32 / 33
第9話 苦い菓子
2
しおりを挟むあれから2年。「まだ」とも「もう」とも言える時間が経った。
「事故から半年後に来たときも、女子高生がみんなミニスカ履いててびっくりしました。
そんな格好じゃ、将来子供産めなくなっちゃうって、ちゃんと大人が教えてやらないと」
「道の駅とか人いっぱいでびっくりしました。よくアブないあんな野菜買いますよね」
「皆さんもスーパーで地元産は買わないんでしょ?昨日取材した女性がそう言ってましたけど」
話す内容もさることながら、山本が菓子や茶に全く手をつけていないことを気にする人もちらほらいた。
さりげなく、「それ、召し上がらないんですか?」と、山本の向かいに座っていた大河原さん(30代・男性)が質問すると、
「いや――俺は人がいっぱい集まるところで地元の声が聞きたかっただけで…それに、食べるとかは本人の自由でしょ?」
とのことだった。
その日の菓子は、できたての姫まんじゅう(新製品のみそあん)と、香ばしい焼き目のついた餅菓子「いすず」。だった。
「いすず」は定番の人気商品の一つ。姫まんじゅうの方は、「これもイケるね」「でも、やっぱりいつものこしあんの方が好きかな」などと盛り上がっていたが、「食べるとかは自由でしょ?」という山本の言葉から、感じ取らなくてもいいニュアンスをついつい受け取り、少しシュンとなってしまう者もいた。
きっと同じような考え方のお仲間の間では、「こんな毒物、誰が食うか」とバッサリなんだろうな、と。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる