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アキの部屋
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担任が、生徒の母親を自分の家に招く。
そもそも恋愛感情がなかったとしても、同性同士だったとしても、こういう公私混同的な行為はあまり好ましい状況ではない。
15歳程度の年齢差、それも女性の方が年上だったとしても、所詮は男と女である。
こんな場面を誰かに見られたら、まさに「火のないところになんとやら」で、格好のうわさの的になるだろう。
それでも谷は、由布子と2人きりで話してみたいという気持ちを抑えられなかった。
ただ、そこにいわゆる下心はないつもりだった。
この「かわいい」女性のつくった菓子を食べ、あれこれと話したら楽しいのではないか?
それ以外のことは、ほぼ考えてもいなかった。
「これ――うまいすね。オオムラさんのとはまた違って…」
いつも食べているのは、焼き印の入ったパンケーキの間にクリームが挟まっている感じの商品だったが、リエージュ風というのは固めというか、ソフトクッキーのような食感である。
「ありがとう。こういうタイプのワッフル、昔流行ったのよ。若いから知らないよね?」
「はあ…」
谷が目にする由布子はいつも笑っている。
家庭でもこんなふうなんだろうか?
大きなたれ目、整った小鼻、少し大き目の口は、ごく普通に女性の顔のパーツとして魅力的である。
少し二重に見える緩めのあごさえ、好感の持てるものだ。
(幾つになってもかわいらしい女性――か。ご主人がうらやましいな)
それは谷にしてみれば、あくまで「いつかはこんな感じの女性と懇ろになって」程度の感情だったはずだ。
仕掛けたのは由布子の方だ。
「のこのこ上がり込んでおいてなんですけど――カノジョさんがこんな現場を見たら誤解されるかな?」
由布子は淹れてもらった紅茶を一口飲んで言った。
「いや、そういう人はいなくて」
「へえ、意外」
「ですか?生徒には「先生って非モテっぽいね」ってよくからかわれて…」
「あらま。私があと10歳――20歳若かったら放っておかないのに」
「…それ本当ですか?」
「え?」
「俺はその、年齢とかは気にしないっていうか…」
「ふふ…」
由布子は立ち上がって谷の隣に移動し、彼の手を取った。
「あ…の…」
「何だか谷先生、かわいくて。イケナイ気持ちになっちゃった」
「いや、その……」
「ね、キスして。なんちゃ…」
由布子が谷の顔を覗き込みながらそう言うと、「…って」を言う前に、谷は由布子を抱き寄せ、「…もう…とまりませんよ」と耳元で溜息に乗せるように言った。
「ふふ、望むところだわ」
「もう、僕は……」
カーペットラグの上に優しく押し倒すと、由布子はどこか淫靡な表情で谷を見つめた。
ワンピースは前に小さな10個のボタンがついているので、谷はそれを丁寧に一つ一つ外した。
上から順に半分ぐらいまではずすと、白地に紫の糸で花の刺繍がされたブラが目に飛び込んだ。
ぱっと見の印象がふっくらしているだけに、やはりバストはかなり大きなサイズである。
「あ、ん…ふ…ん」
後ろのホックをはずす前に、胸の谷間あたりから指を差し込んで愛撫すると、少しかすれた嬌声を上げた。
指先に、ぐっと固く持ち上がった乳首を感じる。
「うん…ううん…」
由布子はじれったそうに、自分でブラのホックを外した。
谷は律儀にも「あ、すみません…」と言った後、左手で左の乳房を動かしながら、唇を右の乳首につけた。
その体勢では由布子の顔は見えないが、切なげな嬌声は聞こえる。
舌でぺろぺろなめたり吸ったりするたびに、それに反応するように声が変化するように感じた。
途中で右手で右の乳房を攻め、左の乳首を吸うために軽く体勢を変えた。
谷は童貞ではないが、女性経験はあまりない。
無意識に、どこかAVの男優がするようなしぐさになっていると自分で思っていた。
(もちろんあんなにゼツリンじゃないけど…チンコがすげえ痛い…お母さん…エロいな…)
AVだと、「こっちはどうかな?」などと言いつつ、片手で胸を、もう片手でヴァギナを刺激したり、クリトリスをペロペロとなめあげたりするのかもしれないが、谷はもともと女性のバストが「嫌いな方ではない」。集中して胸を攻める気持ちを抑えられなかった。
自分の愛撫に応えるように、由布子が声を上げるが、声は少し抑え目だ。
(やっぱり顔…見たい)
谷は名残惜しい気持ちで乳房から顔を放し、「あの…俺…お母さんのことを何て呼んだら…」と言った。
「ユウコ…よ、あなたは?」
「たに…あきひこ…です」
「じゃ、アキって呼ぶわ」
そう呼び合うことを決め、改めて、「あの、最後まで…?」と、谷改め「アキ」は遠慮がちに聞いた。股間の彼自身は、もう戦闘態勢である。
「あ…そうね――今日はさすがにまずいから、横になってくれる?」
「え…?」
「避妊具の用意とかあるなら別だけど」
「あー、ないです…」
「はい、じゃ、“ユウコさん”に任せなさい」
アキは言われるがままにその場に仰向けになり、ユウコのされるがままになった。
風俗に行ったことはないし、女性にこんなふうにしてもらったこともないが、ユウコが緩急をつけながら手を上下させたり、「結構たくましいじゃない?」と、音を立ててキスしたりするので、意外とあっけなくフィニッシュを迎えてしまった。
「あ、で、でる…」という言葉より早く、白いものがピュッと飛んだ。それなりに勢いがあったものの、天井を汚すほどではない。
アキはまさにマグロ状態になり、全裸のままてきぱきと後始末をするユウコの姿を見つめていた。
腹はたるんでいるし、おせじにもナイスバディとは言えない。
補正下着でも着けていれば、もう少しましかもしれないが、服の好みからして「締めつけ」が嫌いなことは確かなようだ。
「あの…何かすんません…」
「ふふ…やっちゃったね、私たち」
ユウコの口調や表情に罪悪感が薄いのが気になった。
この人にとっては、この程度は「遊び」なのだろうか?と不安になる。
「えと、その…」
「なあに?」
「愛してます、ユウコさん!」
「ええっ?」
ほんの過ちともいえる関係なのは重々承知の上だったが、アキはユウコに特別過ぎる感情を抱いてしまった。
「愛している」が適切な言葉なのかどうかは分からないが、言わずにいられなかったのだ。
「ありがとう、私も好きよ、アキ」
谷は朗らかで感じのいい、生徒の母親としての“由布子”に好感を抱いたに過ぎなかった。
しかし、由布子の手を振り払えなかった時点で、もう「落ちて」いたのだ。
「これからは、秘密の恋人同士ってことでいいのかな?」
「ええと、はい」
「ふふ、アキってかわいいわね」
そもそも恋愛感情がなかったとしても、同性同士だったとしても、こういう公私混同的な行為はあまり好ましい状況ではない。
15歳程度の年齢差、それも女性の方が年上だったとしても、所詮は男と女である。
こんな場面を誰かに見られたら、まさに「火のないところになんとやら」で、格好のうわさの的になるだろう。
それでも谷は、由布子と2人きりで話してみたいという気持ちを抑えられなかった。
ただ、そこにいわゆる下心はないつもりだった。
この「かわいい」女性のつくった菓子を食べ、あれこれと話したら楽しいのではないか?
それ以外のことは、ほぼ考えてもいなかった。
「これ――うまいすね。オオムラさんのとはまた違って…」
いつも食べているのは、焼き印の入ったパンケーキの間にクリームが挟まっている感じの商品だったが、リエージュ風というのは固めというか、ソフトクッキーのような食感である。
「ありがとう。こういうタイプのワッフル、昔流行ったのよ。若いから知らないよね?」
「はあ…」
谷が目にする由布子はいつも笑っている。
家庭でもこんなふうなんだろうか?
大きなたれ目、整った小鼻、少し大き目の口は、ごく普通に女性の顔のパーツとして魅力的である。
少し二重に見える緩めのあごさえ、好感の持てるものだ。
(幾つになってもかわいらしい女性――か。ご主人がうらやましいな)
それは谷にしてみれば、あくまで「いつかはこんな感じの女性と懇ろになって」程度の感情だったはずだ。
仕掛けたのは由布子の方だ。
「のこのこ上がり込んでおいてなんですけど――カノジョさんがこんな現場を見たら誤解されるかな?」
由布子は淹れてもらった紅茶を一口飲んで言った。
「いや、そういう人はいなくて」
「へえ、意外」
「ですか?生徒には「先生って非モテっぽいね」ってよくからかわれて…」
「あらま。私があと10歳――20歳若かったら放っておかないのに」
「…それ本当ですか?」
「え?」
「俺はその、年齢とかは気にしないっていうか…」
「ふふ…」
由布子は立ち上がって谷の隣に移動し、彼の手を取った。
「あ…の…」
「何だか谷先生、かわいくて。イケナイ気持ちになっちゃった」
「いや、その……」
「ね、キスして。なんちゃ…」
由布子が谷の顔を覗き込みながらそう言うと、「…って」を言う前に、谷は由布子を抱き寄せ、「…もう…とまりませんよ」と耳元で溜息に乗せるように言った。
「ふふ、望むところだわ」
「もう、僕は……」
カーペットラグの上に優しく押し倒すと、由布子はどこか淫靡な表情で谷を見つめた。
ワンピースは前に小さな10個のボタンがついているので、谷はそれを丁寧に一つ一つ外した。
上から順に半分ぐらいまではずすと、白地に紫の糸で花の刺繍がされたブラが目に飛び込んだ。
ぱっと見の印象がふっくらしているだけに、やはりバストはかなり大きなサイズである。
「あ、ん…ふ…ん」
後ろのホックをはずす前に、胸の谷間あたりから指を差し込んで愛撫すると、少しかすれた嬌声を上げた。
指先に、ぐっと固く持ち上がった乳首を感じる。
「うん…ううん…」
由布子はじれったそうに、自分でブラのホックを外した。
谷は律儀にも「あ、すみません…」と言った後、左手で左の乳房を動かしながら、唇を右の乳首につけた。
その体勢では由布子の顔は見えないが、切なげな嬌声は聞こえる。
舌でぺろぺろなめたり吸ったりするたびに、それに反応するように声が変化するように感じた。
途中で右手で右の乳房を攻め、左の乳首を吸うために軽く体勢を変えた。
谷は童貞ではないが、女性経験はあまりない。
無意識に、どこかAVの男優がするようなしぐさになっていると自分で思っていた。
(もちろんあんなにゼツリンじゃないけど…チンコがすげえ痛い…お母さん…エロいな…)
AVだと、「こっちはどうかな?」などと言いつつ、片手で胸を、もう片手でヴァギナを刺激したり、クリトリスをペロペロとなめあげたりするのかもしれないが、谷はもともと女性のバストが「嫌いな方ではない」。集中して胸を攻める気持ちを抑えられなかった。
自分の愛撫に応えるように、由布子が声を上げるが、声は少し抑え目だ。
(やっぱり顔…見たい)
谷は名残惜しい気持ちで乳房から顔を放し、「あの…俺…お母さんのことを何て呼んだら…」と言った。
「ユウコ…よ、あなたは?」
「たに…あきひこ…です」
「じゃ、アキって呼ぶわ」
そう呼び合うことを決め、改めて、「あの、最後まで…?」と、谷改め「アキ」は遠慮がちに聞いた。股間の彼自身は、もう戦闘態勢である。
「あ…そうね――今日はさすがにまずいから、横になってくれる?」
「え…?」
「避妊具の用意とかあるなら別だけど」
「あー、ないです…」
「はい、じゃ、“ユウコさん”に任せなさい」
アキは言われるがままにその場に仰向けになり、ユウコのされるがままになった。
風俗に行ったことはないし、女性にこんなふうにしてもらったこともないが、ユウコが緩急をつけながら手を上下させたり、「結構たくましいじゃない?」と、音を立ててキスしたりするので、意外とあっけなくフィニッシュを迎えてしまった。
「あ、で、でる…」という言葉より早く、白いものがピュッと飛んだ。それなりに勢いがあったものの、天井を汚すほどではない。
アキはまさにマグロ状態になり、全裸のままてきぱきと後始末をするユウコの姿を見つめていた。
腹はたるんでいるし、おせじにもナイスバディとは言えない。
補正下着でも着けていれば、もう少しましかもしれないが、服の好みからして「締めつけ」が嫌いなことは確かなようだ。
「あの…何かすんません…」
「ふふ…やっちゃったね、私たち」
ユウコの口調や表情に罪悪感が薄いのが気になった。
この人にとっては、この程度は「遊び」なのだろうか?と不安になる。
「えと、その…」
「なあに?」
「愛してます、ユウコさん!」
「ええっ?」
ほんの過ちともいえる関係なのは重々承知の上だったが、アキはユウコに特別過ぎる感情を抱いてしまった。
「愛している」が適切な言葉なのかどうかは分からないが、言わずにいられなかったのだ。
「ありがとう、私も好きよ、アキ」
谷は朗らかで感じのいい、生徒の母親としての“由布子”に好感を抱いたに過ぎなかった。
しかし、由布子の手を振り払えなかった時点で、もう「落ちて」いたのだ。
「これからは、秘密の恋人同士ってことでいいのかな?」
「ええと、はい」
「ふふ、アキってかわいいわね」
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