上 下
10 / 14

悶々々

しおりを挟む
 どうも、アンナです。
 その後、いきなり10年ほど経ちました。

 何でそんなにリープしちゃうかというと、まあその、ネタらしいネタがなかったから。
 話したところで、休火山状態みたいな夫婦が惰性でヤってるだけの話なので、そんなに楽しいものではないでしょう。

 時々、面白くないことがあると、いきなりキレ散らかして、飲んでいたお茶やビールぶっかけるとかっていうのはあったけど。
 これじゃ配偶者DV日記になっちゃう。
 なにせ私には負い目があるから、そんなことされても反抗らしい反抗もできなくて、台風が通過するのを待っているみたいになっちゃうし。

 「娘ちゃんの学習塾代稼ぎ」の名目で、少しだけパートに出ることをやっと許してもらった。
 ほんとは娘ちゃんが小学校に入る頃には働き始めるつもりだったんだけど、事情が事情なんで、家でおとなしくしとけってなってね。仕方ないけど。

 その頃にはダンナくんも私に嫌がらせするのも飽きたらしく、徐々に昔みたいに普通に優しく接してくれるようになった。
 だけど全然、元通りではない。

 私ほどアホではなかった娘ちゃんは、割といい高校に入学した。
 しかも、「ママが塾代稼いでくれたおかげだね」って、うれしいこと言ってくれる。
 ダンナくんももちろん、合格を喜んでいた。

 その後もぜいたくはできないけれど、穏やかな暮らしを続けていった。
 娘ちゃんをあまりお金の心配せずに大学に行かせたいから、私はなおパートとかを続けている。

 娘ちゃんが17歳の誕生日のとき、ダンナくんが爆弾を投下した。
 かなりお酒を飲んでいたし、何ならある意味、機嫌がよかったのかもしれない。

「娘ちゃんが17歳かあ。君が17歳のときって、もう男たらし込んでヤリまくってたよね?」

 愉快そうに笑いながら、ダンナくんは言った。

「ちょっと!娘ちゃんの前で何てこと言うの!」

 当然、私はブチ切れた。
 娘は表情をこわばらせる。
 5歳の女の子が「男に媚びて」とか言われたときのとはわけが違う。
 意味はもちろん分かっているのだ。

「事実でしょ?」
「違うよ!何言ってんの?」

 19歳の新婚初夜で、を確認したろうがよ!とは、さすがに娘の前では言えない。
 私は確かにクソ女だけど、ダンナくんも大概じゃん。

 私は30代後半だけど、ダンナくんは50近い。
 この書き方って不公平っぽいね。
 「私はもう40前、彼は40代後半」という言い方もできなくはないか、どうでもいいけど。

 わたしは基本受け身の上に、年齢的にもまだ「現役」だけど、ダンナくんは…その気になると私を抱こうとはするけれど、うまくいかないことも多くなって、ちょっと焦っているのかもしれない。

 具体的に言うと、いわゆるっぽくなったり、気持ちばかり焦って立ちにくくなったり、そんな感じかな。
 人が年を取るのは仕方ないと思うけど、私に余裕があるってことは、まだ浮気に走る可能性があるって思っているらしい。

 私の不倫のせいで、ダンナくんの心を壊してしまったのだ――という自責の念も湧かない。
 
 今のダンナくんは、に覚えアリのお父さんが、小学校の運動会で張り切り過ぎて転倒して大けが、みたいな状態なのかもしれない。
 その気はあるのに、うまくいかないって意味でね。

 で、正直言うと、私はやっぱり「シたい」という気持ちを持て余しているわけで。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

NTR(エヌ・ティー・アール)

かめのこたろう
現代文学
……。

ずっと君のこと ──妻の不倫

家紋武範
大衆娯楽
鷹也は妻の彩を愛していた。彼女と一人娘を守るために休日すら出勤して働いた。 余りにも働き過ぎたために会社より長期休暇をもらえることになり、久しぶりの家族団らんを味わおうとするが、そこは非常に味気ないものとなっていた。 しかし、奮起して彩や娘の鈴の歓心を買い、ようやくもとの居場所を確保したと思った束の間。 医師からの検査の結果が「性感染症」。 鷹也には全く身に覚えがなかった。 ※1話は約1000文字と少なめです。 ※111話、約10万文字で完結します。

【R18】今夜、私は義父に抱かれる

umi
恋愛
封じられた初恋が、時を経て三人の男女の運命を狂わせる。メリバ好きさんにおくる、禁断のエロスファンタジー。 一章 初夜:幸せな若妻に迫る義父の魔手。夫が留守のある夜、とうとう義父が牙を剥き──。悲劇の始まりの、ある夜のお話。 二章 接吻:悪夢の一夜が明け、義父は嫁を手元に囲った。が、事の最中に戻ったかに思われた娘の幼少時代の記憶は、夜が明けるとまた元通りに封じられていた。若妻の心が夫に戻ってしまったことを知って絶望した義父は、再び力づくで娘を手に入れようと──。 【共通】 *中世欧州風ファンタジー。 *立派なお屋敷に使用人が何人もいるようなおうちです。旦那様、奥様、若旦那様、若奥様、みたいな。国、服装、髪や目の色などは、お好きな設定で読んでください。 *女性向け。女の子至上主義の切ないエロスを目指してます。 *一章、二章とも、途中で無理矢理→溺愛→に豹変します。二章はその後闇落ち展開。思ってたのとちがう(スン)…な場合はそっ閉じでスルーいただけると幸いです。 *ムーンライトノベルズ様にも旧バージョンで投稿しています。 ※同タイトルの過去作『今夜、私は義父に抱かれる』を改編しました。2021/12/25

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

知り合いの人妻、簡単にヤれた

下田
恋愛
主人公の田中は女好きな大学生。ある日、知り合いの人妻とねんごろな関係になってしまい…

抱きたい・・・急に意欲的になる旦那をベッドの上で指導していたのは親友だった!?裏切りには裏切りを

白崎アイド
大衆娯楽
旦那の抱き方がいまいち下手で困っていると、親友に打ち明けた。 「そのうちうまくなるよ」と、親友が親身に悩みを聞いてくれたことで、私の気持ちは軽くなった。 しかし、その後の裏切り行為に怒りがこみ上げてきた私は、裏切りで仕返しをすることに。

俺がカノジョに寝取られた理由

下城米雪
ライト文芸
その夜、知らない男の上に半裸で跨る幼馴染の姿を見た俺は…… ※完結。予約投稿済。最終話は6月27日公開

乳白色のランチ

ななしのちちすきたろう
恋愛
君江「次郎さん、ここが私のアパートなの。」 「よかったらお茶でもしながら家の中で打ち合わせします?この子も寝てるし…」 このとき次郎は、心の中でガッツポーズを決めていた。 次郎の描く乳白色のランチタイムはここから始まるのだから…

処理中です...