58 / 82
お面をはずして
ほしかったわけ【終】
しおりを挟むある日カズサは、バイト上がりに「はい、これで打ち止め」と言いながら、例のキツネのマスコットを一体連れ帰ってきた。
うれしそうに手のひらにのせたそれは、紫色の耳をした、スミレのお面のキツネだった。
「これでもうやめる」
「やめる?でも…」
実はそのスミレキツネを合わせても、全部で6種類しかない。それではコンプとは言わないのではないか。不思議に思って尋ねたユウナに、カズサは答えた。
「コンプなんて、最初から考えてないよ」
「え?」
「スミレのがどうしても欲しかったんだ。ユウナが欲しいって言ってたやつだし」
「そうだったんだ…」
「それに俺も一番最初に見たときから、これだけは絶対欲しいと思ってたやつだから」
「そういうことか。出てよかったね」
▽▽
カズサはそれを欲しいと思っていた理由は、「紫のやつは、キツネの顔がユウナに似ている気がしたから」とだけ言ったが、実はもう一つ言えない理由があった。
お面の顔がユウナの寝顔にそっくりだということだ。
本当はその理由も隠すつもりはなかったが、ユウナが「ぶっちゃけこのお面の顔はビミョー。メイク失敗してるみたいな顔だし何か間抜け。特に口はひどい。お花はかわいいけどさ」と言ったので、だまっていようと思った。
『お面をはずして』 おわり
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

優等生の裏の顔クラスの優等生がヤンデレオタク女子だった件
石原唯人
ライト文芸
「秘密にしてくれるならいい思い、させてあげるよ?」
隣の席の優等生・出宮紗英が“オタク女子”だと偶然知ってしまった岡田康平は、彼女に口封じをされる形で推し活に付き合うことになる。
紗英と過ごす秘密の放課後。初めは推し活に付き合うだけだったのに、気づけば二人は一緒に帰るようになり、休日も一緒に出掛けるようになっていた。
「ねえ、もっと凄いことしようよ」
そうして積み重ねた時間が徐々に紗英の裏側を知るきっかけとなり、不純な秘密を守るための関係が、いつしか淡く甘い恋へと発展する。
表と裏。二つのカオを持つ彼女との刺激的な秘密のラブコメディ。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
闇鍋【一話完結短編集】
だんぞう
ライト文芸
奇譚、SF、ファンタジー、軽めの怪談などの風味を集めた短編集です。
ジャンルを横断しているように見えるのは、「日常にある悲喜こもごもに非日常が少し混ざる」という意味では自分の中では同じカテゴリであるからです。アルファポリスさんに「ライト文芸」というジャンルがあり、本当に嬉しいです。
念のためタイトルの前に風味ジャンルを添えますので、どうぞご自由につまみ食いしてください。
読んでくださった方の良い気分転換になれれば幸いです。
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。

無敵のイエスマン
春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる