上 下
112 / 116
5章 そうだ!外へ行こう

106.勇者の魂は便利

しおりを挟む
目が覚め、一緒に寝ていた2人は既に居らず朝風呂からの着替えと持ち物の最終確認を済ませ食堂に向かった。いつもの朝ご飯の時間にて、昼前には出発とその他各自に指示を出し……洞窟入口に立ち気合いを入れた。

アウラとエマの姿が無く少し泣きそうになるも入口を砕き外に出る。後ろから声がして振り返るとお弁当箱を持った2人が焦った様に近ずき渡してくる。頭を撫でお弁当を受け取りもう一度気合いを入れ、敬礼をしながら宣言を行い友人達から早く行けと応援注意を言われた。

「行ってきます!何かに巻き込まれたり問題に遭遇したら一旦仕切り直しという事で戻ってくるから!アウラ成分足りなくても帰って来るかも!頑張って来ます」

「成分足りないくらいで帰って来るなよ」

「サクヤに迷惑かけないようにね?」

「アクセルさん可愛い子居ても攫っちゃダメだからね?」

友人3人マリオ、ジュン、だっさんの順番だ。そんなことしないよ……たぶん。常識足りないけどしないはずと心で思い笑いながら森を進む、さあ!僕のプチ冒険スタートだ!




洞窟から出て早……1時間走り続けている……。スタミナ管理をサポートする装備だが風景が見飽きた。前森、右森、左森、後ろもちろん森、空を飛んで行こうとも思ったが、サクヤを抱きかかえないといけないので無しとなった。暇なので残りの距離を聞くことに、頼む半分は来たと言ってくれ!

「サクヤ、あとどのくらいで街に着くのだい?」

「このペースならあと2時間程で着きますよ」

なんと!まだ半分にも到達していなかった!そこからもう30分走った所で突然常に出しっぱなしのミニマップに赤色の点が付き、咄嗟に先導してくれているサクヤの手を引き抱きかかえるように後ろに飛んだ。

「きゃ!何んですか!アクセ____」

今サクヤが居た所に勢い良く木の枝?が通過して行く。2人でしばらく固まり動いている木?を見つめている。10秒程経つとミニマップから赤色の点が消え、また何も無い状態に戻った。今さっき動いて居る物を鑑定したところ、【ハイトレント】と言う名のモンスターと判明した。スキルには『擬態』『同化』の2つが有り『擬態』はそのまま木に擬態している。問題は『同化』の方で周りと同じになるとい言うスキルだった。

この『同化』と言うスキルは例え赤色(敵性、害的、危険、脅威等)であっても周りの状態と同じになる物で、もし犯罪者や殺人鬼などの危険な存在でも一般人と同じ色になれると説明が書かれていた。

サクヤにも内容を教え【トレント】の存在は知っていたがこの付近……いやこの森に居ることは知らなかった様だ。しかも【トレント】の上位の【ハイトレント】が生息している事もだ。

「アクセル、先程は助けてくれてありがとうございます。それでその『同化』スキルはコピーするのですか?貴方は犯罪を、犯しそうですし持っていた方がよろしいのでは?」

なんと酷い、僕をなんだと思っているのだ?僕にだって善悪くらい区別できる!そもそも僕には『同化』は必要ないしな。

「いや僕には必要無いよ、理由はね?『魔王の魂』を取り込んだ時に僕が犯罪を犯し判定が赤色になるのを防ぐ代わりに魂が汚染侵食して肩代わりしてくれるんだよ。1発アウトって訳では無い、ゲージみたいな物が有って100%貯まると魂の残り半分が1%汚染されるんだ。そして昨日ようやく『勇者の魂』を取り込めてね?僕の魂がハーフ&ハーフになってるのだ」

更に詳しく『魔王の魂』と『勇者の魂』についで話す事になる。

「『魔王の魂』は犯罪等を汚染で肩代わり、『勇者の魂』は善行などで汚染を浄化することができる」

「では、アクセルは善行を積みまくれば『魔王の魂』を完全に浄化しきれるのですか?」

「いや、汚染された分しか浄化はできないんだよ。悪に染まるのはそもそも心根や性格がそっちに傾いてるからであって、その状態で闇堕ちしてそれを浄化した所で性格や心根が正される訳では無いないだろ?アンデッド系のモンスターを浄化したら消滅して綺麗な人間にはならない様に、浄化には限度がある。闇堕ちには限度はないけども、堕ち切るだけだからさ」

「でだ、本題『勇者の魂』の善行ってのも浄化ゲージってのが有ってそれが貯まると汚染を浄化してくれる。『魔王ゲージ』が50%貯まってる時に善行するとそのゲージの%を削ってくれるんだよ。つまり僕は常に青色一般人で居れれる。しかもこの善行ってのは、人助けや一般的な良い行い又はが適用される。つまりちょっと悪い事してもモンスター狩ればチャラ」

この説明中、目の前に居るサクヤはとても嫌そうな顔して聞いている。それもそうだろう一般常識で悪い事したらほぼアウトが適用されないと言われてしまったのだからそんな顔にもなる。『一般人は悪い事をしたら長期的に善行をして徐々に行いを正し許されるのを待つ』に対して『モンスター狩れは勝手に浄化』は酷すぎる。

手を目に当て天を仰いでる姿を見つつサクヤにもブレクラのミニマップを使いこなせるように教えようと思う、とっても便利だからね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

処理中です...