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一輪と花束
あの子みたいな花だと思った。
しおりを挟む今日4月23日は「サン・ジョルディの日」だ。
スペイン発祥で、男性が女性に花(赤いバラ)を、女性が男性に本を贈る日。
日本では、花関係より出版業界の方が乗っかっている気がする。
本を贈り合う習慣も実際あるみたいだし、花が絡むイベントはほかにもいっぱいあるしね。
あの子は――赤いバラより、ほかの花の方が似合いそうだし、花より本を贈った方が喜びそうな気もするけど…。
この間のイースターの失敗もあるしなあ…。
そんなことを考えながらいろいろ検索してたら、水色のバラのイラストが見つかった。
そうか、イラストって「何でもあり」で面白いな。
つんとすましているようでいて、こんもり温かそうな花びらの質感とか、ちょっといい。
一輪で、きりっとしていてきれいで堂々としている。
あの子みたいな花だと思った。
正義感が強いあまり、きついことを言って敬遠されてるっぽいってよく言われてる。
…「は?」とか「きしょ?」と言われても、僕はこういうヤツだからね。
「君はすてきだ」「友達になりたいな」って伝えたい。
この画像にまた「Dia De San Jordi」って文字を入れて、彼女に送ることにした。
「今日はサン・ジョルディの日ですね」
「君みたいなバラの絵を見つけたので、送ります」
「僕、アニバーサリーとか好きで、こういうことよくやっちゃうけど」
「迷惑だったら言ってね。そうしたらあとは送らないから」
考えがまとまらなくて、1行ずつポツポツ送ったけど、彼女のスマホがそのたび通知音を鳴らして、全部僕からで、「うわ、ウザ」とか思われてたらどうしよう?なんて、後から気付いた。
1時間経っても既読はつかなかったけど、3時間後にメッセージが来た。
『よんだことある?』って、本の表紙の画像付き。
泣けるって有名なSF小説だ。
僕は「知ってるけど、まだ読んでない」と返した。
すると、『あしたよていありますか』って。
「特にないけど」
『どーなつやさんでまってる』
「学校の近くの?」
『そうそう』
『にじとかでだいじょうぶ?』
「分かった」
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