【R18】える

【終】LOVE OR LIKE OR LIES

愛か、好意か、ウソか

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　弘人さんは温かくて控え目で、私のつみれ汁や卵焼きをおいしいって食べてくれた。
　私が好きなラブコメもバカにしないで一緒に見て、同じところで笑って泣いて、「こんなカップル、憧れるね」って照れくさそうに言った。

　私は元彼のあの姿を見たとき、悲しいというより悔しかった。
　もし私が彼のことを好きだったら、悲しいと思ったんだと思う。
　今は、弘人さんが私に「好き」と言ってくれないのが悲しい。
　何回もセックスしたのに。

　多分、彼は私のことが好きなんだと思う。でも、はっきり「好き」とは言ってくれない。
　かといって「「好き」って言って」とお願いするのも違う。
　仲が深まっていけばいくほど、きっとその言葉から遠ざかっていくだろう。
　実際私の母は、それが理由で父から遠ざかっていったのだから。

　身勝手なのは分かっているけど、衝動的にお別れの手紙を書いていた。
　最後の最後まで本当の本名を名乗る勇気がなくて、「えむ」って読み仮名をつけた。

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　投函して、彼がその手紙を手にしたことを想像してから、びっくりするくらい後悔した。

「あんなのウソに決まってるじゃん。それに、私の本当の名前は「めぐむ」だよ」

　そんなことを言いながら部屋に押しかけたら、彼はどうするだろう。
　怒る？笑って許す？
　というよりも、私の言うことをちゃんと信じてくれる？

　自分で蒔いた種とはいえ、私という「虚像」みたいなものと付き合ってくれた彼の本心が見えない。

　今度はちゃんと恋したかったな。

【了】

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