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第3章 それぞれの春
受験
しおりを挟むさよりも年賀状だけは、元日に届くように配慮した。
「明けましておめでとうございます。
お互いの努力が報われる春になるといいですね。
私は2月の初旬に試験があるので、
そろそろお手紙の返事が厳しくなりそうです。
私にお気づかいなく、松崎君も勉強に集中してください」
ヘタをしたら、今まで書いた中で最も長く、それでいて血の通った文面である。
松崎は学内推薦を取れなかったということで、急遽、首都圏の私立大学を幾つか受験するらしいが、中には東地大よりもずっとランクが高いところもあった。
この当時よく聞かれた、いわゆる記念受験的な意味もあったのかもしれない。
◇◇◇
さよりは受験のときは、晴海の家に泊まった。
たまたま第1志望と第2志望の試験日が4日違いなので、連泊して交通費を節約した――つもりだったが、「これ、アンタがいる間の食費とか雑費ね。栄子ちゃん(晴海の母)に渡して」と母親から託された。
食費やホテルコスト的なものとして考えれば安いものだったかもしれない。
さよりの家は貧乏というわけではないが裕福なわけでもない。こういうこと一つとっても、親がかりの肩身の狭さを感じてしまう。
自分が通う大学から至近の短大が第一志望ということで、「ウチから一緒に登校できるのにー」と、女子小学生のようなことを言う晴海は、年上とは思えないほどかわいく、また憎らしいとさよりは思った。
厄介になっている間、男性らしい人と電話で談笑している様子は時々見られたが、俊也との関係は聞けずにいて、勝手に「やっぱり付き合っているんだろうな…」と思って胸を痛めた。
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