初恋ガチ勢

あおみなみ

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第11章 「俺は多分、この先千弦さんを困らせるようなことを言うと思います」【千弦と聡二】

聡二君は、一体どこを見ているのかな。【千弦】

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 私は今月末には35、3年後には38だ。
 若返ることがない以上、おばさんが3つ年を取るだけで、多分そう代わり映えはしないだろう。
 対して聡二君の3年後は、きっと今以上にいい男になっているだろう。

 皮肉なもので、私が亡くなった夫に初めて告白したのは、ちょうど今の聡二君くらいの頃だ。
 そのときは「3年経っても俺が好きだったら、また言って」と体よく断られたが、3年後は受け入れてくれた。
 目の前の聡二君は、3年経ったとき俺が好きだったら、受け入れてくれと言う。

 どうしてこう私の周りは、3年縛りしたがる男ばかりなんだろう。

 ちょっと悔しいが、「分かりました、受けて立ちましょう」と答えるしかない。
 今はこうは言っていても、彼は3年後には今日の約束すら忘れているかもしれない。
 私だって夫が死んだときは、もう恋愛も結婚もいいやと思ったこともあったのに、目の前の彼の挙動に心を動かしている。
 だったらその心変わりも含め、彼の成長や変化を「楽しみに」してしまうのもありかもしれない。

 しかし、生き生きとした目で
「本当ですか?俺、絶対あなたを振り向かせます!」

 そう力強く言う聡二君は、一体どこを見ているのかな。
 私はもうあなたにしっかり顔を向けているつもりなんだけど。
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