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第4話 安藤に幸あれ
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しおりを挟む2011年7月10 日曜日
薬品卸の会社に勤めている安藤春樹(27歳)は、いつも以上に精彩が上がらない感じだった。
白皙の青年、といったら聞こえはいいのだが、そこに含まれる美青年的なニュアンスは手放した感じの、ただひたすら色白な若い男である。
体は細く、銀のフレームのメガネをかけて、いつも困ったように笑っている。
県北(ちなみにこの地域では、「けんほく」ではなく「けんぽく」と発音する)の出身で、高校を卒業後に隣県の県庁所在地の大学に行き、卒業してUターン就職をしたとのことだが、現在は片山駅東のマンションでひとり暮らしをしている。
甘いものが好きで、もともとくぬぎ屋の商品のファンだったとのことで、片山で暮らし始めたとき、「まっさきに念願の本店喫茶部に来たんですよ!」という話をうれしそうに、しかし大真面目に語ったことで、年かさのお姉さま方のいじられポジションになった。
くぬぎ屋本店喫茶部こと「花いかだ」は、商品として売らているケーキや和菓子をお茶請けに茶やコーヒーを楽しんだり、和風パフェやあんみつを食べたり、おむすび弁当や焼うどんなど軽い食事をとったりできる、カジュアルな雰囲気の和風喫茶である。
金額設定があまり高くないため、中高生の客も時々見られるが、年齢を問わず女性が友達同士でというパターンが多く、男性は大抵、女性のパートナーとして訪れるため、男性1人の客はあまりいない。
安藤は「花いかだ」でランチやティータイムを楽しむ中で、朝のお茶会というイベントを知り、参加するようになったらしい。
「というか、なんで僕が1人で来たって決めつけるんですかあ?」
安藤が少し不満げに言うと、
「でも実際、1人だったんだろ?」
などと返される。
「まあ、そうですけど…」
「うまいもんは1人で食ってもうまいけど、2人だともっとうまいよ」
「はあ…」
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