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第23章 …お前が「メグ」だったんだな【メグと大輔】
懐かしいピンク【メグ】
しおりを挟む「お前そういうのが好きなのか?子供っぽくないか?」
「あ…まあ嫌いではないですけど。そうじゃなくて、ちょっと懐かしいなって」
明るい色の布地に、やたら甘い小動物、花、ケーキなどの柄がプリントされたバッグ類、小物。
一方で、大人っぽくて渋めなポーチやミラーなどもある。
かと思えば、鮮やかな色と大きなロゴの、何だかアメリカンな感じのアイテムもいっばい。
この雑貨屋さん、本当にバラエティーに富んでいて面白い(注・100均ではありません)。
ここまで雑多なのに、それぞれがちぐはぐな感じがしないのもすごい。
「懐かしい?」
「昔、母が縫ってくれたワンピースがあって、こういう柄だったんです。あれは本当、5歳児の若さの勢いだけで着てました(笑)」
「…それってピンク色だったか?」
「よくわかりましたね!そうなんです」
「大体小さい女の子は、ピンクが好きなものだろう?」
「今はその辺、けっこう面倒くさいですよね、多様性とか個性とか。「みんなが好きなものが好き」っていうのも、立派な個性だと思うけど」
「俺はそんなふうに考えたことはないが、面白い考え方だな」
「私のも、母の受け売りみたいなものですけどね」
「しかしお前、今でもそういうの着たら似合いそうだぞ」
「えー、さすがに…」
「そうだな。さすがに一緒に歩くのは恥ずかしい」
「ふふ。じゃ、着ません」
大輔さんはこういうお店に入っても、マイペースで自分の意見を率直に言う。
その彼が言っているのだから、意外と今着ても何とかなるのかな(着ないけど)。
◇◇◇
「お前、さっきからそれを熱心に見てるな?」
「あ…いいなと思って」
小ぶりだけれどしっかりしたつくりのポーチ、2,000円也。
赤を基調にしたタータンチェックで、ボアのウサギの顔のアップリケがついている。
さすがにこれからの季節持つには少し暑苦しい感じだけど、すっごくかわいい。
まだママからもらった5,000円が手つかずなので、買おうかなと決心したところで、大輔さんがそれを取り上げた。
「よし、これだな」
「え…」
すたすたとレジのところまで持っていくと、「包装してしてください」と言っていた。
いやいやいや――別に「私にくれる」とは言っていない。
例えば妹さんとかがいて、女の子の好きそうなものをリサーチしていたのかも。
ここで「いいですよ、そんな」と私が言うのも変な話だ。
ラッピングに少し時間がかかるので、店内を見ながら話をした。
「大輔さん、妹さんとかお姉さんがいるんですか?」
「いや、兄貴が1人だ。6つ上で、今年就職して家を出たけど」
あのポーチ、今年23歳?の社会人1年目の男性がもらってうれしいものでもなさそうだ。
「お前はひとりっ子だろう?」
「はい。よく分かりましたね」
「ああ、ちょっとな…」
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