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第6章 ミニシアターのチケットをもらった。[後編]【千弦と聡二】
ということは、意外とママとお似合いなのかもしれない。【メグ】
しおりを挟むサエちゃんが突然帰ってしまったことで、私は檜先輩と2人で家まで帰ることになってしまった。
さすがに緊張するなあ…と思っていたら、緊張する間もないくらい、電車の中で檜先輩が私を質問攻めにしてきた。
当然のように、質問するのはママのことばっかり。先輩、マジですか。
「ママは私を21歳で産んだので、3月で――34歳になっているはずです」
「そうか。本当に若く見えるな。とてもキレイだし」
「そうなんですかねえ。私は毎日見ているからよく分からなくて」
本当はママを褒めてもらってうれしいけど、一応身内のことなので謙遜しておく。
「21ということは、学生結婚だったのかな」
「短大を出てすぐなので、20歳くらいだったんじゃないですかね。そういえぱ写真見せてもらったことありますけど、中学生がウエディングドレス着てるみたいでウケましたよ~」
「……君はお母さんに少し当たりが強くないか?」
「そうですか?みんながママをちやほや甘やかすから、私くらいはって思っちゃったのかもしれません」
「みんな?」
「伯父さんなんか、仕事の話にかこつけて、いろいろお土産持ってくるし、何だかんだ言ってママには甘々で」
「オジさん?片山のカフェの人か?」
「あ、“私の”伯父さんです。死んだパパのお兄さん。スポーツニュースとかを配信するサイトをやってて、ママには仕事も出してて」
「なるほど、伯父さんか」
「パパが死んだとき、おばあちゃんたちが、『新しいパパができるかもね』なんて言っていたから、再婚の話もあったのかもしれません」
「え……」
「まあ結局、別な人と結婚しましたけど」
「そうか……」
◇◇◇
しかし、檜先輩って冷静沈着で表情の読めない人だと思っていたのに、こうして見ると随分表情がくるくる変わるなあ…。
年齢の話しても引かないし、伯父さんの話したら焦るし、分かりやす過ぎ。
よおし…
「ママの彼氏って…」
「いるのか?」
「いえ、見たことも聞いたこともないんです。でも全くもてないとは思っていません」
「だろうな。俺もそう思う。あれだけ魅力的な人なんだから」
「というか、間抜けなところがあってだまされやすそうだから、変な人にひっかからないといいんですけど」
「それは――心配だな。うん、心配だ」
ダメ押し!
「先輩って、ママのこと好きですか?」
「好きというか、気になる女性だ」
ふむ、まあそりゃそうでしょうね。
ただ、問題はその後。
「片山からの帰りの新幹線で『鉢の木』のことを検索して、リンクをたどってインタビュー記事に行き着いたときは、びっくりしたがうれしかったぞ」
うわあ…それは正直引く。
でも文化祭のとき、「インタビュー記事拝見した」とか言っていたから、もうママにもバレてるのかな。
「なんだ、何か言いたげだな?君だって気になる芸能人がいれば、ネットなどで情報収集するだろう?」
「…とにかく、好きなんですね?」
「そうだな。1人の女性として大変気になる存在だ」
この会話を書き起こしたとして、知らない人が読んだら、とても15歳と13歳の会話には見えないだろう。
私はいいとして、先輩は実年齢×2くらいで(下手したら3!)考えてちょうどいい。
ということは、意外とママとお似合いなのかもしれない。
そういうことなら、せいぜい邪魔しないようにしとこ。
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