興味深い。

　本当は「お前を振るような見る目のない男はさっさと忘れ、すぐに俺のところに来い」と言いたいところだが、とりあえずは様子見だ。
　
　もう焦る必要はない。俺とメグは両思いなのだ！