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【1】「私」について
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自慢ではないが、私はいわゆるコミュ障である。
といっても、父方も母方も、祖父母は割とぐいぐい来る系の人たちなので、連綿と続く呪われた血ってわけでもなさそうだ。
ただ単に、人見知り同士がくっついて、人見知り生活の中で私を育てた結果、大いに影響を受けてしまったってだけだと思う。
友人はいないわけではないが、何かと単独行動が好きだ。
私を何かと過大評価する母は、「あんたは猫みたいな子だね」とかわい目に表現した。
人を拒絶するように気ままに振る舞っても、向こうから人が寄ってくるからだそうだ。否定はしないが、そんないいものではない。
さすがに猫と違い、ひっかいたらもう二度と人は寄ってこないだろうから、「やんわり、気を使って、最大限の礼儀をもって」距離を置いているだけだもの。要するに人間関係に臆病なだけなのだ。
▽▽
私は大学を卒業後、国のとある省の地方局に勤めることが決まっている。ここから300キロほど離れた街だし、今まで一度も行ったことがない。今住んでいるF県片山市よりも雪も降るだろうし、冬の気温も低そうだ。
いろいろと試験を受けた中で、一番不本意なところ――と言ったら先方に失礼だけれど、正直言うと、そういうことになってしまう。
父は「都落ちする感じが嫌なのかもな」と言ったようだが、そもそも片山は都ではない。
母は「本人が一番気にしているんだから、絶対口に出しっさんなよ!」と釘を刺したらしい。
それらは全部、高校生の妹から聞いた。あいつは意外とチクリ魔だ。
別にそこまで腫れ物にさわるように扱われるほど不本意な就職ではないので、もっと自然にしてほしいものだ。
とはいえ、この気の使いようがトンチンカンな両親と、チクリ魔だけどかわいいところもある妹を、私は決して嫌いではない。
といっても、父方も母方も、祖父母は割とぐいぐい来る系の人たちなので、連綿と続く呪われた血ってわけでもなさそうだ。
ただ単に、人見知り同士がくっついて、人見知り生活の中で私を育てた結果、大いに影響を受けてしまったってだけだと思う。
友人はいないわけではないが、何かと単独行動が好きだ。
私を何かと過大評価する母は、「あんたは猫みたいな子だね」とかわい目に表現した。
人を拒絶するように気ままに振る舞っても、向こうから人が寄ってくるからだそうだ。否定はしないが、そんないいものではない。
さすがに猫と違い、ひっかいたらもう二度と人は寄ってこないだろうから、「やんわり、気を使って、最大限の礼儀をもって」距離を置いているだけだもの。要するに人間関係に臆病なだけなのだ。
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私は大学を卒業後、国のとある省の地方局に勤めることが決まっている。ここから300キロほど離れた街だし、今まで一度も行ったことがない。今住んでいるF県片山市よりも雪も降るだろうし、冬の気温も低そうだ。
いろいろと試験を受けた中で、一番不本意なところ――と言ったら先方に失礼だけれど、正直言うと、そういうことになってしまう。
父は「都落ちする感じが嫌なのかもな」と言ったようだが、そもそも片山は都ではない。
母は「本人が一番気にしているんだから、絶対口に出しっさんなよ!」と釘を刺したらしい。
それらは全部、高校生の妹から聞いた。あいつは意外とチクリ魔だ。
別にそこまで腫れ物にさわるように扱われるほど不本意な就職ではないので、もっと自然にしてほしいものだ。
とはいえ、この気の使いようがトンチンカンな両親と、チクリ魔だけどかわいいところもある妹を、私は決して嫌いではない。
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