初恋ガチ勢

あおみなみ

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第22章  どっちにしても私、大倉さんに会いたかっただけなんだな。【メグと大輔】

テスト休み【メグ】

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 けふは貴様の誕生日だらう。
 何か祝つてやらずばなるまいな。どうら。

 若松賤子『黄金機会』

◇◇◇

 6月30日は私の誕生日だ。

 私は月初めにママからお小遣いをもらうのだが、今月は20日に別口で突然5,000円渡された。

「大変申しわけないんだけど、今回はあなたに何をあげたらいいかわかんない!
 仕事も詰まってて、特別な料理も作れそうにないし。
 ということで、悪い!今年はこれで勘弁して!」

 だそうだ。

 図書カードでも、何たらギフト券でもなく、樋口一葉(※下記注)お姉さま1枚。

 一応素敵な和紙の長封筒――月ウサギの絵が左下に入った――に入れられ、「芽久美ちゃん、16歳おめでとう。もうすっかりオトナですね。分別を持って有意義に使われることを祈念いたします」という謎のプレッシャーを感じるメッセージも書かれていた。
 誕プレに現金――ママン、素敵(揺るぎなき本音)。

 で、誕生日の翌日から4日間、1学期の期末考査が始まる。
 25日くらいから、部活も休みに入ったところが多いので、久々にカイと一緒に勉強できるかなと思って声をかけたら、「ごめん、部活で数学に強いヤツに教えてもらうことになってて」と断られてしまった。
 そう言われたら、私は文系科目は割と得意だけど、理系はひと様の勉強見られるレベルでもないしなと引くしかない。
 去年までは、苦手ながらも2人で頑張ってきたなと思い出すと、ちょっと寂しい。
 「いいなあ、私も混ぜてよ」って軽く言えるような性格だったら、いろいろ展開も変わるのかな。



※この小説の初出が2020年だったので、当時のままの表現になっています。
ちなみに2025年1月現在、私の手元にはまだ2度しか津田梅子様がお越しになっていません。
5,000円札はただでさえ流通量が少ないので、無理もないのですが。


◇◇◇

 とりあえず使い道の決まっていない5,000円と、テスト休みのムード。
 6月下旬某日、私は衝動的に「寄り道」などした。

 そして間の悪いことに、「あの場所」でまた声をかけられるなどした。
 制服(たぶん都内の学校)を着た男子2人組に、
「ねえ、君の制服どこの?カワイイじゃん」
 と声をかけられたから制服マニアかもと思っていたら、「遊びにいこ」と続いた。

 もしも英明生でナンパきっかけの恋愛に興味がある女の子がいたら、「制服のまま新宿のリブル森林堂に行くと声かけられるよ!」と教えてあげたい。

「あのぉ、そういうのいいんで…」
「えー、なにって。俺らちょっと君と話したいなーって」
「いや、だから…」
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