【R18】アンナの不倫日記

シチュエーションCD

　シチュエーションCDって知ってる？

　乙女ゲーの雑誌に新譜情報とか載ってて、娘ちゃんに聞いたら「友達で好きな人がいて～」みたいな調子で教えてくれた。はいはい、友達友達。
　自分にも覚えあるけど、子供って、自分の好きなものとか考え方を親に理解してほしいと思う反面、全てを知られるのはなんかイヤなんだよね。分かる分かる。

　シチュエーションCDっていうのは、要するにドラマCDみたいなものなんだけど、あくまでヒロインはCDを聞いている女性ファン（男性もいるのかな）で、聞き手に対して男性声優が甘い言葉をささやいたり、くどいたりするというやつ。

　オフィスとか学校とか病院とか、いろんなシチュエーションで、憧れの上司とか、人懐っこい後輩とか、ちょっとSサドっ気のあるお医者さんとかが、ドキドキさせるようなセリフを連発するので、聞いているうちにその気になっちゃうようなやつね。

　それを「バイノーラル録音」と呼ばれる、鼓膜に直接働きかけるみたいな、もー臨場感たっぷりに響く方式で録音するから、そりゃもう「来る」んですよ。

　えっちなのばかりじゃなくて、全年齢型の割と健全なのもあるよ。
　変わったところだと、「罵ののしりCD」とか。
　イケメン君に意地悪なことを言われるのを楽しむんだけど、「こいついじめていいのは俺だけ」っていう、イケメン君にだけ許される（らしい）セリフだから、変に需要があるみたい。

　前に話した『KNIGHT　BROTHERS』にも出ていた魚山うおやま宗助そうすけっていう声優さん。
　落ち着いた声質で、クールな役もチャラ男役もすごい演技力で聞かせてくれるんだけど、アニメとかで片言の外国人って役がなぜか結構多いんだって。
　そういうイメージのせいかわかんないけど、「口説かれているはずなのに、日本語が不完全なのでバカにされているみたい」っていう状況のがあって、ずーっと大笑いして聞いてた。

「こんなワガママを聞いてくれるなんて、あなた本当にチョロいですね」
（優しいとか親切と言いたかったらしい）

「あなたの笑顔はとてもスッテンコロリンでーす」
（ステキという言葉を、悪い日本人にゆがめて教わったらしい）

「ここで会ったがヒャクネンメで～す」
（あなたと出会えたことが幸運――という意味だと思っている）

　みたいな。

　こういうのなら、面白いと思うかどうかは人によるだろうけど、何なら家族そろって聞いてても別に問題ない。

　聞いてることを知られたら絶対まずいのは――声優さんが裏の名前で出ているやつ。
　乙女ゲーの章でも言ったけど、年齢制限入るレベルで色っぽいやつは、やっぱりどうしても「裏」扱いになっちゃう。
　最近聞いたのでヒットは、品紋しなもんタイガっていう渋いバリトンボイスの声優さんが、イタリアンレストランの料理人クオーコで、ベッドを共にしたゆきずりの女性の局部にオリーブオイルを垂らして、絶妙の舌技で昇天させちゃうってやつ。

　これだけ聞くと、なんじゃそらって感じだと思うけど。

　乳首とかアソコとかに、小さなティースプーンでちょろっと垂らして。
　指でなじませるように、もんだりこすったりして。
　男はそうされた女の反応を見て、からかったり、恥ずかしがらせたりして…。

　男も女もたっぷり楽しんで、その後男は――鼻息荒く女の中に攻め入ってきて、みたいな展開。

　こんなん絶対、リアルでやられたらドン引きだよね。
　だからいいのよ。これはファンタジーなんだ。

　CDのジャケットには、ちょっと濃い目の男前が、白い服にストライプのコックタイを着けて、長い指で持ったグリーントマトを、こちらに渡してくるっていう構図の絵。

　トマトがまるで禁断の木の実みたいに見える（トマトは木の実じゃないけどさ）。

　「これを受け取ってしまったら、君は俺だけのものだ」みたいな。
　悪魔の契約的な。

　何かそういうもったいぶった感じって、もうそれだけでエロチックだし、「ああ、この男前が私のXXをレロレロしたり、えっちなことを耳元でささやいたりしてイカせるのね」と、すごくイメージしやすい。

　セックスをそれなりに知っているからこそ、ソロプレイでないと経験できない快感みたいなのがあると思うんだよねえ。

　こんなの聞きながら、思いきり自分を慰められたら、すごく「いい」だろうなあ…。

　もっと若いうちにこういうのを知っていたら、よその人とセックスしなかったかな？
　いや…それを知ってるからこそ、耳からの刺激だけでいろいろ想像できちゃうのかな？

　正直よく分かんないや。

＊＊＊

参考までに、今回のモトネタです。

魚山宗助さんは、『薄桜鬼』の斎藤一、『うたの☆プリンスさまっ♪』の愛島セシルなどでおなじみの鳥海とりうみ浩輔こうすけさんです。
その艶っぽい声に魅了された状態を「鳥インフルエンザに感染」などと、やや不謹慎な表現をされることも。
2013年リリースの『真・罵倒CD 第2巻』にて“迷子の外国人”役を演じていました。

乙女ゲーの章でもモトネタとして使われた『BROTHERS CONFLICT』では、クールで天才肌の六男・朝日奈梓あずさを演じましたが、ずばり「人気声優（しかも五男・椿役の鈴村健一さんと一卵性双生児）」という、フェチズムの詰め合わせみたいな設定でした。

「品紋タイガ」は、参考にした方はコンテンツはあるものの、諸般の事情により伏せたいと思います。
一つだけヒントをいえば、シナモンという言葉が日本語だと何を表すか、ですね。