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お大事に(笑)
手紙
しおりを挟む男の火傷は本当に大したことはなかったようで、翌日は所属しているフットサルチームの練習に参加した。といっても、事情を話して大事を取り、「見学」という形を取ったようだ。
仲間同士の気楽さもあり、股間に紅茶をこぼしたことや、「鬼嫁に叱責されながら深夜の病院に駆け付けたこと」などを、面白おかしく語って聞かせた。
その日は練習後にバーベキューをすることになっていたので、男は女のことも誘ったが、「私はいい」とあっさり返され、「そう」とだけ反応した。
◇◇◇
その頃女は――用意周到でしっかり者の女は、キャリーバッグに荷物をまとめ、県内の30キロ離れた町にある実家へと向かっていた。
言いたいことは山ほどあったが、置き手紙にはごく簡潔にこう書かれていた。
「何かいろいろ嫌になってしまいました。
しばらく実家に帰ります。
あなたには私がついていないと何もできない、なんて
ごうまんなことを考えながら生活したくないんです」
女は男からの電話を着信拒否設定にした。
ならばと、女の両親に連絡するという手もあるが、ただおろおろし、そういう発想すらしばらくは出ないだろう。
勝手な想像だが、多分そう的外れでもない。
女はまた少し憂鬱を催し、ため息をついた。
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