2 / 5
職場の飲み会
しおりを挟む地方あるあるの一つ。
「郊外の、やたらでかい駐車場のある居酒屋」
ああいうの見ると、正直なんだかなあって少し思うが、たとえ車で訪店しても、運転代行サービスを利用するとか、運転する人はウーロン茶しか飲まないとか(で、ドライバーズサービスで無料になったり)できる。
ほかにも、職場の駐車場に車を置いてタクシーで帰る、いったん自宅に帰って、家族に車で送迎してもらうとか、やりようはある。
どっちにしても、通勤が自家用車前提にはなるけどね。
「「「「「
俺は高校卒業後、地元のとあるスーパーに就職した。
免許は学校で「解禁」になってからすぐ取ったけど、そのための費用は俺の名前でローン組んだし、自家用車をすぐに調達してもらえるような身分でもない。「欲しければ金を貯めて、自分で買え」ってさ。
どこの店に勤務になっても、自転車か原付で通うつもりだったし、まあいいかと思っていたら、家から2キロ程度のトコの店舗に配属が決まり、これなら自転車でも楽だし、何なら徒歩でも大丈夫かなって一安心した。
仕事上がりに飲み会や焼き肉に行くにしても、勤め先の近所の店になるのがありがたい。
幹線道路沿いの、やたらと商業施設や飲食店があるエリアだからっていうのもあるけれどね。
気分で「今日どっか寄ってかない?」って飲みはまずなくて、大体、職場ぐるみの送別会だ歓迎会だ暑気払いだと、なにかしら名目をつけ、「何月何日に『居酒屋はるきち緑が丘店』で~」みたいな感じ。
「「「「「
それは3月第1週だった。
自動車学校のローン(30回)も今年じゅうに完済だなあってくらいなので、5月の19歳の誕生日くらいから返済し始めた俺も、当然酒を飲める年齢になっている。
「日中は5月上旬並みの暖かさ」とかで、一日中晴れマークしか出ていない天気予報を信じ、あらかじめ決まっていた職場飲み会にそなえ、俺は徒歩で職場に行くことにした。
帰りは何時になるか分からないが、親か姉ちゃんに迎えにきてもらってもいい。金は出してもらえない分、意外とそういうことには協力的なのだ。
「「「「「
てことで。
閉店後、21時から2時間(くらい)の予約の店で、飲んで食って、他愛もない話をして、たばこの煙に巻かれて、23時(頃)にお開き。
「帰り、どうするんだ?」と、一番仲のいい同僚に声をかけられた。
俺は「月がきれいだから、歩いて帰るよ」と答えたら、「何だよ、酔ってんのか?気を付けて帰れや」ってからかわれた。
そうだな、確かに酔っていたのかもしれない。
酒が気持ちよく回っていて、それでいて足元はまだ大丈夫そうだったので、俺は同僚に手を振ったり、上長に会釈したりしながら、居酒屋の前の県道を渡った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
いつかは さようなら~よかれと思うことをしてくれなくていい。嫌なことをしないで。
あおみなみ
現代文学
高校時代1年先輩だった、涼しげな容姿で物静かな「彼」こと相原幸助。
愛らしい容姿だが、利己的で共感性が薄い「私」こと天野真奈美は、周囲から孤立していたが、「彼」がいればそれでいいと思っていた。
8年の交際の後、「彼」と結婚した真奈美は、新婚初夜、耳を疑う言葉を聞く。
◇◇◇
この短編を下敷きにして書きました。そこそこ長編になる見込みです。
『ごきげんよう「あなたは一番見るべきものを ちゃんと見ていましたか?」』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/566248773/193686799
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
★【完結】進め‼︎ 宇宙帆船『日本丸』(作品230720)
菊池昭仁
現代文学
元航海士だった私のマザーシップ 横浜に係留されている帆船『日本丸』が あの宇宙戦艦になったら面白いだろうなあというSF冒険・ギャグファンタジーです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる